シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
倫理学 (前期金4・村上)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Ethics (前期金4・村上)
授業コード Class code
99KT20V
科目番号 Course number
L3HSHUM102

教員名
村上 学
Instructor
MURAKAMI, Manabu

開講年度学期
2024年度前期
Year/Semester
2024/ First semester
曜日時限
金曜4限
Class hours
Friday, 4th period

開講学科・専攻 Department
工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Faculty of Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
科学技術の進展は、同時に様々な倫理問題を顕在化させました。そうした問題について科学研究者はもはや知らないではすまされず、むしろ積極的とも言える規則の遵守と、新しい状況への柔軟な対応が求められています。ところが、他方で現代は「価値観が揺らいでいる」とか、「価値は多元的・多様で一つに決められない」という言説に溢れる時代でもあります。我々は何によって自らの行為の良し悪しを判断し、より良い選択をすることができるのか、多くの人がその答えを日々探している状況にあります。
こうした時代において、最も問題の多い、しかし相当に重要な価値観の一つが「正義」です。2024年度は「正義」について参加者と一緒に考えていくことにします。
我々が「正しく」生きるには、社会が健全である必要があります。たとえば戦争状態であれば「人を殺す」ことを強いられ、「正しく」あることは難しい(むしろ「人殺し」が正義の如く扱われることになります)。差別に気がつかない社会では、誰もがそれを当たり前だと思ってしまう。そうなると「それ(ある特定の差別)は不正だ」と主張する人が周りから正当に扱われないということが起きてしまいます。いまや「正義」は個人の(倫理や道徳の)問題ではなく、社会や政治の問題となっています。ところが、「社会」とは、「われわれ」の生活圏です。我々が正しく振る舞うことなしに、社会の正義は実現されない。こうしたパラドックスを含め、正義は立ち止まって考えるに値する課題です。

本授業では、本学の目指す「良心」を備えた科学者育成にかかわって、現代の倫理問題と倫理理論をとりあげながら、現状、可能な選択肢、周辺問題を整理しつつ、実際にどのような選択肢がありうるかを一緒に考えていきます。それらを通じて、それぞれの受講者に倫理学に関する基本的な知識や考え方を身につけてもらいます。そして今後直面するであろう具体的問題に対して最善の選択ができるように準備することを目標とします。
目的 Objectives
この授業は本学部のディブロマポリシー及びカリキュラムポリシーに定める「豊かな人間性・想像力と国際性を備え、多面的にかつ新しい視点を持って科学技術の発展に貢献できる人材の育成」を実現するための科目である。受講者は、この講義を通じて、基本的な倫理問題を概観し現在の問題点と可能な選択肢を数え上げることができるようになるでしょう。その上で、「豊かな人間性」と「良心」を備えた科学者になる礎を築くこ とを目指します。それぞれの受講者が倫理学に関する基本的な知識や考え方を身につけ、そして今後直面するであろう具体的問題に対して最善の選択ができるように準備することを目指す。
到達目標 Outcomes
【到達目標】
・「倫理学」が何を問題にしてどのように探究を進めるか、おおよその説明ができる。

・科学の発展にともなって応用倫理の問題が生じてくる、おおよその構造を説明できる。
・倫理学が扱う各概念について、それがどのような概念なのか、おおよその説明ができる。
・日常の場面において生じている倫理問題について、倫理学の概念や理論を用いて分析的に考察できる。
・「倫理的に生きる」とはどのようなことか、自分なりの言葉で語ることができる。
・「正義」について、現代的な問題の位相をおおよそ説明できる。
・「正義」について、自分なりの考えだけでなく、可能な考え方の選択肢を理解することができる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion
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準備学習・復習 Preparation and review
準備)シラバスの授業計画や、授業中の予告等を参考に、トピックについて自分の関心の範囲で最近の事例等を調べておくこと。また、それによって「なぜ」「どのように」倫理や道徳に関する判断や行為がなされたのか、推測したり疑問を明確にしておくこと。(60分程度)
(復習)授業で説明された基本的な倫理学の概念の知識を正確にした上で、 各回で解説される応用倫理の問題について、具体的な事件・事例を参考に、それがどのような出来事であったのか、どのような思考・判断がそこで働いていたのかを説明できるようになる。 
不明な点はビデオやプリントで再確認する。
復習の上、小テストを受験して理解度を確認する。(120分)
成績評価方法 Performance grading policy
到達目標の達成度によって評価する。
(小テストと到達度確認テストによる)
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
授業内で指示する

必要に応じてプリントを配布することがある

授業計画 Class plan
(授業は講義形式で進行するが、受講者はそこでの話を遮って疑問などを指摘することができる。必要に応じてディスカッションを行う)

