シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
代数学1 (講1a1b/演2c2d)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Algebra (1) (講1a1b/演2c2d)
授業コード Class code
9921D12
科目番号 Course number
21MAALG101

教員名
木村 直記、田所 勇樹
Instructor
Yuuki Tadokoro, Naoki Kimura

開講年度学期
2025年度前期、2025年度後期
Year
2025年度
Semester
③First semester, Second semester
曜日時限
前期(水曜7限、金曜7限)、後期(水曜7限、金曜7限)
Class hours
Wednesday 7th Period, Friday 7th Period

開講学科・専攻 Department
理学部第二部 数学科

Department of Mathematics, Faculty of Science Division Ⅱ
単位数 Course credit
6.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
線型代数学の基礎的事項について解説する.線型代数学は専門的な数学(純粋数学および応用数学),物理学,化学,生物学をはじめとする自然科学のみならず,薬学や工学,及び経済学等の社会科学においても頻繁に用いられ,最も汎用性の高い数学のうちの一つであり,諸科学における最も基礎的な道具のうちの一つでもある.

専門的な数学に関しても,代数系・幾何系・解析系・応用数学系のどの分野でも,線型代数学は必須の道具である.今後どの専門に進むとしても,しっかりと身につけることが極めて肝要である.
目的 Objectives
線型代数学とは,端的に言えば,ベクトル空間とそれらの間の線型写像の性質を,行列を用いて深く考察する学問である.本科目では,行列に関する種々の演算や性質に習熟することが一つの目標となる.例えば,行列の基本変形という概念を応用した,連立一次方程式の解法を学ぶ.また,固有値問題を扱い,行列の対角化を学ぶ.さらに,一般的なベクトル空間の概念を理解し,様々な数学において用いられる線型代数学の基本的技術を身に付ける.

この科目は,本学科のディプロマ・ポリシーに定める『理論的に思考する能力』を鍛え上げる科目のうちの一つである.
到達目標 Outcomes
本科目を履修することで到達が期待される知識レベルは,以下の通りである.

1. 行列の基本変形などを通じて,行列の階数,行列式,及び逆行列を,それぞれ適した方法で正しく計算できる.
2. 連立一次方程式を行列を用いて理解し,行列の基本変形を用いてその解を正確に記述できる.
3. ベクトルの一次独立性を理解し,与えられたベクトルたちが一次独立かどうかを,適した方法で示すことができる.
4. 与えられた行列の固有値,固有空間の基底を求めることができる.さらに,与えられた行列が対角化可能かどうかを判定し,対角化可能である場合は対角化することができる.
5. ベクトル空間の概念を理解し,その基底や次元を求めることができる.
6. 線型写像を理解し,その表現行列を求めることができる.
7. 線型写像の像と核の基底を計算できる. 
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
(1) 集合と写像に関する基本的な知識を身につけていることが望ましい.特に集合の相等や演算,写像の全射と単射などの概念に慣れていない学生は,この講義と並行して勉強すること.

(2) 線型代数学を学習する際に,大きな行列をたくさん書くことは面倒ではあるが,定理や命題の意味しているところを正確かつ着実に理解するためには,頭の中だけで考えるだけではなく,億劫がらずにきちんと書いてみることが何よりも大切である.

(3) 演習では,先生がやってくれるのをノートに書き写すだけでなく,必ず自分で考えて自分で手を動かして解くようにすること.
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test
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準備学習・復習 Preparation and review
抽象的な理論に不慣れな方も多いと思いますが,新しく学ぶ理論をよく理解するための最善の方法は,たくさんの具体例を考察してみたり,計算してみたりすることです.各自,講義ノートの復習はもちろんのこと,教科書・参考書の演習問題に取り組んだり,自分で問題を作ったりしてみて,積極的に試行錯誤してください.準備学習:各回2時間程度,復習:各回4時間程度.
成績評価方法 Performance grading policy
前期・後期それぞれの期末試験,及びレポート等の評点により判定する.特に,正当な理由なく各期末試験を受験しない場合は,成績を入点しない(単位が与えられない)ので注意すること.
出席状況で加点されることはないが,出席は履修の前提であるため,欠席が多ければ単位を取得できなくなる場合がある.
[フィードバックの方法]
レポートなどの結果は採点のうえ,各期末試験までに返却する.
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
現在,線型代数学に関連する書籍は山のように出版されています.どれにも一長一短があるかと思います.以下に数学科の学生向けのいくつか参考書を掲げますが,これらに限らず実際に書店や図書館で手に取って眺めてみて,自分に合うものを見つけるのがよいでしょう.
少なくとも1冊は購入して手元に置いておくことを強く推奨します.

(I) この授業と同程度の内容・難易度でしっかり解説しているもの.候補として推奨します.

『明解 線形代数[改訂版]』木村達雄・竹内光弘・宮本雅彦・森田純 著,日本評論社,2015年発行,ISBN: 978-4-535-78591-5

(II) 平易かつ丁寧な解説で読みやすいもの.初学者向け.

