シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
生命科学入門 (前期火3)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Introduction to Life Science (前期火3)
授業コード Class code
99KT101
科目番号 Course number
L3NATUR101

教員名
本田 宏隆
Instructor
Hirotaka HONDA

開講年度学期
2024年度前期
Year/Semester
First Semester
曜日時限
火曜3限
Class hours
Thursday 2nd Period

開講学科・専攻 Department
工学部(一般教養科目)、先進工学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Faculty of Engineering
A course of liberal arts, the Faculty of Advanced Engineering
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
本科目「生命科学入門」では,生命科学の基礎となる細胞生物学について学ぶ。
生命(生物)とは何か,生命を作る分子,生命の機能単位である細胞の構造,細胞の機能にとって必要不可欠な情報伝達について学ぶ。

目的 Objectives
一般教養としての生命科学の基礎知識(細胞生物学)ならびにいくつかの分野における専門的知識を身につける。
なお、当科目は本学教養教育の編成方針の定める、「自然・人間・社会を幅広く俯瞰できる能力、かつ論理的・批判的思考力」に関する科目である。
到達目標 Outcomes
・生物の共通の特性について説明できる。
・ 遺伝子,染色体,ゲノム,DNAの用語を説明できる。
・ 生命を作る低分子とその化学を説明できる。
・ 生体内の高分子(RNA,タンパク質,糖質,脂質)について説明できる。
・ 光学顕微鏡,電子顕微鏡の原理について説明できる。
・ 核酸と生命の起源について説明できる。
・ 細胞(生命の機能単位)について説明できる。
・ 細胞膜について説明できる。
・細胞の情報伝達と多細胞性について説明できる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
講義資料の配布はLETUSにて行います。事前に印刷するか,PC,タブレットなどを授業に持参して下さい。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test/-
-

準備学習・復習 Preparation and review
【準備学習】
 授業計画の講義内容について,何が分かり,何が分からないかを明確にしておくこと。そして,授業を通して分からなかった部分を解き明かす。

【復習】
 講義内に出題された演習問題やLETUS上の問題を解くなどして,各回の講義内容を十分に理解すること。
成績評価方法 Performance grading policy
到達目標に関する授業ごとの課題(15回実施する)にて評価する。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
Y
書誌情報 Bibliographic information
ブルーバックス B-2163
カラー図解 アメリカ版 新・大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学
著者:D・サダヴァ他
監訳・翻訳:石崎泰樹・中村千春
翻訳:小松佳代子
発行所:(株)講談社
ISBN978-4-06-513743-7 
MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials

授業計画 Class plan
第1講 生命を学ぶ
【学習の要点】
主要な性質は全ての生物に共通している。
生物は地球という惑星の歴史に影響を及ぼしてきた。
生物集団は時間とともに変化している。
科学的方法が生物学の知識を生む。

第2講 生命を作る低分子とその化学 その1
【学習の要点】
生物学は社会に多くもたらす。
生物に見出される物質のほとんどは,6つの元素(炭素,水素,酸素,窒素,リン,硫黄)でできている。
反応性の高い原子は,原子価殻(最外殻)を電子で満たすために,電子を得たり失ったりする。それは,原子価殻が電子で満たされると安定するからである。
原子の特性はその構造で決まる。

第3講 生命を作る低分子とその化学 その2
【学習の要点】
共有結合はきわめて安定しており,大きなエネルギーが加えられたときにだけ壊れる。
極性共有結合は2個の原子が不等価な形で結合電子を共有するときに生じ,非極性共有結合は結合電子が等価で共有されるときに生じる。
親水性相互作用は極性分子間で,疎水性相互作用は非極性分子間で生じる。
ファンデルワールス力はいかなる2分子間にも生じる弱い非共有引力である。
化学反応はエネルギー保存則と質量保存則に従う。
化学反応はエネルギー変化を伴う。
細胞中の生化学反応は水を含む環境中で起こる。
生物学的流体中の物質量を測るにはモルが用いられる。
細胞中の水と他の化合物を持つ酸や塩基としての性質が,生物機能に影響を与える可逆的変化を可能にする。

第4講 タンパク質,糖質,脂質 その1
【学習の要点】
異性体は同一の原子構成を持つが異なる構造を持つ分子である。
モノマーは縮合反応により化学的に結合してポリマーを形成する。

第5講 タンパク質,糖質,脂質 その2
【学習の要点】
タンパク質の三次構造とはその三次元的形態であり,水素結合,疎水性相互作用,静電相互作用(タンパク質によってはジスルフィド結合も)によって安定化される。
タンパク質の外側表面の官能基は他の分子やイオンと特異的に相互作用できるような形と化学基を提供する。
タンパク質の二次元,三次元,四次元構造を安定化する力は環境因子の影響を受けるため,タンパク質の機能も環境因子により破綻しうる。

第6講 タンパク質,糖質,脂質 その3
【学習の要点】
糖質は主として化学エネルギーを貯蔵・運搬する役割を持つ。また,新しい高分子を合成するための材料としても機能する。
グルコースから構成される多糖は全て,エネルギー貯蔵の役割及び構造的役割を果たすが,枝分かれパターンやグルコース間のグルコシド結合のタイプに違いがある。
トリグリセリドはグリセロールが3個と脂肪酸とエステル結合した単純な脂質である。
リン脂質は両親媒性なので,凝集してリン脂質二重層を作ることができる。これは膜構造を作るのに有用である。
カロテロイド,ステロイド,ある種のビタミン,蝋(ワックス)は脂質として分類され,その化学構造により多様な機能を果たす。

