シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
現代医療論 (後期金3)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Contemporary Medicine (後期金3)
授業コード Class code
99KT50Y
科目番号 Course number
L3IDSTS122

教員名
愼 蒼健
Instructor
Chang-Geon SHIN 

開講年度学期
2025年度後期
Year
2025年度
Semester
②Second semester
曜日時限
金曜3限
Class hours
Friday 3rd, Period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 応用物理学科(一般教養科目)、工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)、薬学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Department of Applied Physics, Faculty of Science Division Ⅰ
A course of liberal arts, the Faculty of Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Pharmaceutical Sciences
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
<授業のやり方について>
 この授業は、対面型を予定している。

<概要>
本授業の大テーマは、「先端科学技術と生命・身体」である。
授業では大きく3つの領域を扱う。
(1) 脳死・臓器移植
(2) 予知医療・遺伝医療・再生医療
(3) サイボーグ技術

 どのような科学技術も、光と影の両面を持っている。例えば、(1)では臓器提供を受けたクライアント。(2)では染色体異常の出生前診断を行うカップル。(3)では自由自在に動かすことが可能なバイオニック・アーム(義手)を身につけた障害者。こうした人々にとって、テクノロジーは幸福や利益をもたらす存在であろう。一方、(1)では「脳死」と判定され臓器を摘出されたドナー、(2)には出生前診断の結果により中絶された胎児の存在があり、そこには失われていく命がある。また、(3)には人間の操作可能性や障害に対する否定的人間観を指摘することもできる。
 この授業は「先端医療技術の倫理」、「生命倫理」ではないことに注意を促しておきたい。倫理的検討は重要である。しかし、この授業が目指しているのは、それだけでなく、科学的検討、歴史的検討、文明論的検討も試みる。つまり、生命科学技術の何が問題なのか、その点について徹底的に、あらゆる知と技法を動員して、炙り出すのが目的である。
目的 Objectives
教養教育の目標にある 以下の能力を獲得するための科目である。

「1.専門分野の枠を超えて広い視野で多元的・複眼的に自然・人間・社会を俯瞰できる能力」
「3.課題を自ら発見し、主体的に考え、解決に取り組むための論理的・批判的思考力」

より具体的に言えば、現代生命科学技術に対する基本的な理解と批判的視座を獲得することが目的である。
到達目標 Outcomes
(1) 科学技術と生命・身体の関係について批判的に理解する。
(2) 課題から問題を発見し、ショート・エッセイを書くことができる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
受講に際して医学・医療の知識は必要としない。知識の有無ではなく、現代社会における先端科学技術のあり方について、とくに生命と身体の問題から考えてみたいという学生の受講を望む。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/グループワーク Group work
アクティブでないはずがない。

準備学習・復習 Preparation and review
<準備学習>授業用スライドに目を通し、可能ならば参考文献を読んでおく。
<復習>講義内容を整理し、疑問点・問題を抽出しておくこと。
成績評価方法 Performance grading policy
小テスト・小レポート(20%)
最終試験(80%)
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
授業用スライドを配布する。それが教科書である。
MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
<書籍>
小松美彦『脳死・臓器移植の本当の話』PHP新書、2004年。
カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』早川書房、2008年。
マイケル・サンデル『完全な人間を目指さなくてもよい理由−遺伝子操作とエンハンスメントの倫理』ナカニシヤ出版、2010年。
福島義光/玉井真里子編『遺伝医療と倫理・法・社会』メディカルドゥ、2007年。
柘植あづみ『生殖技術と親になること——不妊治療と出生前検査がもたらす葛藤』岩波書店、2022年。
櫻井芳雄『脳と機械をつないでみたら——BMIから見えてきた』岩波現代全書、2013年。
キム・チョヨプ/キム・ウォニョン『サイボーグになるテクノロジーと障害、わたしたちの不完全さについて』岩波書店、2022年。

ダナ・ハナウェイ『猿と女とサイボーグ:自然の再発見』髙橋さきの訳、青土社、新装版、2017年。

香川千晶・小松美彦編『生命倫理の源流:戦後日本社会とバイオエシックス』岩波書店、2014年。

<映画>
マーク・ロマネク監督、わたしを離さないで、キャリー・マリガン出演、2010年(イギリス)。
アンドリュー・ニコル監督、ガタカ、イーサン・ホーク出演、1997年(アメリカ)。

授業計画 Class plan
第1回 イントロダクション
 内容:脳死・臓器移植,遺伝医療,サイボーグ技術を通して問おうとしていることを理解する。

第2回 脳死・臓器移植(1)−基本事項の確認
 内容:その歴史的経緯,脳死とは,脳死判定基準など,基本事項を理解する。

第3回 脳死・臓器移植(2)−脳死への生物学的・医学的批判
 内容:脳死の問題点,蘇生限界点,脳低温療法,長期脳死などについて資料映像を用いて理解する。

第4回 脳死・臓器移植(3)−臓器移植の問題点
 内容:臓器移植後の生存率,臓器提供への同意,自己決定,ドナーの家族とレシピエント

第5回 脳死・臓器移植(4)−脳死・臓器移植の人間観・社会観
 内容:パーソン論,知性と人格,交換可能な臓器

第6回 予知医療・遺伝医療(1) -遺伝に関する基礎
 内容:私たちは遺伝に対してどれほどのリテラシーを持ち,判断を下しているのか。

第7回 予知医療・遺伝医療(2)−遺伝医療の現状と近未来
 内容:予知医療の可能性/現実,出生前診断,発症前診断,受精卵診断など

第8回 予知医療・遺伝医療(3)−なぜ遺伝子の研究を行うのか
 内容:遺伝子研究の歴史,アイスランドの事例,遺伝子調査の政治経済学

第9回 予知医療・遺伝医療(4)−遺伝子研究・人体実験の変化
 内容:遺伝子研究を人体実験という角度から捉え,その変質を考える。

第10回 再生医療−再生医療の衝撃と人間への影響
 内容:幹細胞治療,救世主兄弟

第11回 サイボーグ技術(1)−サイボーグ技術の基礎
 内容:資料映像を使いながら,現在のサイボーグ技術について概観し,その現状を理解する。

第12回 サイボーグ技術(2)−サイボーグ技術の現在と問題点
 内容:メガネ,電動車椅子,人工内耳,義手・義足,脳コンピュータインターフェース

第13回 サイボーグ技術(3)−正常化とエンハンスメントを考える
 内容:治療とエンハンスメント,健常と障害の境界とは

第14回 サイボーグ技術(4)− 正常化とエンハンスメントを考える
 内容:プロメテウス的衝動、偶然と運命

第15回 再考:現代医療
SBOsコード(薬学部薬学科のみ 2023年度以前カリキュラム適用者対象)
学修事項(薬学部薬学科のみ 2024年度以降カリキュラム適用者対象)

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
この科目は、前期と後期に開講する。内容は同じなので、前期と後期のどちらかのみ受講を認める。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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