シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
有機化学4
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Organic Chemistry (4)
授業コード Class code
992341Q
科目番号 Course number
23CHORC205

教員名
佐竹 彰治
Instructor
Akiharu SATAKE

開講年度学期
2025年度後期
Year
2025年度
Semester
②Second semester
曜日時限
木曜6限
Class hours
Thursday 6th Period

開講学科・専攻 Department
理学部第二部 化学科

Department of Chemistry, Faculty of Science Division Ⅱ
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
本科目では、有機立体化学、すなわち有機化学分野のうち、特に立体構造や立体化学が物性や反応に関与する事象を扱う。

目的 Objectives
有機化合物を基礎とする物質科学において、分子構造と機能には密接な関係がある。例えば有機化合物の中には分子式や原子の並び順が同じであるにもかかわらず,性質の異なる 立体異性体が存在し,我々に及ぼす生理作用もそれぞれ異なる。また形式的な単結合周りの回転によって生じる配座異性体では、配座異性体間の相互変換が可能であり、その変換速度は立体構造と密接な関係がある。本授業では、特に有機化合物を立体的な観点からとらえ、それらを系統的に学ぶことを目的とする。
到達目標 Outcomes
①三次元的な有機分子の立体構造をさまざまな方法で二次元平面上に記述したり、頭の中で回転・反転できるようにすることを目標とする。②化学構造を描画するソフトウエアであるChemDrawやChem3D、Materials Studioをもちいてコンピューター上で分子を立体的・三次元的に描き、分子内の角ひずみ、ねじれひずみ、立体 ひずみなどを議論できるようにすることを目標とする。また③立体異性体を分類し、その構造を一義的に表現する命名法について理解することを目標とする。④配座異性体間の相互変換のダイナミクスについて理解することを目標とする。⑤有機化合物を立体的に考えることによって、反応の立体選択性や立体特異性についても説明できるようにすることを目標とする。⑥ラセミ体の分割や不斉合成の原理について理解することを目標とする。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
基礎有機化学と有機化学1‐1の内容をしっかり学習していること。
情報処理及び演習1の内容をしっかり学習していること。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/反転授業 Flipped classroom/実習 Practical learning
-

準備学習・復習 Preparation and review
各自の(BYOD)PCで事前に仮想デスクトップ に接続し(仮想PC)、化学構造を描画するソフトウエアであるChemDrawとChem3D、Materials Studioが使えることを確認しておくこと。
Materials Studioでは3ボタンマウスを使用する。本学の学生は、個人のWindows PCでChemDrawとChem3Dを利用することも可能である。(MacではChemDrawのみ利用可能)詳細は東京理科大学 ITサービスのご案内を参照.

本授業は、下記に示す「1.予習」「2.授業受講」「3.復習」の継続的な取り組みが極めて重要である。
また理解度を確認するために、授業内レポートを複数回実施する。またLETUSを通じて「レポート課題」を課すこともある。期限までに必ず提出すること。

「1.予習」
授業で取り上げる内容についてはあらかじめLETUSで公開する。この内容は問題形式になっており、内容について授業前に確認し、何を学ぶかを明確にしてから授業に臨むこと。事前に可能な限り問題に取り組んでおくことが望ましい。
また予習のためのQuizがLETUS上にアップされている場合には受講前に必ず取り組み、授業に出てくる用語等について事前に確認しておくこと。
本科目専用のノートを用意し、予習した内容は専用のノートにまとめて授業の際に持参すること。

「2.授業受講」
授業中は「自らが考えること」と「考えたことを記述する」ことを重要視するため、それに必要な時間を与える。教員がその場で課題を出し、受講生に「1分程度時間を与える。」と宣言したら、集中してその課題に取り組むこと。
この授業形式は受講生本人が自身の理解度を的確に認識できるため、学習を進めるために極めて有効である。この授業形式を理解し、授業中は考えることに集中すること。


「3.復習」
授業後に、問題形式で公開された授業内容について記述回答できるように復習すること。
15回の授業は関連付けられているため、前回までの授業内容が理解できていないと次の授業についてゆけなくなる。必ず復習を行い、前回までの内容を理解しておくこと。
成績評価方法 Performance grading policy
Chem3D・Materials Studio実習の実施を行ったうえで
Chem3D演習レポート、LETUS小テスト:50%程度
期末試験: 50%程度
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
Y
書誌情報 Bibliographic information
マクマリー有機化学(上)第9版、J. McMurry 著、伊東 椒、児玉 三明、荻野 敏夫、深澤 義正、通 元夫 訳、東京化学同人、2017、ISBN: 9784807909124

マクマリー有機化学(中)第9版、J. McMurry 著、伊東 椒、児玉 三明、荻野 敏夫、深澤 義正、通 元夫 訳、東京化学同人、2017、ISBN: 9784807909131

マクマリー有機化学(下)第9版、J. McMurry 著、伊東 椒、児玉 三明、荻野 敏夫、深澤 義正、通 元夫 訳、東京化学同人、2017、ISBN: 9784807909148

