シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
倫理学2 (前期月2・村上)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Ethics 2
授業コード Class code
99KT20V
科目番号 Course number
L3HSHUM102

教員名
村上 学
Instructor
MURAKAMI, Manabu

開講年度学期
2026年度前期
Year
2026年度
Semester
①First semester
曜日時限
月曜2限
Class hours
Monday, 2nd period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 応用物理学科(一般教養科目)、工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)、薬学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Department of Applied Physics, Faculty of Science Division Ⅰ
A course of liberal arts, the Faculty of Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Pharmaceutical Sciences
単位数 Course credit
2.00単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
履修形態 Course form
薬学科:選択 生命創薬科学科:選択
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
科学技術の進展は、同時に様々な倫理問題を顕在化させました。そうした問題について科学研究者はもはや知らないではすまされず、むしろ積極的とも言える規則の遵守と、新しい状況への柔軟な対応が求められています。ところが、他方で現代は「価値観が揺らいでいる」とか、「価値は多元的・多様で一つに決められない」という言説に溢れる時代でもあります。我々は何によって自らの行為の良し悪しを判断し、より良い選択をすることができるのか、多くの人がその答えを日々探している状況にあります。そして最新の科学・技術の現場では、従うべき規則が定まっておらず、そしてこれからどんな状況になっていくのか不透明な場所に立つことになります。ますます、自らの判断、あるいは科学・技術研究やその使用に関係する人たちの共同体の中での議論と同意が重要になるだろうと考えられます。
こうした時代において、最も問題の多い、しかし相当に重要な価値観の一つが「正義」です。2026年度は「正義」について参加者と一緒に考えていくことにします。
我々が「正しく」生きるには、社会が健全である必要があります。たとえば戦争状態であれば「人を殺す」ことを強いられ、「正しく」あることは難しい(むしろ「人殺し」が正義の如く扱われることになります)。差別に気がつかない社会では、誰もがそれを当たり前だと思ってしまう。そうなると「それ(ある特定の差別)は不正だ」と主張する人が周りから正当に扱われないということが起きてしまいます。いまや「正義」は個人の(倫理や道徳の)問題ではなく、社会や政治の問題となっています。ところが、「社会」とは、「われわれ」の生活圏です。我々が正しく振る舞うことなしに、社会の正義は実現されない。こうしたパラドックスを含め、正義は立ち止まって考えるに値する課題です。

本授業では、本学の目指す「良心」を備えた科学者育成にかかわって、現代の倫理問題と倫理理論をとりあげながら、現状、可能な選択肢、周辺問題を整理しつつ、実際にどのような選択肢がありうるかを一緒に考えていきます。それらを通じて、それぞれの受講者に倫理学に関する基本的な知識や考え方を身につけてもらいます。そして今後直面するであろう具体的問題に対して最善の選択ができるように準備することを目標とします。
目的 Objectives
この授業は本学部のディブロマポリシー及びカリキュラムポリシーに定める「豊かな人間性・想像力と国際性を備え、多面的にかつ新しい視点を持って科学技術の発展に貢献できる人材の育成」を実現するための科目である。受講者は、この講義を通じて、基本的な倫理問題を概観し現在の問題点と可能な選択肢を数え上げることができるようになるでしょう。その上で、「豊かな人間性」と「良心」を備えた科学者になる礎を築くこ とを目指します。それぞれの受講者が倫理学に関する基本的な知識や考え方を身につけ、そして今後直面するであろう具体的問題に対して最善の選択ができるように準備することを目指す。
到達目標 Outcomes
【到達目標】
・「倫理学」が何を問題にしてどのように探究を進めるか、おおよその説明ができる。

