シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
卒業研究 (幸村)【旧】
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Research for Thesis (幸村)【旧】
授業コード Class code
9962808
科目番号 Course number

教員名
内田 悠介、幸村 孝由
Instructor
Takayoshi Kohmura, Yusuke Uchida

開講年度学期
2024年度前期、2024年度後期
Year/Semester
2024 first semester and 2nd semester
曜日時限
集中講義
Class hours
intensive course

開講学科・専攻 Department
創域理工学部 先端物理学科

Department of Physics and Astronomy, Faculty of Science and Technology
単位数 Course credit
8.0単位
授業の方法 Teaching method
卒研

Graduation research
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
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授業の主な実施形態 Main class format
① [対面]対面授業/ [On-site] On-site class

概要 Description
宇宙空間にはブラックホールや中性子星のようなコンパクト天体から,銀河や銀河団といった巨大なスケールの様々な天体がある。これらの天体は目で観える可視光だけでなく電波,赤外線,X線,ガンマ線などの様々な波長(エネルギー)の電磁波を放射している。

本卒業研究では, これらの天体の観測データのデータ解析を中心とした観測的研究, あるいは,天体からのX線を観測するための宇宙望遠鏡に搭載する観測装置や、
観測装置を応用した医療分野での応用を目指したイメージングセンサーの研究開発を行う。また,天体の研究や装置の開発を進めるにあたり必要となる知識について、教科書を決め、輪読形式のゼミを通して勉強をする。

観測データ関しては、現在稼働中のChandra, XMM-Newton, MAXI, NuStar,NICER,Suzaku, IXPEさらに2023年に打ち上げたXRISMなどの宇宙望遠鏡が、中性子星、ブラックホール、超新星、銀河、銀河団など、これまでに数多くの天体を観測しており、例えば、中性子星のバーストやフレア、ブラックホール周囲にある降着円盤や数百万度の高温のコロナ、さらに数億度もの高温のプラズマを持つ銀河団、大小様々なスケールの高エネルギー天体が示す天体現象に着目し、観測データを通して物理メカニズムを解明する。特に、XRISM衛星の最新の観測データの解析は、世界の誰も見たことのない観測データであり、そのデータ解析を中心に、天体解析専用のソフトウエアを用いて解析する。
また、当研究室では、観測装置については2023年に打ち上げたXRISM衛星に搭載するX線CCDの開発を行っている。また、将来計画の1つであるXRONOS衛星やPhoNEiX衛星などのX線天文衛星に搭載する次世代のX線検出器(X線CMOS)の基礎開発、並びに、人類が活動する月や月周辺環境の放射線レベルを測定する放射線モニターや、医療用途(がん治療)を目標としたイメージセンサの基礎開発も行っている。いずれの開発も東京理科大学内の実験室に加え、高エネルギー加速器研究機構の放射光施設や放射線医学総合研究所、国立天文台、J-PARCなどの研究施設を利用した実験も行うことがある。
目的 Objectives
宇宙物理学,放射線計測学などを基盤として,上記の実験的研究を行う。
本学科のディプロマポリシー
「物理学科の学問分野における幅広い基礎的知識をもとに、物理学に関わる分野における原理と応用を体系的に身に付けている。」
「学部教育を通じて修得した知識と訓練された思考力をもとに、自然科学・科学技術の分野のみならず社会における多様な情報を論理的に分析し、問題の発見、さらにはその解決に貢献しうる能力を有する。」
を実現する科目の1つである。
到達目標 Outcomes
3年次までに学んだ物理学の基礎が専門分野の具体的な対象においてどのように応用されているかを実感し,自ら探求する姿勢を学ぶ。研究に際して基礎知識を補強しつつ、研究の進め方を身に付ける。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
学修簿および物理学科履修内規に定める履修資格を満たしていること。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion/プレゼンテーション Presentation
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準備学習・復習 Preparation and review
週2回(予定)開催するゼミの予習ならびに復習を行うこと。
天体の観測的研究や装置の開発研究に関しては,不明な点は参考文献等を自ら調べ,理解が浅いと認識したら迷わず質問すること。解析・実験手順,装置の扱い方については詳細を理解しながら行うこと。
成績評価方法 Performance grading policy
セミナーの出席,卒業論文,卒業研究発表,および日頃の研究に取り組む姿勢により評価する。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
適宜指示する。

