シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
教養フォーラム(文化と思想) (前期木2・村上他)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Liberal Arts Forum for Freshmen(Cultureand Thought) (前期木2・村上他)
授業コード Class code
99KT5F8
科目番号 Course number
L3IDSEM124

教員名
松浦 真澄、昼間 賢、村上 学
Instructor
Murakami, Manabu
Matsuura, Masumi
Hiruma, Ken

開講年度学期
2025年度前期
Year
2025年度
Semester
①First semester
曜日時限
木曜2限
Class hours
Thursday, 2nd period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 応用物理学科(一般教養科目)、工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)、薬学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Department of Applied Physics, Faculty of Science Division Ⅰ
A course of liberal arts, the Faculty of Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Pharmaceutical Sciences
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
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授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
本授業の目的と目標は別途記載の通りとする。
 本授業の具体的テーマは「心を考える・知る・語る」とし、哲学、心理学、文学の3人の専門家によるオムニバスとする。

【哲学】
 まず、哲学からはじめよう。「心」はどの時代にあっても大きな謎の一つであり、そしてその捉え方は時代によって違っていた。それはたとえば「魂」から「精神」、あるいは「心」へ、そして「脳」へと、人間の、そして世界の眺め方の変化と連動している。では、現在、「心」にかかわる哲学的問題はどうなっているのだろうか。果たしてAIは「心」となりうるのだろうか。あるいは、心理学と哲学の重なりと断絶。心の「科学的解明」とその限界、文学や歴史などの人文学は心の解明にどのような寄与をするのだろうか。「心」の謎を一緒に考えていきたい。

【心理学】
 心理学の立場からは、「心」を科学の対象とすることについて、特に「心の問題」の理解や支援の在り方について考える。まずは心理学の全体像や、基本的な考え方について概観する。次に、伝統的心理療法や現代において標準的とされる心理療法について概観し、その上で、それらとは異なる立場の考え方・実践について学ぶ。「心」の「問題」を科学や支援の対象とすることの特殊性や可能性について考察していくことになる。

【文学】
 そして最後に、言葉によった「心」の表現として、文学の基本ジャンルである詩について、事例とともに学ぶ。「心」が問題になるとき、それを問題視し改善しようとするなら、それをどう言葉にするかが改善の端緒となる。なかなか言えないこと、あえて言わないことを言葉にする。詩はその結果でありうる。それは、目に見えない「心」の様態にかたちを与え、見えるようにすることでもあり、基本かつ最終的には「私」の問題でもある。じっくり読み、考えてみよう。

 本授業を通して、教養を学ぶ面白さの一つに「自他の心を知る」ことがあること。そしてその「心」へのアプローチ/切り口は決して一つではないこと。心を知るためには、様々な関連分野を行き来しながら考えていかなければいけないことを体感できるだろう。ここからさらに次の教養の学びへと進んでほしい。

担当教員
村上(哲学・倫理学)
松浦(臨床心理学)
昼間(フランス文学・芸術)

