シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
情報と社会 (前期金1)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Information and Society
授業コード Class code
99KT153
科目番号 Course number
L3CACDEc21

教員名
林 智彦
Instructor
HAYASHI Tomohiko

開講年度学期
2026年度前期
Year
2026年度
Semester
①First semester
曜日時限
金曜1限
Class hours
1st period, Friday

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 応用物理学科(一般教養科目)、工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)、薬学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Department of Applied Physics, Faculty of Science Division Ⅰ
A course of liberal arts, the Faculty of Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Pharmaceutical Sciences
単位数 Course credit
2.00単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
履修形態 Course form
薬学科:選択 生命創薬科学科:選択
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
人類が容易に処理できない規模の情報が日々生成・流通・蓄積される「情報爆発」の時代において、私たちの認知や判断はさまざまな歪みにさらされている。
かつて社会の木鐸としての役割を期待されたマスメディアも、今や情報流通の主役を担うソーシャルメディアも、それぞれに重大な問題を抱えており、現代の情報社会は深刻な機能不全——「情報障害」——に陥っている。
本講義では、この問題の構造的・理論的な側面に焦点を当て、認知バイアスや論理的誤謬がいかにして人々の判断を歪めるかを検討するとともに、陰謀論の生成・拡散メカニズム、そして情報空間を戦略的に操作しようとする「認知戦」の諸相を考察する。
伝統的なメディア論と情報爆発を踏まえた現代のメディア研究の成果を架橋しながら、情報障害の本質を概念的・定性的に理解することを目指す。
(後期の「現代世界のメディア」が定量的・具体的な方法論にフォーカスするのに対し、本講義は主に理論的・定性的な側面に焦点を当てる)
目的 Objectives
  1. 情報爆発が現代社会にもたらす構造的な問題を理解し、「情報障害」という概念を用いて説明できる。
  2. 認知バイアスおよび論理的誤謬の主要な類型を習得し、日常的な情報接触において自己の思考を批判的に点検する態度を養う。
  3. 陰謀論の心理的・社会的な生成メカニズムを理解し、その拡散を可能にするメディア環境の構造を説明できる。
  4. 認知戦の概念と実態を把握し、情報空間が政治的・社会的に操作されうることへの批判的意識を高める。
  5. 伝統的なメディア論(マスメディア批判を含む)と現代のメディア研究を接続し、情報社会を読み解く基礎的な分析枠組みを身につける。

本講義は、「教養教育の目標」に掲げられた目標のうち、特に①「専門分野の枠を超えて広い視野で多元的・複眼的に自然・人間・社会を俯瞰できる能力」、④「正解のない課題に対しても積極的に挑むための判断力・行動力」を滋養するための科目として位置づけられる。


到達目標 Outcomes
本講義を成功裏に修了した学生は、以下のことができる。
  1. 概念の説明 「情報爆発」「情報障害」「認知戦」などの基本概念を、自分の言葉で正確に定義・説明できる。
  2. バイアスの同定 ニュース記事やSNS投稿などの具体的な事例に対して、関連する認知バイアスや論理的誤謬を名指しし、その作用を説明できる。
  3. 陰謀論の分析 特定の陰謀論や誤情報事例について、その心理的・社会的・メディア環境的な生成・拡散要因を多角的に分析できる。
  4. メディア論の適用 マクルーハンらの伝統的なメディア論の主要概念を現代のソーシャルメディア環境に適用し、その有効性と限界を論じることができる。
  5. 批判的自己省察 自らの情報行動(検索・シェア・判断など)を振り返り、認知的脆弱性を自覚したうえで対処の方向性を述べることができる。
  6. 論述 上記の内容について、根拠を示しながら論理的な文章を構成できる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
関連する卒業認定・学位授与の⽅針(薬学部のみ)
薬学科:DP1 生命創薬科学科:DP1
履修上の注意 Course notes prerequisites
  • 期間中に2回程度、レポートの課題を課します。成績はレポート課題の回答と、それに基づく発表で評価します。
  • 授業予定は途中で変更の可能性があります。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion/プレゼンテーション Presentation/-
-

準備学習・復習 Preparation and review
  • 毎回スライド資料をLETUSにアップするので、それを次回の準備や復習に活用してほしい
成績評価方法 Performance grading policy
下記の割合で評価する。試験は行わない。なお、課題は二回を予定しているが、授業の進捗に応じて、増やす可能性もある。
- 提出課題:70%
- 課題に基づいた発表や授業参加:30%
レポート課題はルーブリックで評価します。詳細は授業の中で説明します。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
-
MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
参考書認知戦 悪意のSNS戦略文藝春秋
参考書ニュースの数字をどう読むかちくま新書
参考書全員“カモ”東洋経済
参考書陰謀脳早稲田大学出版部
参考書エビデンスを嫌う人たち国書刊行会
参考書ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ vol.1小学館
参考書ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ vol.2小学館
参考書ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ vol.3小学館
参考書ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ vol.4小学館





授業計画 Class plan
第1回 ガイダンス:情報爆発の時代を生きる [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:情報爆発の現状をデータで示し、本講義全体の問題意識(情報爆発が情報障害をもたらす構造)を提示する。学生自身の情報行動を振り返るワークを行い、後期「現代世界とメディア」との関係も説明する。

