シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
センシング工学
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Sensing Engineering
授業コード Class code
994519I
科目番号 Course number
45BAACM322

教員名
市村 直幸
Instructor
Naoyuki Ichimura

開講年度学期
2026年度前期
Year
2026年度
Semester
①First semester
曜日時限
木曜4限
Class hours
Thursday 4th. Period

開講学科・専攻 Department
工学部 機械工学科

Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering
単位数 Course credit
2.00単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
  センシングは,機械システムが内界および外界センサの出力信号に基づきシステム内部および外部の状況認識を行い,その機能を達成するために不可欠な技術である.近年では,IoT(Internet of Things)関連技術の発展に伴い,極めて多数の各種センサを我々の生活空間に埋め込み,それらの出力信号をネットワークを介して収集することも可能になっている.その結果,センシングの対象は,個別の機械システムからその集合体と言える社会システムに至るまでの広範囲に拡大し,大量のセンサデータが取得され,それらの統合や蓄積を通じ利用がなされている.また,近年のAI(人工知能)の急速な発展により,センサデータをAIにより解析する方法の研究開発も進んでいる.よって,今後のシステムは,センサとAIを包含したものが主流になると考えられる.
  これらの状況を鑑み,本講義では,センサから出力された信号の処理方法を学び,センシングを伴うシステムの構築方法に関する基礎事項を修得する.具体的には,画像センシングを題材とし,多次元信号処理を学習する.講義を通じ,センサ信号の時空間領域および周波数領域における解析,信号からの特徴抽出,不変特徴量,信号の対応付け,ディープニューラルネットワークなどの基礎を学ぶことができる.
  キャリアとの関係では,計測や制御,メカトロニクスに携わる研究者や技術者としての基礎的な知識が修得できる.よって,就職希望先として,計測機器や制御機器,医療機器,産業用ロボット,(自動運転)自動車などを製造するメーカーなどを考えている場合には,本科目の受講を勧める.
目的 Objectives
  処理結果が容易に可視化できる画像センシングという題材を通じ,一般的なセンサ信号処理とその応用であるディープニューラルネットワークの基礎を理解することが本科目の主たる目的である.よって,講義内容は,画像のみでなく他のセンサ信号にも適用可能なものとなっている.線形システムに基づく積和演算を根幹とする信号処理方法や,それに非線形変換を付加したニューラルネットワークの構造を理解し,システムが機能を達成するために必要な情報を,センサ信号からどのようにして取り出すかに関する思考能力や問題解決能力を養う.この目的から,本科目は,本学科のディプロマ・ポリシーに定める「最先端の科学技術に対応できる基礎学力及びエンジニアリング・センス」を実現するための科目である.
到達目標 Outcomes
1.イメージセンサの構造や機能の理解を通じ,物理量からのセンサ信号の生成過程や,S/N比とダイナミックレンジというセンサの性能指標などについて説明できるようになる.
2.信号処理において極めて重要な畳み込み演算(convolution)による時空間領域での信号解析が行えるようになる.特に,勾配フィルタにより信号の勾配を求めたり,正規化LoGフィルタによる信号の変化部分の抽出および部分帯域(サブバンド)への分解ができるようになる.
3.離散フーリエ変換を用い,信号やフィルタの周波数領域における解析方法が理解できるようになる.特に,周波数領域での畳み込み演算の実行方法についてわかるようになる.
4.スケールスペースピラミッドを用いた信号の多重解像度解析ができるようになる.また,ラプラシアンピラミッドと局所ヒストグラムに基づく,局所不変特徴量の構成方法が理解できるようになる.
5.最近傍法による特徴量の対応付け方法を理解し,対応付け結果を用いて複数の信号間での変換行列を推定できるようになる.
6.深層学習に関し,全結合型ニューラルネットワークと畳み込みニューラルネットワークの構造について理解できるようになる.また,それらを用いた連続関数表現であるImplicit Neural Representationや物体検出AI(時間が許せば画像生成AI)の基礎がわかるようになる.
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
  2年生までに習得した微分積分や線形代数,確率・統計の知識を必要とする.また,プログラミング言語pythonを使用した実習を行うが,これは基本的に与えられたプログラムを実行するのみのため事前知識は必要としない.この実習において本学の仮想PCを利用するので,あらかじめ利用可能な状態にしておくこと.利用方法についてはhttps://www.tus.ac.jp/students/の「東京理科大学 ITサービスのご案内」における「(3)教育用コンピュータ設備 」の「仮想PC」にある手順を参照のこと.
  なお,画像センシングを題材としているため,カメラを使用した機械システム,例えばロボットビジョン,車載カメラによる運転支援や自動運転などの基礎に興味がある場合は受講しやすいと考えられる.
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test/実習 Practical learning
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準備学習・復習 Preparation and review
  資料を事前に配布するため,それらにあらかじめ目を通し,講義の概要を把握しておくこと.また,各回の授業が強い関連性を持って進むため,必ず前回までの講義に関し復習をしておくこと.その復習の一環として,授業内容に関連する演習問題を出すので,それを解いて提出すること.演習問題は次回の授業の冒頭で解答する.
  授業等に関する質問は,口頭にて授業中,授業の前後,また,メールで随時受け付ける.  
成績評価方法 Performance grading policy
成績は,次の項目で評価する.
(1)演習問題:各授業後に適宜1〜2問程度の演習問題をLETUSを通じ出すので,次回の授業までに提出すること.解答は次回の授業冒頭で行う.(2),(3)のレポートの一部は,この演習問題と類似した問題により構成する.
(2)中間レポート:授業期間中に1回課すもの.これらは,講義内容およびそれに関連のある技術についての課題となる.昨年度は,フーリエ変換の基礎知識,フーリエ変換の具体的な計算,および,プログラミング言語pythonを用いた音声ファイルに対するスペクトログラムの計算などに関するレポートを課している.本年度もこれに準拠する予定である.なお,プログラミングにおいてはpythonの事前知識を必要としないよう配慮する.
(3)期末レポート:全授業終了後に課すもの.主として,講義内容を理解しているかどうかをチェックするものである.
(1),(2)および(3)の全体評価における重みは,それぞれ20%, 30%および50%である.(1)については授業で解答を行い,評価は個別に通知しない.(2)のレポートの評価は,LETUS上で簡単なコメントと共に通知する.(3)のレポートの評価は個別には通知せず,(1),(2)の評価も含めた最終的な成績評価により通知する.
 なお,評価は出席を前提としており,出席率が80%未満の場合は,全レポートを提出したとしても評価の対象から外れ不合格となるため留意されたい.つまり,授業へ参加すること,および,講義内容を的確に理解していることが合格の基準となる.授業に出席できない特別な理由がある場合や,出席できない事象が生じた場合には,必ず申し出ること.
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
ポワーポイントで作成した独自の資料を使用して講義を行う.講義資料はLETUSを通じて事前に配布する.
演習問題やレポートもLETUSを通じて配布と提出を行う.また,参考書等も適宜LETUS上で紹介する.