・科学の発展にともなって応用倫理の問題が生じてくる、おおよその構造を説明できる。
・倫理学が扱う各概念について、それがどのような概念なのか、おおよその説明ができる。
・日常の場面において生じている倫理問題について、倫理学の概念や理論を用いて分析的に考察できる。
・「倫理的に生きる」とはどのようなことか、自分なりの言葉で語ることができる。
・「正義」について、現代的な問題の位相をおおよそ説明できる。
・「正義」について、自分なりの考えだけでなく、可能な考え方の選択肢を理解することができる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
関連する卒業認定・学位授与の⽅針(薬学部のみ)
薬学科:DP1 生命創薬科学科:DP1
履修上の注意 Course notes prerequisites
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion
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準備学習・復習 Preparation and review
準備)シラバスの授業計画や、授業中の予告等を参考に、トピックについて自分の関心の範囲で最近の事例等を調べておくこと。また、それによって「なぜ」「どのように」倫理や道徳に関する判断や行為がなされたのか、推測したり疑問を明確にしておくこと。(60分程度)
(復習)授業で説明された基本的な倫理学の概念の知識を正確にした上で、 各回で解説される応用倫理の問題について、具体的な事件・事例を参考に、それがどのような出来事であったのか、どのような思考・判断がそこで働いていたのかを説明できるようになる。 
不明な点はビデオやプリントで再確認する。
復習の上、小テストを受験して理解度を確認する。(120分)
成績評価方法 Performance grading policy
到達目標の達成度によって評価する。
(小テスト(30%)と到達度確認テスト(70%)による)
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
授業内で指示する

必要に応じてプリントを配布することがある

授業計画 Class plan
(授業は講義形式で進行するが、受講者はそこでの話を遮って疑問などを指摘することができる。必要に応じてディスカッションを行う)

1. イントロ:なぜ、今「正義」が問題なのか。 [対面講義」(村上)
世界、政治、倫理において、さまざまな仕方で「正義」が問題であり続けている。まずはその状況を確認しよう。

(復習)「正義」がなぜ問題なのか、説明できるようになる。

2. 現代倫理学の最前線と正義。  [対面講義」(村上)
現代の最先端の倫理学での議論で何が問題になっている「認識的不正義」という考え方を紹介する。これは現代政治学だけでなく、たとえば社会学(差別や人権など)にも大きな影響を与えている。
「認識的不正義」の問題を概観し、そこから我々が「正義」のどの部分に着目し、「正義」をどのように扱っていくべきか、その見通しを得る。

(復習)「認識的不正義」について、概要を説明できるようにする。

3. 正義論の伝統:中世以後   [対面講義」(村上)
「正義」を考える時、何について考慮する必要があるか。これをまずは「法学」の成立と関連付けて、「ユスティアヌスの定義」を眺めることにする。これによって、正義は誰に対して、あるには何に対して適用されるのか。まずはその問題の古い答えに遡って考えてみることにする。

(復習)「ユスティアヌスの定義」の含意について、おおよその説明ができる。

4. 正義論の現在と一般的誤解① 功利主義  [対面講義」(村上)
功利主義は現在、一般的には人気がない考え方であるが、しかし、一部の理論家からはその改良版が提案されている。

(復習)功利主義の概要とその正義に関する主張の概要が説明できる。

5. 正義論の現在と一般的誤解② 契約主義 [対面講義」(村上)
社会科学者の多くが契約主義を採用しているにもかかわらず、その問題点が考慮されているかどうかが怪しい。

(復習)契約主義の概要とその正義に関する主張の概要が説明できる。

6. 正義論の現在と一般的誤解③ 平等主義 [対面講義」(村上)
学生に正義について意見を言わせると、最も多くが平等主義を採用しているように見える。原因の一つは学校教育の現場(あるいは「日本政府」)において暗黙のうちに前提されてている考え方になっているからであろう。その射程と限界は再確認の必要がある。

(復習)平等主義の問題点が説明できる。

7.  正義論を見直す① 区別  [対面講義」(村上)
法や規則との関係。「法・規則を守る」ことは「正義」の最もわかりやすい事例であると考えられている。だが、法・規則に基づくものが「正義」なのか。それとも、法・規則を測る(設定・変更する)基準が正義なのか。

(復習)正義が法や規則とどのような関係になるのか、その区別が説明できる。

8. 正義論を見直す② 範囲 [対面講義」(村上)
「正義が無関係になるような状況」(ヒューム)について。誰もが幸せだったらもはや正義は問題にならない、ということがあるのか。また、国家や共同体が違えば正義の内容が違う、というのは真実か。人間以外の動物にも「正義」は問題になるのか。