1. イントロ:なぜ、今「正義」が問題なのか。
世界、政治、倫理

(復習)「正義」がなぜ問題なのか、説明できるようになる。

2. 「正義」を考える時、何について考慮する必要があるか。
正義は誰に対して、あるには何に対して適用されるのか。
「ユスティアヌスの定義」

(復習)「ユスティアヌスの定義」の含意について、おおよその説明ができる。

3. 正義論の現在と一般的誤解① 功利主義
功利主義は現在、一般的には人気がない考え方であるが、しかし、一部の理論家からはその改良版が提案されている。

(復習)功利主義の概要とその正義に関する主張の概要が説明できる。

4. 正義論の現在と一般的誤解② 契約主義
社会科学者の多くが契約主義を採用しているにもかかわらず、その問題点が考慮されているかどうかが怪しい。

(復習)契約主義の概要とその正義に関する主張の概要が説明できる。

5. 正義論の現在と一般的誤解③ 平等主義
学生に正義について意見を言わせると、最も多くが平等主義を採用しているように見える。原因の一つは学校教育の現場(あるいは「日本政府」)において暗黙のうちに前提されてている考え方になっているからであろう。その射程と限界は再確認の必要がある。

(復習)平等主義の問題点が説明できる。

6.  正義論を見直す① 区別
法や規則との関係。「法・規則を守る」ことは「正義」の最もわかりやすい事例であると考えられている。だが、法・規則に基づくものが「正義」なのか。それとも、法・規則を測る(設定・変更する)基準が正義なのか。

(復習)正義が法や規則とどのような関係になるのか、その区別が説明できる。

7. 正義論を見直す② 範囲
「正義が無関係になるような状況」(ヒューム)について。誰もが幸せだったらもはや正義は問題にならない、ということがあるのか。また、国家や共同体が違えば正義の内容が違う、というのは真実か。人間以外の動物にも「正義」は問題になるのか。

(復習)正義の範囲設定が持つ問題点が説明でき、暫定的な「問題圏」をおおよそ見通すことができる。

8. 正義論を見直す③ 制度と個人
「正義」が悪者になる事態は正義についての誤解と直感的な正解による。
「制度に要求される正義が個人に適用できない事態」について。

(復習)制度における正義が個人には適用できない点を説明できる。(市井に流布している「正義が人を傷つける」という言説の意味が理解できる)

9. 正義論を見直す④ 認識的不正義
正義の現代的な側面として、人間認識と関連づけて考える議論を検討する。
制度的な不正義(正義)の起源は為政者・立法者・大衆の「認識的不正義(/正義):『十分にかつ適切に認識されていない(/いる)こと』」にあるか。

(復習)「認識的不正義」の概要が説明できる

10. 倫理学に「正義」を取り戻す
これまでの考察を振り返りつつ、再び「正義」が問題になる場所について検討する。
正義が徳目の一つだったこと。
我々自身の行為の選択、生き方の選択において問題となる「正義」を見直してみる。

(復習)四つの徳の概要とそれぞれの関係について説明できる

11. アリストテレスの「正義」とプラトンの「正義」
アリストテレス『ニコマコス倫理学』は「正義論」の古典である。そこでは、個人の徳としての正義と、共同体・政治における正義の二種について、ある種の連絡と断絶の両方を予見させる議論がある。そこから、さらにソクラテス・プラトンにおける正義の問題へと遡ってみる。

(復習)アリストテレスによる正義の規定の概要が説明できる。

12. 自然の正義、強者の正義、徳としての正義
正義論の原点に戻ってみる。
プラトンが描くソクラテスにとって「正義(正しさ)」は、生き方の規範そのものだったように見える(『ソクラテスの弁明』『クリトン』『ゴルギアス』)。その点の振り返りが、現代の「正義論」の射程とその限界を露にする。正義を自らの問題にすることについて、その出発点を探ってみる。

(復習)ソクラテスにおける正義の問題とその困難について概要を理解できる

13. 善のイデアと共通善
倫理学(生き方についての知)の解答としての「正義」
プラトンの『国家』から、正義の問題を見直してみる。現代の正義論の有用性とともに、それがどのように自らの問題となるのか、その接点や「違う視点」の可能性を探ってみよう。

(復習)プラトン『国家』で提示されている問題を整理してみる

14. まとめ:我々にとって「正義」を論じること
「正義の味方」とは、どのような人のことなのか。

(復習)自分にとっての「正義」について、まとまった意見が言えるようになる

15. 到達度確認
授業で考えたこと。理解できたことを確かめる。



授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
授業を第3回から受講することになった受講者は、プリントその他で第1回、第2回の内容についても各自で学習しておくこと。
特に第2回で提示される基本概念については事典・辞書なども活用しておく必要がある。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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