![]() 教員名 : 村上 学
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科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
哲学の現在 (前期月3)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Frontiers in Philosophy (前期月3)
授業コード Class code
99KT207
科目番号 Course number
L3HSHUM106
教員名
村上 学
Instructor
MURAKAMI, Manabu
開講年度学期
2025年度前期
Year
2025年度
Semester
①First semester
曜日時限
月曜3限
Class hours
Monday, 3rd. period
開講学科・専攻 Department
理学部第一部 応用物理学科(一般教養科目)、工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)、薬学部(一般教養科目)
A course of liberal arts, the Department of Applied Physics, Faculty of Science Division Ⅰ A course of liberal arts, the Faculty of Engineering A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering A course of liberal arts, the Faculty of Pharmaceutical Sciences 単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義
Lecture 外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
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授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class
概要 Description
この授業は本学教養教育の編成方針の定める、「自然・人間・社会を幅広く俯瞰できる能力、かつ論理的・批判的思考力」に関する科目である。
現代社会における科学技術は、これまでの歴史上人類が体験しなかった規模と質と早さとで人間の生活を変えている。その変化は、時に個人や社会に難しい選択を迫り、その時人々に問題に直面して「どの様に考えたらよいのか」という反省を迫る。そして、この「反省」の場面で何らかの「哲学」、あるいは「哲学的な思考」の召喚があちらこちらで行われている。 この講義では哲学研究の分野において議論されている「答えが見つかっていない問題」「答えが一つに定まらないかもしれない問題」を取り上げ、参加者で考えていく。それを通じて、それぞれが考える力を向上させ、複雑だったりこれまでにない新しい問題などに立ち向かう術を身につけられる、そうした訓練の場とする。 2025年度は「知識論」を取り上げる。素朴な言い方をすれば、現在でも「知識とは何か」、明確な答えがわかっていない(だから探究の余地がある)。ところが、「知っている」というのは我々の生活の一部だ。多くの人は科学を「知識の一種」だと考えている。大学で学ぶのは広く「知識」であり、知っていることは知らないことよりもより良い(より「力がある」)と考えられている(だから偏差値の高い大学出身者の方が「よく働ける」「有能」だとみなされやすい)。だが、「そう思うこと」と「そうであると知っている」ことはどうやって区別されるのだろうか。知っていることは我々の「生」にとって、なぜ重要なのだろうか。 「知っているつもり」のことを改めて問題として取り上げる哲学的な問題として、最も古い課題の一つが「知識論」である(なにせPhilosophyとは「知を愛する」という意味だ!)。 知識に関わる現代的な問題を取り上げる中で、なぜ我々は知識を求めるのか。知識を身につけることで何が変わるのかも考える。後半は、現在業界でホットな話題となっている「知的徳Intellectual(Intelligent) virtue」も取り上げる予定。 哲学の最前線の課題について参加者と一緒に考えていきたい。 目的 Objectives
この授業は本学教養教育の編成方針の定める「自然・人間・社会を幅広く俯瞰できる能力、かつ、論理的・批判的思考力」を身につけるための科目ある。受講者は、この講義を通じて、答えを自らの力で見つけていく力を身につけ、またそのために問題を整理したり様々な角度から検討する思考法を向上させることを目指す。
到達目標 Outcomes
・「哲学的に考える」ことについて、一定の説明と実践例を提示することができる。
・提出された問題がどのような問題であるのか分析し説明できるようになる。 ・一つの問題ついて、立場や観点によって異論や反論が形成されることを学ぶ。 ・議論において、根拠と結論、あるいはそれらの結びつきの強さ、という観念を理解する。 ・授業各回で解説される問題(群)について、探求の歴史を概観できる。 ・授業各回で解説される問題(群)について、有力な考え方がどのようなものか、おおよそのことが理解できる。 ・授業各回で解説される問題(群)について、自分なりの考えを持ち、それを他に解説することができる。 卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。 You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments). https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/ 履修上の注意 Course notes prerequisites
特になし。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion
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準備学習・復習 Preparation and review
各回で解説される哲学的問題について、その問題性(何がどのように問題なのか)が自分でも共有できるかどうかを改めて考え、納得できない点を明らかにするなどの復習をすること(120分)。
準備学習(予習)については別に指示する(60分程度)。 成績評価方法 Performance grading policy