第7講 核酸と生命の起源 その1
【学習の要点】
DNAとRNAは,その構造によって遺伝情報を記憶し伝達するという機能を果たすことができる。
DNAとRNAの塩基対合が遺伝情報の伝達に必要な構造的基盤である。
DNAのヌクレオチドの塩基配列が遺伝情報の記憶に必要な化学的多様性をもたらす。
DNAとRNA以外に存在するヌクレオチドは細胞内で多様な機能を果たす。


第8講 核酸と生命の起源 その2
【学習の要点】
生命は非生物材料から生じうるという考えは実験的証拠によって打ち消された。
水は地球上に常に存在したわけではなかった。水の地球上への出現が生命が誕生するためには必要であった。
実験的証拠は,生命が初期の地球の物理化学的変化の結果として進化した,という理論を支持している。
隕石や火星で発見された証拠から,地球以外の天体で生命が進化したか否かの問題提起がなされている。
シミュレーション実験から得られた証拠は,生物ポリマーは原始の地球の条件下で起こった化学反応から生じたという理論を支持している。
科学者たちは生物ポリマーの進化の過程で触媒の存在が必要であっただろうと考えている。

第9講 細胞:生命の機能単位 その1
【学習の要点】
細胞説では,細胞は生命の最小単位であり,全ての生物を構成しており,既に存在する細胞に由来する。
顕微鏡により細胞を目で観察することができる。
膜は細胞で構造的役割を果たし,細胞が恒常性(ホメオスタシス)を維持し,他の細胞と情報交換することを可能にする。

第10講 細胞:生命の機能単位 その2
【学習の要点】
全ての原核細胞は,細胞膜,DNAを持つ核様体,細胞質,リボソームを持つ。
真核細胞は,細胞小器官として知られる膜で囲まれた構造を持つ点で,原核細胞とは異なる。
それぞれの細胞小器官は異なる特殊な機能を果たし,他の小器官と組み合わされることにより,細胞が全体として機能するようになる。

第11講 細胞:生命の機能単位 その2
【学習の要点】
細胞外構造は,防御,支持,他の細胞との相互作用において重要である。
生物学者は細胞内膜系と核は細胞膜の陥入の結果生じたと想定している。
細胞内共生説は細胞小器官は細胞が他の細胞をのみ込むことによって生じ,それに伴って共生関係が生じたと提案している。

第12講 細胞膜 その1
【学習の要点】
脂質二重層は2種類の相互作用の結果,形成される。リン脂質の非極性尾部間の疎水性相互作用とリン脂質の極性頭部と水分子の間の親水性相互作用である。
膜に付随するタンパク質は脂質二重層に埋め込まれているか,膜の外側に結合しているかである。
膜は常に変わり続ける動的構造である。
膜の流動性は脂質構成と温度の影響を受ける。
細胞接着と細胞認識は特異的であり,細胞膜に存在するタンパク質と糖質の分子に依存している。
2つの細胞が互いに認識し結合した後に,これらの細胞がさらに材料を提供して安定な細胞間結合を形成し,それによって個体の防御,構造,情報交換の機能が増強される。

第13講 細胞膜 その2
【学習の要点】
ある物質の膜を通しての拡散速度は,拡散粒子の大きさと質量,温度,溶液の密度,そして濃度勾配の大きさの影響を受ける。
浸透とは生体膜を通しての水の拡散である。
チャネルとして働くタンパク質が,膜を通しての拡散を促進する。
能動輸送は濃度勾配に逆らって物質を移動させるためにエネルギーを必要とする。
3種類の膜タンパク質が能動輸送に関与している。単輸送体,共役輸送体(等方輸送体[共輸送体とも言う]と対向輸送体),ATP駆動ポンプ[光駆動型ポンプや酸化還元駆動型ポンプもある]である。
一次能動輸送はATP加水分解のエネルギーで直接的に輸送に用いる。一方で,二次能動輸送はATP加水分解で作られたイオン濃度勾配を用いる。
細胞では3種のエンドサイトーシスが起こる。
細胞は環境から特定の分子を受容体依存性エンドサイトーシスで取り込む。
エキソサイトーシスは物質が細胞から分泌される過程である。

第14講 細胞の情報伝達と多細胞性 その1
【学習の要点】
細胞を標的とする化学信号は,信号の発信源と信号の伝達様式で分類されうる。
信号の伝達経路には,信号,受容体,応答が含まれる。
全ての細胞が信号に応答するわけではない。細胞の中には信号を受け取る能力がないものもある。
細胞は自分が応答する信号しか認識しない特異的な受容体タンパク質を合成する。
化学的信号(リガンドと呼ぶ)の受容体への結合は可逆的であり,解離定数で表すことができる。
細胞内受容体は細胞内に局在し,光などの物理的刺激や細胞膜を超えて拡散してくる化学的信号と相互作用する。

第15講 細胞の情報伝達と多細胞性 その2
【学習の要点】
信号伝達カスケードは細胞内で信号を伝達・増幅する。
セカンドメッセンジャー分子は細胞内で信号を伝達・増幅する。
信号伝達は細胞内で多様な機構によって制御されている。
細胞は信号に対してイオンチャネルの開閉で応答することができる。
細胞は信号に対して遺伝子転写の変化で応答することができる。
動物細胞はギャップ結合を介して他の細胞と直接的に情報伝達することができる。
細胞間信号伝達が発達したおかげで,多細胞生物が進化することができた。



授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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