ウォーレン 有機化学 上 第2版、J. Clayden、N. Greeves、S.Warren 著、野依 良治、奥山 格、柴崎 正勝、檜山 爲次郎 監訳、東京化学同人、2015、ISBN: 9784807908714

ウォーレン 有機化学 下 第2版、J. Clayden、N. Greeves、S.Warren 著、野依 良治、奥山 格、柴崎 正勝、檜山 爲次郎 監訳、東京化学同人、2015、ISBN: 9784807908721
MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
有機スペクトル解析入門  横山 泰 著, 石原  晋次 著, 生方 俊 著, 川村 出 著
東京化学同人 ISBN 9784807909735, 出版日 2022/02/15

有機化合物のスペクトルによる同定法(第8版) R. M. Silverstein ・F. X. Webster ・D. J. Kiemle ・D.L.Bryce 著
岩澤 伸治 ・豊田 真司 ・村田 滋 訳,東京化学同人 ISBN 9784807909162, 出版日 2016/12/08

有機化学のためのスペクトル解析法 第3版 化学同人 UV,IR,NMR,MSの解説と演習, S. Bienz, L. Bigler, ISBN 9784759823493, 出版日 2024/5/10



授業計画 Class plan
全ての授業を対面で受講することを求める

1 ガイダンスと有機立体化学導入
有機化合物を手書きで2次元平面上に立体的に描画できる
ChemDrawを用いて立体的に描画できる

2 配座異性体:様々な配座異性体について説明することができる.配座異性体間の相互変換における平衡と活性化エネルギーおよび交換速度、分子構造の関係について説明できる.

3 (BYOD)PCで仮想デスクトップ に接続し(仮想PC)、
ChemBioDrawとChemBio3Dを操作できる。Dihedral Driverを用いて配座異性体のエネルギーポテンシャル解析を行うことができる

4 (BYOD)PCで仮想デスクトップ に接続し(仮想PC)、
ChemBioDrawとChemBio3Dを操作できる。Dihedral Driverを用いて配座異性体のエネルギーポテンシャル解析を行うことができる。レポート課題に取り組むことができるレベルまで基本操作を行うことができる。
(課題出題)指定された配座異性体の配座交換における活性化エネルギーについて議論する

5 (BYOD)PCで仮想デスクトップ に接続し(仮想PC)、
Materials Studioを用いて分子構造を立体的に描画できる。
Materials Studioを用いて異なる分子同士のドッキングシミュレーションを行うことができる。
3~5回の内容を説明することができる

6 順位則(Cahn-Ingold-Prelog 則)に関して説明できる。さまざまな置換基を比較して順位則に基づいて優先順位を述べることができる。キラル中心・キラル軸・キラル面をもつ分子の例を挙げ、それらの絶対配置を表記できる。キラルとアキラル:キラル分子とアキラル分子を区別して説明できる。

7 シクロアルカンの立体配座とひずみについて説明できる。シクロヘキサンの環反転について説明できる。二置換シクロヘキサンの安定配座について説明できる。1H NMRによってシクロヘキサンのアキシアル水素とエクアトリアル水素を区別できる。(ウォーレン 18・7 (p423), 31・3 (p839))ねじれ舟型シクロヘキサンについて説明できる。
  
8 化学反応の立体化学 1:
配座が固定されたシクロヘキサン誘導体の反応について説明できる。
立体電子効果について説明できる。2位に電気陰性基を有するテトラヒドロピラン(6員環エーテル)におけるアノマー効果について理解できる。(ウォーレン p 846)
分子内環化反応における反応速度の違いについてが説明できる。

9 光学活性体とラセミ体
光学活性体とラセミ体について説明でき、ラセミ体を光学活性な物質に分割する方法について説明できる。ラセミ化について例を挙げて説明できる。絶対配置を決める方法について説明できる。

10 化学反応の立体化学 2:
プロキラル・Re面・Si面・pro-R, pro-Sについて説明できる。
立体特異的な反応と立体選択的な反応の違いについて、例を挙げて説明できる
環状化合物における立体選択的な反応について説明できる

11 化学反応の立体化学 3:
ジアステレオ選択性:鎖状化合物の立体選択性について例を挙げて説明できる。
Felkin-Anhモデル、Houkのモデルについて説明できる。

12 不斉合成 1 :
キラルプール法を用いた不斉合成について説明できる。
触媒的不斉合成CBS触媒について説明できる。

13 不斉合成 2:
有機金属化学に関する導入的な内容を学び、遷移金属触媒を用いた不斉合成について例を挙げて説明できる。

13 不斉合成 3:
触媒的不斉合成の原理について説明できる。CBS触媒について説明できる。金属錯体触媒を用いた触媒的不斉合成の概要を説明できる。

14 不斉合成 4:
有機触媒を用いた不斉合成の例を説明できる。
本授業の総括をきいて概要を説明できる。

15 到達度評価

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
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教育用ソフトウェア Educational software
Signals ChemDraw(旧ChemOffice Professional)/Discovery Studio, Materials Studio
-

備考 Remarks
(注意)
重要な連絡をLETUSを通じて行うので、毎週必ず確認すること。
オフィスアワー:火曜日、土曜日 14:00−16:00



授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
Y