シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
一般物理学2
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
General Physics 2
授業コード Class code
9913D1T
科目番号 Course number
13ONPHY202

教員名
吉田 祐介
Instructor
Yoshida, Yuhsuke

開講年度学期
2026年度後期
Year
2026年度
Semester
②Second semester
曜日時限
木曜4限
Class hours
Thursday Fourth Period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 化学科

Department of Chemistry, Faculty of Science Division Ⅰ
単位数 Course credit
2.00単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
⑦ [遠隔]オンライン授業(同期)/ [Remote]Online (synchronized remote)

概要 Description

一般物理学1で学んだ電子・光子・核子・原子・分子などの微視的物質に対する古典物理学的描像について、今度は量子論的側面から理解を深めます。特に、量子化とは何か、物理系が量子化されると古典理論とは何が変わるのか、深く理解できます。シュレーディンガー方程式の持つ意味を、簡単で単純な波動と粒子の二重性の議論からしっかりと理解します。

量子力学の基本的な波動方程式の解き方を学習し、1次元井戸型および障壁型ポテンシャルの散乱問題および束縛状態の問題、そして1次元障壁型ポテンシャルの散乱問題の解き方を身に付けます。さらに、1次元調和振動子模型、水素原子模型、水素分子模型等の解き方を理解します。この過程で、ヒルベルト空間や物理量を表す演算子の意味や、交換関係の取り扱い方を学びます。また、生成消滅演算子や、角運動量演算子の交換関係からそれらの持つ量子状態の代数構造や固有値問題を理解します。

ラビ振動についても簡単に説明します。これは時間に依存するハミルトニアンを持った二準位系でありながら厳密に解ける模型であり、その応用も数多く成されており、非常に重要な模型でありながら、極めて扱いやすいためです。

化学的知識に対して、物理的な側面から理解が深まるよう学習します。原子や分子に対する量子論的取り扱いが、最終的にフロンティア軌道理論やウッドワード・ホフマン則へ至る部分の量子力学的な知識を直線的に切り込んで理解します。最後に、化学反応の立体的選択性については、古典的有機電子論では説明ができない問題がありますが、その問題解決に決定的な役割を果たした分子のHOMO-LUMO波動関数に対する基礎知識を最低限で理解します。
目的 Objectives

電子・光子・原子・分子に関する微視的現象を、古典力学や直感、伝聞、場当たり的な処方に頼って断片的に理解するのではなく、妥協をせずに量子力学を用いて一貫した理解に至る事が主要で第一義的な目的です。
到達目標 Outcomes

化学的知識に対して、量子力学的な側面から理解が深まるよう学習します。原子や分子に対する量子論的取り扱いが、最終的にフロンティア軌道理論やウッドワード・ホフマン則へ直線的に至る部分の量子力学的な知識を習得します。微視的物質は、粒子的な性質と波動的な性質の不可分に統合された描像を持つ対象である事を、数理的直観的に深く理解します。化学反応の立体的選択性については、古典的有機電子論では説明ができない問題がありますが、その問題解決に決定的な役割を果たした分子のHOMO-LUMO波動関数に対する基礎知識を習得します。

この講義内容を身につければ、量子化学理論の入口に立つ事となります。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites

一般物理学2を受講する者は、一般物理学1を受講している事が望ましいです。

一般物理学1は入門的内容であるものの、化学と違って物理現象の数理的洞察力を高めるための授業であり、物理学が肌に合わない学生にとっては苦痛を伴います。 
出席数の少ない人や、出席登録だけして実際に授業を聴講する気のない人には、この授業は全く向いていません。
一般物理学や量子力学の教科書だけでは容易に学べない内容を習得しようと意欲を燃やす学生のみに向けた授業であり、習得意欲のない人は履修を避けましょう。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
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準備学習・復習 Preparation and review

一般物理学1の知識を前提とします。

一般物理学2の講義内容は、もっぱら量子力学の基礎的な部分ですが、原子分子の現象を量子力学的に取り扱うために必要な内容になるべく限局してあり、一見困難な概念でも容易に理解するための方法を提示してあります。

しかし、一般物理学1よりは概念や数式の取り扱いが格段に難しく感じられるかも知れません。式変形の方法等は、できる限り明示し、自分の手で確認ができるよう講義しますが、量子力学を修得するつもりのない者に対しては逆に苦痛でしかありませんから、そういう者は始めから受講すべきではありません。