第2回 情報社会論の系譜 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:マクルーハン「メディアはメッセージ」など、情報社会論の古典を現代のSNS環境に照らして批判的に検討する。

第3回 マスメディアの盛衰 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:近代ジャーナリズムの成立と崩壊を歴史的に辿る。Reuters Institute等の国際データでメディア不信の現状を確認する。

第4回 ソーシャルメディアの台頭と情報流通の変容 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:プラットフォーム資本主義(スルネック)、フィルターバブル(パリサー)、エコーチェンバーの概念を解説する。アルゴリズムの「エンゲージメント最大化」が情報の質に与える構造的影響を説明する。

第5回 情報障害(インフォデミック)とは何か [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:Wardle & Derakhshanの三類型(ミスインフォメーション・ディスインフォメーション・マルインフォメーション)を解説する。COVID-19インフォデミック・東日本大震災のデマ事例を通じて情報障害の実態を分析できる。第一回の課題を課す。

第6回 認知バイアス①:知覚と記憶の歪み [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:カーネマンの二重過程理論(システム1・2)を基盤に、確証バイアス・フレーミング効果・真実錯覚効果などを解説する。各バイアスを日常的なメディア利用の文脈で具体的に説明し、自己省察の態度を養う。

第7回 【発表会】学生による発表 [演習(その他)]
担当教員:林 智彦
授業内容:前半の議論を踏まえ、認知バイアス・情報障害・メディア論の観点から論述・考察する能力を評価する。発表者は課題回答者の中から教師が指名した優秀者と自ら希望した者とする。

第8回 認知バイアス②:社会・集団バイアス [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:内集団バイアス(社会的アイデンティティ理論)・権威バイアス・バンドワゴン効果・ダニング=クルーガー効果を解説する。SNS上の集団分極化や「怒りの拡散」研究と接続し、社会的バイアスの影響を分析する。

第9回 論理的誤謬の類型 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:人身攻撃・藁人形論法・滑り坂論法・チェリーピッキング・感情訴求など主要な非形式的誤謬を分類・解説する。政治的発言・SNS投稿・報道の実例から誤謬を同定し、議論の論理的欠陥を説明する。

第10回 陰謀論の心理学 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:陰謀論を信じる三動機(認識論的・存在論的・社会的)と、アポフェニア・エージェント検出・比例バイアスなどの認知的基盤を解説する。

第11回 陰謀論の社会学・メディア論 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:QAnonの事例を軸に、陰謀論コミュニティの社会的構造とARG的ゲーム性を分析する。アルゴリズムによる過激化パイプライン・反ワクチン運動・気候変動否定論を扱い、脱過激化戦略も検討する。第二回の課題を課す。

第12回 プロパガンダの歴史と技法 [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:古典的プロパガンダ技法(スケープゴーティング・感情訴求・反復等)を解説する。世界大戦時のポスターと現代SNSのプロパガンダ手法の連続性と変容を比較する。

第13回 認知戦(Cognitive Warfare) [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:NATOの認知戦概念・ゲラシモフ・ドクトリン、シャープパワーを解説する。IRAによるSNS操作・ウクライナ戦争の情報戦・台湾を標的とした認知戦の事例を通じ、情報操作の地政学的次元を分析する。

第14回 【発表会】学生による発表 [演習(その他)]
担当教員:林 智彦
授業内容:後半の学習成果をもとに個人発表を行う。発表者は第二回の課題の優秀回答者と希望者。情報障害への批判的分析・メディアリテラシーの実践的提案を総合的に評価する。

第15回 総括:情報障害を乗り越えるために [講義]
担当教員:林 智彦
授業内容:全14回の内容を「個人」「プラットフォーム」「社会・国家」の三層で総括する。情報障害への対応策(SIFT法・CRAAP・OSINT・データリテラシー・制度的対応)を整理し、後期「メディアと現代世界」への橋渡しを行う。

SBOsコード(薬学部薬学科のみ 2023年度以前カリキュラム適用者対象)
学修事項(薬学部薬学科のみ 2024年度以降カリキュラム適用者対象)

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
担当教員は週刊誌記者・編集者をふりだしに、書籍・雑誌編集者、ウェブ運営者として30年間、メディアの仕事をしてきた。
記者としては、阪神大震災やオウム事件を取材。
ネット関連では、1996年、日本の出版社としては初のウェブサイト立ち上げを手掛け、2010年には電子書籍ベンチャーの立ち上げに参画。
現在は、出版社ウェブサイトのプロダクト・マネージャーを務める。SNS公式アカウント運営の経験も。
専門統計調査士/JFC認定ファクトチェッカー。
紙・電子、ジャーナリズム・出版、アナログ・デジタル、ソーシャル・マスをまたいだメディアの経験を元に、「情報地獄(Infocaplypse)」とも称される現状打開の方策を、できる限り偏りのない視点から学生と共に考える授業にしたい。
日本読書学会、日本計量行動学会、社会情報学会会員。

【研究業績一覧】
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1gkrRn-fuou_6LEsvJC7XO4ulUZp_jA303IyoYClySVw/edit?usp=sharing 
教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
課題の回答に生成AIを用いてよいが、必ずチャットの共有URLをつけること。
生成AIを用いているのに共有URLをつけていなかったり、つけてあったとしても、「生成AIの回答をそのままコピペ」であったりすると評価は低くなる。
詳しくは授業の中で説明する。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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