授業計画 Class plan
【各時限における授業内容の概要】
1.シラバスの説明,イメージセンサ,デジタル画像の表現
まず,シラバスに基づき本科目の目的と成績評価方法を示す.その後に,本科目で題材とする画像センシングにおいて使用されるイメージセンサについて述べる.光という物理量から電気信号を得る過程,S/N比とダイナミックレンジというセンサの性能指標,標本化と量子化によるAD変換,CCDとCMOSイメージセンサの構造等がわかるようになる.また,デジタル画像がどのように表現されるかについても学び,実際にコンピュータによって信号処理を行う場合の基礎知識を得る.

2.畳み込み演算,ガウシアンフィルタ
信号処理において極めて重要な畳み込み演算(convolution)について述べる.そして,画像処理における空間フィルタリングと,その典型例であるガウシアンフィルタに関し解説する.これにより,畳み込み演算を用いて,どのような効果を信号に与えられるかの基本がわかるようになる.

3.フーリエ級数,離散フーリエ変換(1)
信号の周波数領域での解析に使用される離散フーリエ変換の理解を目的とする.まず,連続信号のフーリエ級数展開について概説し,その後に離散フーリエ変換について述べる.三角関数が成す直交関数系を用いた信号の表現方法や周波数という概念を知ると共に,信号のスペクトル,パワースペクトル,位相スペクトルに関する知識が得られる.

4.フーリエ級数,離散フーリエ変換(2)
前回に引き続き,離散フーリエ変換について解説する.

5.画像の離散フーリエ変換
多次元信号のフーリエ変換に関し,デジタル画像を題材として説明を行う.2次元信号の正弦波による表現や空間周波数の概念,パワースペクトルや位相スペクトルとそれらの表示方法,位相限定画像等が理解できるようになる.

6.周波数フィルタリング
畳み込み演算を周波数領域で実行する方法の解説を通じ,空間領域での畳み込み演算と周波数領域での畳み込み演算の関係を理解する.また,フィルタリングに用いるオペレータの周波数応答を求める方法を学び,フィルタの性質の理解を深めることも目的とする.さらに,空間フィルタリングと周波数フィルタリングの計算量に基づく比較を行う.