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 なお、本授業は、くさび型教養教育におけるカテゴリーA(オムニバス)の授業である。分野は主に人文社会に分類されるが、この分類は暫定的なものでしかなく、自然科学の知見も扱う総合的な授業である。
 他の生き物と、あるいは機械(ロボット)と区別され、「人が人である」その第一の印は「心がある(を持つ)」であろう。人間を知るとは「心を知る」ことであると言っても過言ではない。様々な分野を紹介しながら、人の心に関わる問題圏を論じることで、教養の学びへの入門としてほしい。
目的 Objectives
本学の教養教育の理念に基づき「教養と科学と技術を一体と捉え、複雑化・多様化する社会で活躍できる人材の育成に寄与することを目指す」。
 そのための教育システム「東京理科大学型くさび型教養教育」の出発点(カテゴリーA)に本授業は位置している。それは教養教育の到達点(目標地点)を様々な分野で見せる「オムニバス科目」または、各分野の広さや面白さ、意義等を学生に気づかせる「ガイダンス的科目」として展開されるが、本授業では後者を基本とする。
 本授業によって、次のカテゴリーB及びC、Dでの履修選択を「自由に」かつ主体的に行えるように受講者に様々な知識、情報、示唆を与え、教養そのものの面白さを表現することを目指す。
到達目標 Outcomes
本授業の目的は、上記目標に向けて次のようになる。
・教養科目・分野の幅広さとそれらの有機的つながりを俯瞰的に理解できる。
・テーマについて哲学、心理学、文学3つの各分野の現在の到達点について一定の理解を持つ。
・テーマについて哲学、心理学、文学3つの各分野の謎(問題)がどのようなものかを理解し説明することができる。
・教養科目について自由に選択するための情報を持ち、実際に主体的に選ぶことができる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
本授業は、各教員、各回によって、対面、遠隔同期、遠隔非同期の各方法を採用する。
履修者はLETUS上の当該コースを参照し、各回の履修方法を確認すること。
授業には定員が設定される。初回の授業で受講希望者が定員を超える場合は抽選することがある。(野田キャンパスの定員は40名の予定)
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion/グループワーク Group work
まとめの回ではグループディスカッションや発表・質疑応答などを行う予定

準備学習・復習 Preparation and review
各回に授業準備・復習については別にこれを指示する。
詳細はLETUSコース上の該当回を参照すること。
成績評価方法 Performance grading policy
各回で実施される小テスト(または小レポート)(約40%)と到達度評価(試験)(約60%)によって評価する。

具体的点数配分は授業中(第1回)で説明する。
小テスト、レポートの詳細はLETUSコース上に掲載する。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
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書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
必要な場合は授業内で配布または指示する。

授業計画 Class plan
第1回:ガイダンス(講義・対面*)[村上、松浦、昼間] 
 *「対面」とは教室での受講を意味します。その他の回の授業方法はガイダンスで予定を説明しますが、予定は変わることがありますので毎回必ずLETUSのコースを参照ください。
本授業の担当者を紹介し、授業内容、進行方法、評価方法などを説明する。
また、本学の教養科目のうち、特に人文学、社会科学の科目についても紹介して、今後の履修の参考となる情報の提供を行う。

第2回:(哲学1) (講義・対面*)[村上]
「心」をめぐる現代の問題を概観する。
心とは結局「脳」の活動なのか、AIは心を「再現」できるのか、我々の「心」が病気になるとはどのようなことか。「言葉によって」心が癒されたり、傷ついたりする、というのはどういうことか。などなど。
「自分・私」の中「心」にある「何か」が現代でも謎であることを確認しよう。

第3回:(哲学2)「心」ははじめから「心」だったわけではない (講義・対面*)[村上]
 「心とは何か」自体が現在、AIとの関連で問題である点から出発し、「心」の概念史と呼べるような説明を展開する。「魂(プシュケー)」、「霊(アニマ)」から「精神」「心」「脳」へと至る「心の捉え方」を概観して、心自体が謎であることを理解する。

第4回:(哲学3)「心的言語」:心があるから成立する「言語」 (講義・対面*)[村上]
 我々が「心」と呼ばれる特別な何かを「持つ」かどうかについては見解が分かれる。心が実は「脳の物理的機能の表現」である(「心が脳に還元できる」=心脳一元論)なら、心の働きの全てが物理法則で表現できるはずである。ところが、近年、「心は特殊な存在者である」という考えが復権してきた。その証拠として挙げられるのが「言葉」や「概念」の使用である。もしそうなら、コンピューターが「心」を持つ場合、どのようでなければならないのだろうか。概要だけだが、みんなで考えてみたい。