『テキストブック 線形代数』佐藤隆夫 著、裳華房、2019年発行、978-4785315825
『線形代数入門』松阪和夫 著、岩波書店、1980年発行、978-4000055567
『線形代数学』川久保勝夫 著、日本評論社、2010年発行、978-4535786547
『線形代数の基礎』川原雄作ほか 著、共立出版、1994年発行、978-4320014763

(III) 理論重視のしっかりとした解説本.意欲的な学生,及び大学院進学者向け.

『線形代数学』佐竹一郎 著、裳華房、2015年発行、978-4785313166
『理系のための 線型代数の基礎』永田雅宜 著、紀伊國屋書店、1987年発行、978-4314004756
『線形代数の世界 -抽象数学の入り口-』斎藤毅 著、東京大学出版会、2007年発行、978-4130629577
『線形代数学』齋藤正彦 著、東京図書、2014年発行、978-4489021794

なお,集合と写像に関しては,
『集合・位相入門』松坂和夫 著、岩波書店、2018年発行、978-4000298711
数学全般に関しては,
『理工系の基礎 数学Ⅰ』小谷佳子・伊藤弘道ほか著、丸善出版、2018年発行、978-4621302491 
を参考にするとよいでしょう.

授業計画 Class plan
[前期]
第1回 数ベクトル
平面ベクトルや数ベクトルに習熟する.数ベクトルの線型結合や線型独立性を理解する.
第2回 行列と行変形
行列の定義を理解する.行列の簡約行列への行変形を習得する.
第3回 連立一次方程式
行列の基本変形を利用して,連立一次方程式を解けるようにする.
第4回 数ベクトル空間の基底
基底の概念を理解する.階数を用いて基底かどうかを判定できるようにする.
第5回 行列の基本事項
行列の基本的な用語を理解する.行列の和とスカラー倍を理解する.
第6回 行列の積
行列の積の定義を理解し,計算できるようにする.
第7回 正則行列と逆行列(1)
正則行列と逆行列の定義を理解する.2次正方行列の場合に計算できるようにする.
第8回 正則行列と逆行列(2)
正則行列と行変形との関係を理解する.階数を用いて正則行列かどうかを判定できるようにする.
第9回 行列の階数
行列の階数標準形を理解する.階数のさまざまな性質を理解する.
第10回 行列式とはなにか
3次以下の正方行列の行列式を理解する.一般の行列式の有用性を理解する.
第11回 置換と符号
置換の定義を理解し,置換の符号を計算できるようにする.
第12回 行列式の定義
行列式を定義し,多重線型性などの性質の証明を理解する.
第13回 行列式の余因子展開
余因子展開を用いて行列式を計算できるようにする.クラメールの公式を理解する.
第14回 これまでの復習
第15回 到達度評価及び解説
これまでの理解度を試験により評価する.

[後期]
第1回 固有多項式・固有値・固有ベクトル
固有多項式を計算できるようにし,固有値と固有ベクトルを求められるようにする.
第2回 行列の対角化
行列の対角化可能性を判定し,可能な場合は対角化できるようにする.
第3回 行列の三角化とその応用
複素行列が三角化可能であることを理解する.ケーリー・ハミルトンの定理を理解し,活用できるようにする.
第4回 標準内積と正規直交基底
正規直交基底を理解し,グラム・シュミットの正規直交化法により求められるようにする.
第5回 実対称行列の対角化
実対称行列が直交行列により対角化可能であることを理解し,実行できるようにする.
第6回 正規行列の対角化
正規行列がユニタリ行列により対角化可能であることを理解し,実行できるようにする.
第7回 ベクトル空間
抽象ベクトル空間とその部分空間の定義を理解し,具体例を挙げられるようにする.
第8回 ベクトル空間の基底と次元(1)
ベクトル空間における基底の概念を理解し,次元の一意性を理解する.
第9回 ベクトル空間の基底と次元(2)
ベクトル空間には基底が存在することを理解する.基底の変換行列を計算できるようにする.
第10回 線型写像
ベクトル空間の間の線型写像の定義を理解し,行列との対応を理解する.
第11回 線型同型と表現行列
抽象ベクトル空間が数ベクトル空間と同一視できることを理解する.線型写像の表現行列を求められるようにする.
第12回 線型写像の像と核
線型写像の像と核が部分空間であることを理解し,それぞれの基底を求められるようにする.
第13回 内積空間
内積空間の概念を理解し,正規直交基底などの議論が一般化できることを理解する.    
第14回 これまでの復習
第15回 到達度評価及び解説
これまでの理解度を試験により評価する.

すべての履修学生に対して,原則としてすべての授業回を対面で受講することを求める.

担当教員の実務経験とそれを活かした教育内容 Work experience of the instructor
なし
教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
受講生の状況に応じて計画を変更する可能性があります.また授業計画は全クラスを通じた大まかな予定であり,クラス毎に多少の差が生じる可能性があります.前期・後期の期末試験では,全クラス同一の問題により評価する予定です.

本科目は数学の教科に関する科目の「代数学」に該当する科目です.

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
Y
授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
N