授業計画 Class plan
卒業研究は、週2回のゼミと、前期中の中間発表、後期の卒論発表、並びに卒業論文から構成されている。

1. ゼミ : 週2回(予定)
ゼミは研究経過報告会と勉強会の2回である。

1-1. 研究経過報告会
毎週各自が卒業研究の経過について発表を行い、議論を行う。

1-2. 勉強会
X線天文学に関する入門書,統計学に関する教科書を使った輪読。
具体的な教科書は適宜紹介する。これまでに使用した教科書は以下の通り。
(例)
・ 2014年度,2015年度
          「Exploring X-ray Universe」Cambridge University出版
・ 2016年度
           「Astrophysics Processes」Cambridge University出版           
・ 2017, 2018年, 2019年度
          「Astronomy Methods」Cambridge University出版           
・ 2020年度
 「Malcolm Longair's High Energy Astrophysics」University of Cambridge出版

・ 2021年度, 2022, 2023年度
          「Astrophysics Processes」Cambridge University出版           

2. 卒業研究
卒業研究では、前期は、3月〜6月の間(予定)に天体の観測的研究とX線検出器の基礎開発について実際に携わり、7月には、相談の上、どちらかに研究テーマを決める。ただし、あらかじめ、研究テーマに関して希望がある場合についても、相談の上、具体的な内容を決める。後期は、前期中に決めた卒業研究テーマに沿って研究を進める。

2-1. 天体の観測的研究
宇宙には,太陽の数百万倍の質量を持つものや、数億度を超える超高温を持つもの、あるいは10の9乗テスラを超える超強磁場を持つ高エネルギー天体と呼ばれるものがある。これらの天体は、ブラックホール、銀河団、中性子星と呼ばれるもので、X線による観測が精力的に行われている。
 卒業研究では、XRISM, IXPE, Hitomi, Suzaku,Swift,Chandra,XMM-Newton, NICER, RXTE、NuStar衛星などのX線観測用の宇宙望遠鏡で観測した、中性子星やブラックホールなど興味のある天体の観測データに対し,LinuxやMacで専用のソフトウエアを用いたデータの解析,さらに,データの統計処理を通して、天体の観測的研究を行う。X線以外の波長(可視光など)の観測データなども適宜解析を行う。特に、2024年度はXRISM衛星の最新の観測データを用いた研究も行う予定である。

2-2. X線検出器の基礎
2023年9月に打ち上げたX線天文衛星「XRISM」に搭載するX線観測用のセンサー(X線CCD)や、XRONOS衛星、PhoNEiX衛星といった将来計画の宇宙望遠鏡用の次世代の放射線検出器(X線用CMOS)や、月周回の国際宇宙ステーションGatewayへの搭載を目的とした放射線検出器、高エネルギーガンマ線を観測するための小型衛星の国際共同開発、天体が放射するX線の偏光を観測するための観測装置の基礎開発とその観測データの解析、太陽中性子観測衛星用にシンチレーターとMPPCを組み合わせた中性子検出器の基礎開発、さらに、医療用途を目標としたイメージセンサの基礎開発を行う。実際に、研究室において、開発中の検出器にX線や粒子線を照射し、その性能を評価を行うことや、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、放射線医学総合研究所、理化学研究所、国立天文台、JAXA、産業技術総合研究所、J-PARCなどの学外の研究機関の研究施設を利用した実験も行う予定である。
実際に放射線を照射し,自ら開発した検出器を動作させ、宇宙で使用することになる観測器に触れる格好の機会となる。

以上の研究結果をまとめて、2月、または3月には卒業論文にまとめ、発表会において口頭発表を行う。

授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
教科書は配布するので購入する必要はない。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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