シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
脳神経科学
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Neuroscience
授業コード Class code
9964111
科目番号 Course number
64BIMEB305

教員名
古市 貞一、萩原 明
Instructor
Akari Hagiwara, Teiichi Furuichi

開講年度学期
2024年度後期
Year/Semester
2024 Second Semester
曜日時限
木曜4限
Class hours
Thursday, 4th period

開講学科・専攻 Department
創域理工学部 生命生物科学科

Department of Applied Biological Science, Faculty of Science and Technology
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
ヒトの行動や心の原点である脳の働きは、人類の健康にとって必須課題であり、脳(神経)科学は21世紀を代表する科学分野に成長してきた。すなわち、脳科学の進歩は高次脳機能を特徴とする我々ヒトとは何かについての理解を深め、また成果を社会や産業へ応用することでより豊かな生活につながると期待されている。
このような複雑な脳の構造と機能を理解するためには、多次元・多軸の研究が必要となり、生物・医学だけではなく理学・工学などの多分野融合による学際的なアプローチを取り入れた新技術の開発や導入が重要である。
本授業では、理工学部学生に向けた脳神経科学、特に神経シナプス伝達を中心に、脳のしくみや分子基盤について講義し、最新の研究成果や先端的な研究技術について学ぶ。
目的 Objectives
ヒトの心や行動を制御する神経基盤とその障害についての脳神経科学(神経系の構造,神経情報処理,学習と記憶,運動制御,情動,精神疾患など)の基礎や最新の知見,および先端的な研究技術や計測技術の基礎を理解することができる。
到達目標 Outcomes
脳神経科学の基礎について正しく理解し説明することができ,理工学部生が将来様々な分野で活躍する際に知っておくと良い脳神経科学の基礎力と応用力を身に付けることができる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
授業の進み具合などによって講義の内容や順序を変更したりすることがあり、CLASSや掲示板を確認すること。(中間テストは、進行状況に応じて実施日を変更することがある)
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test
-

準備学習・復習 Preparation and review
参考書や関連文献などによる準備学習や、講義内容や配布プリントなどを用いて復習もすること。
成績評価方法 Performance grading policy
到達度評価及び中間テストを中心に、授業毎に実施する小課題(レポートまたは小テスト)等の成績を総合的に評価する。(授業状況によって比率を調整する。)
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
「シリーズ脳科学」−4巻 岡本編、5巻 古市編、6巻 加藤編(東大出版会)
「カールソン神経科学テキスト 脳と行動」NR. Carlson著、中村ら監訳(丸善)
「スタンフォード神経生物学」Liqun Luo著、柚崎・岡部監訳(メディカルサイエンスインターナショナル)
「カンデル神経科学」5版 Eric R. Kandel他著、⾦澤・宮下翻訳監修(メディカ
ル・サイエンス・インターナショナル)
「Principles of Neural Science」Fifth ed. ER Kandel他著(McGraw-Hill)
「脳神経化学」森泰⽣、尾藤晴彦編(化学同⼈

授業計画 Class plan

1.脳神経科学による心の理解に向けたアプローチ

(準備学習)脳科学、神経科学とは何か[0.5時間]

(復習)脳神経系の基本的な構造と機能[1時間]

古代ギリシャ時代より提起されてきた脳と心の問題を神経科学的にアプローチするための基礎知識を習得する。心には、認知、運動制御、情動、記憶学習、睡眠覚醒、認知的意識、思考、言語、注意、感情、意思、自意識などに分類され、これらの基盤となる神経系を学習する。


2.神経発生:神経細胞の誕生・移動・分化,神経発生異常

(準備学習)神経の発生について[0.5時間]

(復習)神経誘導、神経細胞の誕生、移動、分化、脳神経系の形態と領域の形成[1時間]

脊椎動物の神経系の発生と形態形成の基礎について理解できようになる。


3.脳と遺伝子

(準備学習)神経系と遺伝子の多様性とは何か[0.5時間]

(復習)動物がもつ神経系の複雑さと遺伝子の多様性、脳神経系の発達と機能ではたらく遺伝要因(一塩基多型やコピー数変異など)と環境要因(経験やエピジェネティクスなど)、シナプスや神経突起のはたらきと遺伝子発現などについて[1時間]

生命の設計図(DNA)による脳神経系の発達、脳の機能や疾患における遺伝因と環境因の相互作用、および関連遺伝子の研究例について理解できるようになる。


4.神経回路網:神経細胞とシナプスの構造

(準備学習)神経回路とは何か[0.5時間]