第5回:(哲学4)「心の謎」と哲学についての質疑応答 (講義・アクティブラーニング・対面*)[村上、松浦、昼間]
 「心の謎」の話の続きはさまざまな教養科目及び関連専門科目においても引き続き問題にされるが、ここで一度立ち止まってみんなで考えてみる。心についての哲学からの言い分はまっとう(あるいは正当)なのか?哲学から袂を分ち、独自の考察を積み重ねてきた心理学から見れば、単なる言葉遊び。現実からかけ離れているのではないか。また、文学から見れば、哲学的な心の捉え方は「ドライ」すぎて、あるいは「分析的」すぎて、生の生々しさが足りないように見えるかもしれない。もっと心は不可解で、もっと複雑で、「捉えどころがない」ことがその本性なのではないか。各専門家から哲学の言い分に対する批判的な吟味を受け、それに哲学からの応答を試みる。


第6回:(心理学1) 心理学と臨床心理学 (講義・対面*)[松浦]
 多岐にわたる心理学の主な分野について紹介し、全容を概観する。そして目に見えないはずの「心」をどのように研究の対象にしてきたのか、代用的な方法を説明する。その後、臨床心理学の歴史や代表的な理論について概観する。

第7回:(心理学2) 心の問題をどのように支援するか:スタンダードな支援 (講義・対面*)[松浦]
 うつ病を例に挙げ、心の問題の診断、検査、治療・支援について、標準的かつ代表的な理論や方法(心理療法など)を概説する。その後、当たり前のようにおこなわれやすい「問題の原因を探すこと」「問題が人の中にあると考えること」による弊害や問題について検討をおこなう。

第8回:(心理学3) 心の問題をどのように支援するか:非・スタンダードな支援 (講義・対面*)[松浦]
 かつて「魔術師」と称された天才的療法家の実践エピソードを読み、「問題の原因を探すこと」「問題が人の中にあると考えること」等をおこなわない支援について考察する。

第9回:(心理学4) 心の問題をどのように支援するか:異なる立場 (講義・アクティブラーニング・対面*)[村上、松浦、昼間]
 問題の捉え方や支援の在り方について反省をした実践家たちが、どのような心理療法を編み出してきたか。伝統的な心理療法とは異なる立場について、担当者の私見を含め提示する。哲学の担当者、文学の担当者からのコメントを受け、何かしらの交流を期待する。


第10回:(文学1)詩、「私」ではない表現。(講義・対面*)[昼間]
 詩は、私のものであり私だけのものではない「心」を表す。心は目に見えない。現代の詩は「イメージ」が重要である。

第11回:(文学2)絵心と無心。 (講義・対面*)[昼間]
 諸芸術のうち心ともっとも深い関係にありそうなのは、絵心と言うように、絵画だろう。また、西洋の思想とは別様に展開してきた東洋の思想では、心は非常に重要である(からこそ、実は説明されないできた)。ここでは「無心」「無我」について考える。

第12回:(文学3)様々な詩句、様々な心。切羽詰まった言葉たち。(講義・対面*)[昼間]
 現代社会において、詩人はマイノリティの象徴でありうる。ということで、ここでは障害者の詩や死刑囚の句など、熟読し、そうした立場に立ってみよう。

第13回:(文学4)汚い心から美しさへ。「全体」を目指す言葉としての詩。 (講義・対面*)[村上、松浦、昼間]
 人に言えない苦しみ、自分だけではないかという恥ずかしさが、詩の原動力になる。詩と心、となると、美しいとの形容がなされがちだが、ではその美しさとは何であるか。一考に値しよう。第5回、第9回同様、ここでは哲学の担当者および心理学の担当者と対話を試みる。


第14回:まとめ  (講義・アクティブラーニング・対面)[村上、松浦、昼間]
 授業担当教員3名がシンポジウム形式で本授業全体を振り返る。

第15回:到達度確認 (試験・対面)[村上、松浦、昼間]
 受講者の到達度を確認する。
 方法については授業内で指示する。
SBOsコード(薬学部薬学科のみ 2023年度以前カリキュラム適用者対象)
学修事項(薬学部薬学科のみ 2024年度以降カリキュラム適用者対象)

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
本授業は2022年度以降はくさび型教養教育「カテゴリーA」科目として実施されるものである。


授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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