講義ではできるだけ端的、直観的、比喩的説明を多用しますが、数理的取り扱いが苦手な人は、最低でも量子力学による化学現象の取り扱いの概念的部分だけでも吸収するように務めましょう。
数式が自在に操れるようになる必要はありませんが、数理構造を垣間見つつ量子力学の定性的な、概念的な理解が出来ればこの授業を受けた意義は十分にあったとみなせます。
出来れば、講義に出てきた数式もフォローできると完璧ですが、簡単な部分だけのフォローでも十分良いです。


成績評価方法 Performance grading policy

授業期間中にPDFで期末レポートを配布しますので、これをグーグルフォームに入力してもらうことで回答を◯×形式と一部記入式で回収します。
問題と提出期限等は追ってCLASSメールからお知らせします。

1回の期末レポートと出席態度に基づいて評価を行います。
配点は設問1つあたり10点とし、これと出席態度を点数化し、全体をアフィン変換して0−100点に落とし込んで成績を付けます。

原則として、5コマ以上の欠席は無評価(-)扱いとするか、過重減点対象とします。
やむを得ない正当な事由で欠席した場合、事務より事由証明を受け、提出すれば公欠(出席扱い)とします。

受講に際して大学指定の方法を使って必ず出席登録をしてください。出席の事後承諾は困難です。
不正な出席登録や代行登録、および課題レポートを他者のものからコピーした場合は、発覚次第全関係者をD評価とします。
近年は、現にレポートの丸写しをうかがえる事例が多数あり、厳格に対応する場合があります。

学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials

■化学のための量子力学について
 ・「量子化学 上巻」     原田義也著 (裳華房)
 ・「数学いらずの分子軌道論」 齋藤勝裕著 (化学同人)
 ・「絶対わかる化学結合」   齋藤勝裕著 (講談社)
 ・「化学結合の量子論入門」  小笠原正明、田地川浩人共著 (三共出版)
 ・「化学結合入門」      高塚和夫著 (東京大学出版)
 ・「初等量子化学」      大岩正芳著 (化学同人)

■量子力学の数学的取り扱いについて
 ・「量子力学」        小形正男著  (裳華房)   ー量子力学全般についてー
 ・「基礎 量子力学」     猪木・川合著 (講談社サイエンティフィク)
 ・猪木・川合両著者による量子力学シリーズも参考にしてください。
 ・「量子光学」        松岡正浩著  (裳華房)   ー電磁波の量子論やコヒーレント状態などー

授業計画 Class plan

15回の講義内容、および授業で習得する項目は以下の通りです。

  1. 光の前期量子論 光は、粒子か、波動か・・・光の量子論。 (前半)
光が粒子なのか、波動なのか、物理的な多角的視点から検証していく過程で、光量子という存在を物理的視点に基づき学習する。一般に、物質に対する粒子と波動の二重性という認識は、量子力学の全容と言えるほどの根幹部分であり、授業全体を通して強調する。

 2.量子論確立への歴史 原子編 (後半)
光量子で得た、量子という概念を質点系の粒子に対しても適用する。 トムソンではなく長岡の原子模型がゼーマン効果の解釈から見えてくる。そして離散的原子スペクトルを原子模型に基づく力学的前期量子論的論法によって解釈し、そこから量子力学的な原子模型と、これに対する外力による応答として原子スペクトルを得る描像を学習する。

  3.粒子と波動の二重性からシュレーディンガー方程式へ
電子を用いた実験から、電子の持つ量子論的な諸性質を明らかにし、そこから構成された波動方程式がシュレーディンガー方程式であり、量子力学的考察の根幹的な性質を説明する方程式であることを学習する。

  4.シュレーディンガー方程式の自由粒子解 ー そして無限に深い井戸型ポテンシャルの束縛問題 ー
外力を受けない質点の従うべきシュレーディンガー方程式を解くと、自由粒子解が得られることを学ぶ。また、簡単な模型の無限に深い井戸型ポテンシャルの波動方程式を解くことで、古典力学と決定的に異なる波動的性質について学習する。さらに二重スリットの干渉実験の議論を通して波動関数の確率解釈について学習する。

  5.無限に厚い障壁の量子力学的模型
古典的な粒子の挙動が、量子力学ではどのように再解釈されるのか、単純な障壁の例を用いて学習する。また、量子力学に特有なトンネル現象や量子がポテンシャルによって散乱される場合の透過・散乱現象の定量的な取り扱い方法を学習する。

 6.1次元井戸型・障壁型ポテンシャル中の散乱・束縛問題  ー 散乱問題編 ー
井戸型・障壁型ポテンシャルを用いて、波動関数の接続条件について学習する。また、障壁型ポテンシャル中の波動方程式を実際に解いて、得られた散乱状態を解析し、散乱状態の量子力学的性質に対する理解を深める。