(復習)正義の範囲設定が持つ問題点が説明でき、暫定的な「問題圏」をおおよそ見通すことができる。

9. 正義論を見直す③ 制度と個人 [対面講義」(村上)
「正義」が悪者になる事態は正義についての誤解と直感的な正解による。
「制度に要求される正義が個人に適用できない事態」について学ことで、「個人の自由・幸福を『正義が阻害する』」事態を解きほぐす。

(復習)制度における正義が個人には適用できない場面を説明できる。(市井に流布している「正義が人を傷つける」という言説の意味が理解できる)

10. 倫理学に「正義」を取り戻す [対面講義」(村上)
これまでの考察を振り返りつつ、再び「正義」が問題になる場所について検討する。正義の現代的な側面として、すでに「認識的不正義」を取り上げてある。再びここに戻り、人間認識と関連づけて考える議論を検討する。そこから、正義が徳目の一つだったこと。我々の日常には、むしろ個人の「正義」を必要としているようにも見える。その点をまず反省してみたい。その上で、我々自身の行為の選択、生き方の選択において問題となる「正義」を見直してみる。

(復習)四つの徳の概要と、そのうち「知的徳」と正義の関係について説明できる

11. 知的徳と正義①:アリストテレスの「正義」とプラトンの「正義」 [対面講義」(村上)
アリストテレス『ニコマコス倫理学』は「正義論」の古典である。そこでは、個人の徳としての正義と、共同体・政治における正義の二種について、ある種の連絡と断絶の両方を予見させる議論がある。そこから、さらにソクラテス・プラトンにおける正義の問題へと遡ってみる。

(復習)アリストテレスによる正義の規定の概要が説明できる。

12. 知的徳と正義②:自然の正義、強者の正義、徳としての正義 [対面講義」(村上)
正義論の原点に戻ってみる。
プラトンが描くソクラテスにとって「正義(正しさ)」は、生き方の規範そのものだったように見える(『ソクラテスの弁明』『クリトン』『ゴルギアス』)。その点の振り返りが、現代の「正義論」の射程とその限界を露にする。正義を自らの問題にすることについて、その出発点を探ってみる。

(復習)ソクラテスにおける正義の問題とその困難について概要を理解できる

13. 知的徳と正義:善のイデアと共通善  [対面講義」(村上)
倫理学(生き方についての知)の解答としての「正義」
プラトンの『国家』から、正義の問題を見直してみる。現代の正義論の有用性とともに、そこでは見失われている(問題にされていない)「正しい人」であるその根拠としての「正義」がどのようなものでありうるのかを考えてみたい。正義は一方では社会・共同体の問題であったが、それが自らの問題となるのはどのような仕方であるのか。

(復習)プラトン『国家』で提示されている問題を整理してみる

14. まとめ:我々にとって「正義」を論じること [対面講義」(村上)
「正義の味方」とは、どのような人のことなのか。我々にとって、すなわち現代における正義とはどのようなもので、我々が自らの内に「正しさ」を持つとはどのようなことであるか。

(復習)自分にとっての「正義」について、まとまった意見が言えるようになる

15. 到達度確認 [試験・対面講義」(村上)
授業で考えたこと。理解できたことを振り返り、その到達度を試験によって確かめる。


SBOsコード(薬学部薬学科のみ 2023年度以前カリキュラム適用者対象)
学修事項(薬学部薬学科のみ 2024年度以降カリキュラム適用者対象)

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
授業を第3回目から受講することになった受講者は、プリントその他で第1回、第2回の内容については各自で学習しておくこと。
特に第2回で提示される基本概念については事典・辞書なども活用して学習しておく必要がある。この点、授業の内容の理解のための基礎的な知識があることが望ましい。その点、カテゴリーBで「哲学」「現代社会と倫理」あるいは「社会学」「政治学」などの関連する分野の学習をしていない学生は特に注意して本授業の予習・復習を進めること。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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