7.勾配フィルタ
2次元信号から勾配(gradient)を計算するフィルタについて述べる.勾配の大きさや勾配の方向が,画像の対応付けや認識における特徴量として使用できることを示す.差分による勾配の計算方法や勾配フィルタの性質,データの勾配方向による分解(方向マップの計算)等について理解できるようになる.

8.正規化LoGフィルタ,ラプラシアンピラミッド
正規化Laplacian of Gaussian(LoG)フィルタについての理解を目的とする.オペレータの空間領域での形状,および,周波数応答を示すことにより,コントラスト検出機能やバンドパス特性などのフィルタの性質がわかるようになる.また,スケールパラメータの異なる複数の正規化LoGフィルタ(フィルタバンク)により生成されるラプラシアンピラミッド(Laplacian Pyramid)について述べる.さらに,Difference of Gaussian(DoG)関数による正規化LoG関数の近似についても述べ,変数分離に基づくガウシアンフィルタの高速実装を利用した正規化LoGフィルタの近似について説明する.

9.ラプラシアンピラミッドを用いた特徴点抽出,ヒストグラム特徴量
センサの信号処理において頻繁に使用される対応付け処理を目的とし,ラプラシアンピラミッドを利用した特徴点抽出方法を解説する.信号内で変化がある部分を表す特徴点やその固有スケールに関する解説を通じ,信号の多重解像度解析,および,特徴の並行移動不変性とスケール不変性という重要な概念についても学ぶ.また,信号の特徴を表現する方法として,特徴の発生頻度を表すヒストグラムを用いる方法について述べる.

10.局所ヒストグラム特徴量の対応付け,局所不変特徴量の構成アルゴリズム
特徴点周辺においてヒストグラムを計算することにより得られる,局所ヒストグラム特徴量に関し説明する.特に,勾配方向のヒストグラムによる輝度不変性の実現や,特徴点に局所座標系を付随させることによる回転不変性の付与について述べる.また,最近傍法による特徴量の対応付け方法も示す.さらに,前回と今回の授業内容をまとめ,並行移動,スケール,輝度,回転に関し不変性を有する局所特徴量の構成アルゴリズムを示す.

11.信号間の変換行列の推定,対応付けに基づく物体検出
特徴点の対応付け結果から,複数の信号間の変換行列を推定する方法を解説する.ファイン変換や射影変換など変換行列の種類,および,それらの推定方法に関し理解できるようになる.変換の推定方法は,DLT(Direct Linear Transformation)法,正規方程式を用いた方法,および,RANSAC(Random Sample Consensus)について説明する.また,それらの方法を用いた,対応付けに基づく平面物体検出についても述べる.

12.ディープラーニング概説,全結合型ニューラルネットワーク
生物の神経細胞の機能を模倣した人工ニューロンを用いる情報処理について概説する.特に,多数の人工ニューロンを層状に積み重ね,それらを結合することにより得られる全結合型ディープニューラルネットワークを概説し,さらにそのImplicit Neural Representationへの応用例を示す.

13.畳み込みニューラルネットワークによる物体検出AI(1)
ディープニューラルネットワークの一種である畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Networks:CNNs)を用いた物体検出について概説する.畳み込み演算に基づきCNNsではどのように情報が伝播されるか,また,タスクによるCNNsの構造の違いについて述べる.

14.畳み込みニューラルネットワークによる物体検出AI(2)
前回に引き続き,CNNsとその学習について解説する.特に,データ拡張(Data Augmentation)を用いた学習例について述べる.

15. GANによる画像生成AI(全体的な授業の進行状況に依存し,第13回および第14回の物体検出AIの続きとなる場合あり)
画像生成AIの目的について概説し,その具体例としてGenerative Adversarial Networks(GANs)について述べる.GANを用いた手書き数字の生成という具体例を通じ,画像の確率分布からのサンプリングにより無数の画像を生成できることを示す.

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
国立研究開発法人の研究員(コンピュータサイエンス)としての勤務経験を活かし,センシングに関する講義を行う.
他大学や企業向けのセミナー等においても,画像処理やAIなどについての教育経験を有する.
教育用ソフトウェア Educational software
Mathematica/MATLAB/Simulink/-
Jupyter Notebook (Anaconda3):Pythonのプログラム実行のために使用する.
その他,MATLABやMathematica,コマンドラインでのpythonの実行など,仮想デスクトップで使用可能なソフトウェアを各自の使用経験などに基づき活用することを推奨する.
問題が的確に解けていれば,使用するツールなどの種類は問わない.

備考 Remarks

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
Y
授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
Y