 7. 1次元井戸型・障壁型ポテンシャル中の散乱・束縛問題  ー 束縛問題編 ー
波動関数を取り扱うにあたり必須であるヒルベルト空間論に関する初等的な部分について、直感的な取り扱い方法を習得する。また、井戸型ポテンシャル中の波動方程式を実際に解いて、得られた束縛状態を解析し、束縛状態の量子力学的性質に対する理解を深める。

 8. ラビ振動模型の解析
ラビ振動模型は、二準位系であって、時間に依存する相互作用を持ったシュレーディンガー方程式で与えられる。これは簡単かつ厳密に解けてしまう一方で、重要な応用があると同時に、今後も時間に依存する化学反応の定式化の一端を担う可能性が非常に高いので、これを習得する。

 9.1次元調和振動子
多くの現実的な問題に現れる模型に1次元調和振動子模型がある。これについて波動関数の微分方程式を解くこと、及び演算子法を用いて解くことで習得する。離散的エネルギー準位や波動関数を求める。また、その波動関数が正規直交関数系を構成していることを学ぶ。

 10 中心対称な系のシュレーディンガー方程式(1/2)  ー 方程式の動径成分(r)と固有値問題 ー
中心対称なクーロンポテンシャル中での3次元シュレーディンガー方程式を変数分離によって、1次元問題に分解する。そして水素原子を想定した中心力ポテンシャルであるクーロン力の場合について、波動方程式を実際に解き、解析解および離散的エネルギー準位(有名な水素原子エネルギー準位)を計算する。この時、動径方向のシュレーディンガー方程式は、陪ラゲール直交多項式によって解かれることを学ぶ。

 11.中心対称な系のシュレーディンガー方程式(2/2) ー 方程式の角度成分(θ、φ)と、球面調和関数 ー
角度方向のシュレーディンガー方程式を解き、その解が球面調和関数によって与えられることを学習する。そしてそれは、フーリエ関数および、ルジャンドル関数という直交多項式で与えられることを学ぶ。
また、角運動量演算子と球面調和関数の関係を固有値問題として捉え、角運動量の固有値が代数構造のみで決まる事を学ぶ。

 12.スピンと統計性そして角運動量の合成則
スピンという、古典的には存在しなかった角運動量に類似した概念を学習する。そしてスピン1/2の量子が電子であることを学習する。スピンが整数か半整数かによって、粒子の統計的な振る舞いが決定的に変わることを学ぶ。さらにそこからパウリの排他律が導かれることを学ぶ。

 13.ヘリウム原子模型の波動方程式
1つのポテンシャル中心を持つ多電子系の中で、最も単純な原子がヘリウム原子であるが、そのシュレーディンガー方程式は厳密に解けない。しかし、この方程式の解を近似的に求める幾つかの近似法が提供されており、その中で、一電子近似、変分法、トーマスフェルミ法、ハートリー法、ハートリーフォック法を学習する。さらにオルソヘリウムやパラヘリウムについても学習する。

 14.水素分子イオン模型の波動方程式
原子から離れて初等的な分子の取り扱いに入り、2つのポテンシャル中心のある1電子に対するシュレーディンガー方程式を立て、その変数分離を行い、厳密解があることを学習する。これがイオン化した水素分子模型である。また、2つあるポテンシャル中心のそれぞれに対して原子軌道(原子の波動関数)を考え、それらの重ね合わせで水素分子の波動関数を近似するLCAO近似について学習する。

 15.水素分子模型 ー そしてより一般の分子構造 ー
水素分子イオンにさらに1つの電子を加えて、中性の水素分子模型を考える。これには厳密解が知られておらず、LCAO近似で解くこととなる。その中で、Valence Bond法と、Molecular Orbital法の2つを学習する。そして、より一般の2原子分子では、それらの中間となる処方があり、フロンティア軌道法へ至る道を学習する。そして、最も単純な例としてブタジエンの誘導体の閉環反応を考えながら、化学反応の立体的選択性の理由が、フロンティア軌道にあることを学ぶ。

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks

講義を受けるにあたり、ネット通信環境やZOOM映像を視聴するPCやパッド、スマホなどが必要です。
教員も遠隔環境から講義をします。

また、講義の教室でZOOM授業を受けると、他の学生にちょっと分からない点を聞いたり、考えを共有する対話を聴講に支障ない程度にできるなど、教員が目の前にいないメリットも多く利用しましょう。
ZOOM授業であっても、マイクをONにしっぱなしにして、恥ずかしい雑談や雑音を流す学生がたまにおります。気をつけましょう。



授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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