(復習)脳を構成する神経細胞とシナプスの基本構造(興奮性と抑制性シナプス)、疾患に関連したシナプス病理[1時間]

神経回路の基盤となる神経細胞や情報伝達部位であるシナプスの基本的な構造から、脳の代表的な機能領域について理解できる。


5.神経情報処理機構:シナプス伝達と可塑性

(準備学習)シナプスとは何か[0.5時間]

(復習)神経の活動とシナプス伝達のしくみ、シナプス可塑性の分子機構[1時間]

神経情報処理の基本構造であるシナプスについて、生理学的な伝達機構と可塑的変化や脳の記憶と学習の機能について理解することができる。


6.感覚系神経回路:視覚、嗅覚情報など

(準備学習)感覚情報に関して[0.5時間]

(復習)感覚情報を感知する仕組み、脳内での情報処理機構[1時間]

脳が近くする外的刺激(五感)のうち、視覚と嗅覚情報を感知するしくみと、脳内での情報処理機構を理解できる。


7.脳神経科学前半のまとめ 

(復習)脳神経系の基本的な組織構造と構成する神経細胞やシナプスの種類と特徴、神経発生、神経情報処理、学習と記憶の特徴と分子細胞レベルのしくみなどの基礎について[5時間]

理工学部生が知っておきたい脳神経系の構造と形成、および神経情報処理機構の基礎について理解することができる(中間テストを予定)。


8.脳と運動

(準備学習)運動とは何か[0.5時間]

(復習)運動単位、神経筋接合部の構造、筋収縮と弛緩のシグナル伝達、末梢神経や神経筋接合部の疾患、中枢神経による制御と運動学習、運動機能補助やブレイン・マシーン・インターフェイスなどへの応用[1時間]

筋収縮のシグナル伝達、末梢性と中枢性の運動制御しくみの基礎とその応用について理解できるようになる。


9.ホルモンと性差

(準備学習)ホルモンとは何か[0.5時間]

(復習)視床下部・脳下垂体の構造、ホルモン放出、養育行動[1時間]

脳下垂体より血中に放出されるホルモンとその作用、脳内における神経伝達調節因子としての役割、生殖行動や養育行動などを学ぶことができる。


10.光遺伝学1:電気から光刺激へ

(復習)神経回路の電気的性質、光遺伝学のメリット、代表的な光活性化チャネル(チャネルロドプシン2)について[1時間]

神経細胞が活性化する基本的な仕組みを理解し、光遺伝学法の基礎から最先端の応用・研究例を学ぶことができる。


11.光遺伝学2:光刺激と細胞内シグナル伝達機構

(準備学習)細胞内シグナル伝達とは何か[0.5時間]

(復習)光遺伝学を応用した細胞内シグナル伝達を制御する光活性化分子とその応用[1時間]

神経細胞の興奮や抑制を制御する仕組み、細胞内シグナル伝達系を制御する各種光遺伝学ツールの開発、神経系以外への応用例を学ぶ。


12.学習・記憶の動物行動学

(準備学習)シナプス伝達とその可塑性[0.5時間]

(復習)学習と記憶に関する動物モデル研究の現状や解析技術について[1時間]

動物個体レベルの学習や記憶に関する基礎知識を学び,研究の最前線に触れることができる。


13.情動・感情・気分

(準備学習)情動とは何か[0.5時間]

(復習)喜怒哀楽といった情動はどのようにして脳で生まれるのか、情動と感情の違いは、情動に関係する脳領域、非侵襲的な脳活動の解析技術[1時間]

情動が生まれる脳のしくみ,脳活動の計測技術の基礎について理解できるようになる。


14.脳と老化−ライフステージと精神・発達障害

(準備学習)精神疾患とは何か[0.5時間]

(復習)うつ病、統合失調症、認知症、発達障害などの精神疾患の種類と特徴的な症状,疾患に関連する主な脳領域と病理学的・薬理学的な特徴、疾患に関連するゲノム変異および遺伝要因と環境要因[1時間]

脳が成長し、様々な機能を発揮するようになり、やがて老いていく、その過程の中でヒトが直面する発達障害、統合失調症、気分障害(うつ病・双極性障害)、不安・ストレス障害、認知症などの精神神経疾患について学び、脳の発達・成熟・老化とその障害の基礎について理解できるようになる。


15.達成度評価

授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
古市は国内研究機関(理化学研究所など)の勤務経験を活かし,基礎から最新までの脳神経科学および理工学の異分野と神経科学との融合領域についても教育する
教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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