小テスト(30%)と達成度確認(70%)とで評価する。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している ・B:到達目標を達成している ・C:到達目標を最低限達成している ・D:到達目標を達成していない ・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している ・S:Achieved outcomes, excellent result ・A:Achieved outcomes, good result ・B:Achieved outcomes ・C:Minimally achieved outcomes ・D:Did not achieve outcomes ・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation 教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store). https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ 参考書・その他資料 Reference and other materials
必要な資料がある場合にプリントを配布する
参考書は授業内で適宜紹介する。 授業計画 Class plan
1. イントロ:なぜ、どこで「知識knowledge」は問題になるのか? 【対面講義*】(村上) 我々の日常生活上の悩みの一部は「知識」をめぐる問題かもしれない。我々は知っているつもりでも知らなかったということがある。「誤解」はとりわけ人間関係にはつきものだ。あるいは、「これこれだと私が思う」ことと「これこれだと知っている」こととはどう違うのだろうか。科学は「これこれだと思っている」だけでは成立しない。また、「私は彼女/彼を知っている」というのは結局「何を」知っていることで知っていると言えるのだろうか。もちろん「名前」だけでも知っているというかもしれない。だが、「それでは私のことを知っているとは言えない」と人が言う時、求めている「内容」はどのようなものなのだろうか。そもそも「知られる」事柄なのだろうか。その他、知識がどのように問題になるのか。議論の出発点のいくつかを確認する。 (復習)日常生活においても知識が問題になることを確認し、その問題のいくつかを数え上げられるようにする。 *「対面(講義)」とは教室で受講することです。 2. 知識論の現在。知識としての「科学」 [対面講義】(村上) 「知識」が何であるか。その説明は一般に想像されるよりも難しい。 「我、何かを思う」ことと、その「何か」が「真」であること。 それはプラトンから始まった。『メノン』『テアイテトス』 「科学」以外の知識(知識の種類)。とりわけ価値についての知識(「道徳的知識」「実践的知識」) (復習)ある認識が知識であるための基本条件を理解する。 3. 「知識」に価値や意義があるのか。 [対面講義」(村上) 「科学」の重要性から見れば、知識に価値があるのは当然のことのように見える。しかし、それが重要なのは、科学が「知識」の一種だからであって、科学が重要だから知識が重要なわけではない。 我々にはほとんど知識がなく、しかし「何でも検索できる世界」に生きているとしたら何が起きるのか。AIの時代と我々の「知識」の関係はどうなるのか。 (復習)我々が知識を気にかけることには一定の理由があることを理解する。 4. 古典的知識論とゲティア① [対面講義」(村上) ゲティアのパラドックス。 古典的知識の定義を満たしているのに知識とは認められない事例。 (復習)古典的知識の定義、およびゲティアのパラドックスの概要が理解できる。 5. ゲティアのパラドックス② [対面講義」(村上) パラドックスに対して有効な解答はあるか。 それでも知識が存在する以上、それが何であるかを明らかにしたい。 (復習)ゲティアのパラドックスへの主な解答提案の概要と問題点が理解できる。 6. 自分が考えることを「正当化」する① [対面講義」(村上) 自分の考えをどのように正当化するか(どうやって「自分の考えは正しい」を真実にするか)。 懐疑論の二種とアグリッパのトリレンマ。「無限主義」 (復習)正当化に対して指摘されているトリレンマの概要が理解できる。トリレンマに対応した正当化の方法としての「無限主義」の概要が説明できる。 7. 自分が考えることを「正当化」する② [対面講義」(村上) 3つの可能な解答。「整合主義」「基礎づけ主義」 (復習)トリレンマに対応した正当化の方法としての「整合主義」と「基礎づけ主義」について概要が説明できる。 8. 我々は合理的なのか① [対面講義」(村上) 我々の生にとって「真理」は重要であったはず。非合理でも良い場面を区別する。 外在主義と内在主義。 (復習)認識的外在主義と内在主義、それぞれの概要と問題点を理解する。 9. 我々は合理的なのか② [対面講義」(村上) 「正当化」の問題再び。 我々の経験の方法(そして「科学」の方法)としての帰納の問題。 帰納の問題を受け入れるための二つの方法。「反証」と「プラグマティズム」 (復習)帰納法が抱える問題と、それへの応答案二種について説明できる。 10. 徳としての知識① [対面講義」(村上) 知識についての別の可能性。 ゲティアのパラドックス再び。信頼性主義と徳認識論。 (復習)信頼性主義と徳認識論について概要が理解できる。 11. 徳としての知識② [対面講義」(村上) 我々は事実だけでなく価値についても「知る」ということがありうるのか。 「道徳的知識moral knowledge」とはどのような知識か。 (復習)価値にかかわる知識が持つ問題点とその可能性について概要が理解できる。 12. 徳としての知識③ [対面講義」(村上) 徳としての知識。 現代哲学で盛んになった「知的徳 Intelligent(Intellectual) virtue」について。 (復習)知的徳について概要が説明できる。 13. 徳としての知識④ [対面講義」(村上) 知識論のいくつかの可能性:生の吟味と知識、対話 知的徳をめぐるプラトンの議論を参照する。特にソクラテスのパラドックス「悪いと知って、それを為す者はいない」をめぐって、この言明をめぐって我々が「知っている」ことと「私がよく生きる」こととの接点(乖離点)を確認したい。 (復習)「知」を求めることと「よく生きること」をめぐる問題を概観できる。 14. まとめ [対面講義」(村上) 我々が生きる上で「知る」ことの持つ意味を再考する。 なぜ「神」の特徴づけが「全能」だけでなく「全知」も付加されなければならないか。現代の我々は「知る」ことの重要な側面を忘れたり軽んじたりしてしまっているかもしれない、そのおそれについても考えてみる。 (復習)自分がさまざまなことを学ぶ意義も含め、知ることの意味について説明できる。これまでの学習を復習する。 15. 到達度確認 [試験・対面講義」(村上) 理解度を試験にて確認する。 (予習)これまでの学習を振り返り、各トピックについてさまざまな質問に対して解答できるように準備しておく。 SBOsコード(薬学部薬学科のみ 2023年度以前カリキュラム適用者対象)
学修事項(薬学部薬学科のみ 2024年度以降カリキュラム適用者対象)
担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
課題や授業の予定などは本授業のLETUSコースで確認すること。
授業で扱うテーマは、参加者の人数や参加者との話し合いによって変更することがある。 授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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