シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
結晶学
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Crystallography
授業コード Class code
991623B
科目番号 Course number
16CHIAC307

教員名
植草 秀裕、貞清 正彰
Instructor
Masaaki Sadakiyo
Hidehiro Uekusa

開講年度学期
2024年度前期
Year/Semester
2024 First Semester
曜日時限
火曜2限
Class hours
Tuesday 2nd Period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 応用化学科

Department of Applied Chemistry, Faculty of Science Division Ⅰ
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
⑤ [対面]ブレンド型授業/ [On-site] Blended format (must include 50%-or-more classes held on-site)

概要 Description
無機・有機固体物質の多くは結晶であり、その物性は結晶構造によって支配されることから、物質の結晶構造を知ることは大変重要である。また、結晶中で観測された分子構造は溶液中での分子構造とも密接な関係を持つため、各種化合物の溶液中での化学反応の謎を解き明かす鍵となることも少なくない。従って、結晶構造を決定することはあらゆる自然科学の研究領域で最も重要視されている手法の一つである。
 結晶学の中心課題であるX線構造解析は長い歴史をもつが、21世紀の今日においてもDNA、高温超伝導体、フラーレン等の構造解析に代表されるように、無機・有機結晶性物質のもっとも強力な構造解析の手法として、ますますその重要性を増している。
 本講義では、身近な結晶や結晶の定義である周期構造の説明からはじめて、結晶の対称性の理解へと進む。次に、結晶にX線を照射した際に起きる回折現象について、特に結晶構造因子の計算、逆格子の理解を含め、結晶学の基礎を理解する。さらに、X線回折データから結晶構造を導くための、フーリエ変換や位相問題の理論を理解することが必要である。これらを元に、実際の結晶構造解析の手法やX線回折データ測定法の実際を理解する。
最後は結晶構造の情報を可視化するソフトウエアを用いて、結晶構造への理解を深める。
以上から、結晶の基礎的な理解、結晶構造解析報、解析の実際の手順を含めて結晶学を理解することができる。
目的 Objectives
結晶学の基礎的な知識を習得し、構造解析法を学ぶことで、結晶状態および結晶構造解析を深く理解する。現代化学のすべての分野で必須の知識である、結晶状態、結晶の対称性に関する基礎的な知識を理解する。X線回折法の原理を理解し、回折測定により固体状態・結晶状態を評価する手法を習得する。X線結晶構造解析法の原理と実際を理解し、結晶構造の情報が、有機・無機・物理化学・材料科学など多くの分野で利用されることを理解する。
到達目標 Outcomes
結晶の周期性・対称性について説明できる。
X線回折の原理について、逆格子を使って説明できる。
フーリエ変換をつかった結晶構造解析法と位相問題について説明できる。
結晶構造解析の実際の手法について説明できる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
前半を貞清が、後半を植草が担当する。
詳細な日程等はLETUSのコースのページに掲載するので、注視しておくこと。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test
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準備学習・復習 Preparation and review
新しい概念が多いので、十分復習すること。特に空間群について参考書をつかって十分理解すること。
準備学習としては、各回の授業に相当する教科書の各章を読み、疑問に思った点、理解が難しい点を把握する。これらの疑問点および各回のキーワードは、授業時の説明あるいは質問により理解を目指す。
復習では、各回の到達目標について、十分に理解したことを確認し、疑問点があれば次回の授業で解決することを目指す。
各回のキーワード、到達目標については、授業計画を参照すること。
成績評価方法 Performance grading policy
評価は下記により行う。

中間テスト・到達度評価(期末テスト) 80%
平常点(レポート等) 20%
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
「X線・中性⼦による構造解析」⼤橋裕⼆・他(東京化学同⼈)
「X線結晶構造解析」大橋裕二(裳華房)
「粉末X線解析の実際」中井泉、泉富⼠夫編著(朝倉書店)
「X線結晶構造解析⼊門」⼤場茂・他(Kindle版)
「X線解析⼊門」角⼾正夫、笹⽥義男著(東京化学同⼈)

授業計画 Class plan
※各回の授業で理解すべき概念とキーワードは下記のとおりである。

1.結晶構造序論   構造に周期性を持つ固体である結晶について学ぶ。X線とX線回折に関する歴史、身近な結晶の構造と利用について理解する。X線回折および結晶性物質に関する基礎的な知識を得ることができる。

2.結晶構造の周期性   結晶を構成する周期性・対称性について学ぶ。空間格子、結晶系、ブラベ格子、対称要素を理解する。結晶を構成する三次元の周期性と対称性一般に関する知識を得ることができる。

3.空間群の対称性   三次元の結晶構造は対称要素が集まった空間群により説明できることを学ぶ。典型的な空間群の対称性・対称要素・Internatioal Tables for Crytallographyにおける表示法を理解する。三次元構造を記述する対称性を空間群により説明することができる。

4.X線回折法の原理(I)   X線回折法の前段として、物質によるX線の散乱について学ぶ。特に、特性X線、X線の吸収、原子によるX線の散乱について理解する。X線回折法で重要な原子散乱因子について定性的な説明をすることができる。

5.X線回折法の原理(II)   結晶によるX線の回折について学ぶ。逆格子の理論、回折球の作図を理解する。回折条件を逆格子と回折球で説明できる。

6.X線回折法の原理(II)   X線回折強度を定量的に記述するための基本式を学ぶ。特に結晶構造因子、原子の温度因子について理解する。電子密度が結晶構造因子のフーリエ合成により導かれることを説明できる。

7. 中間評価と解説  授業を通じて結晶学の理論と実際をあわせて理解できたかどうかを、小テストにより評価される。終了後、模範解答と説明をうけることで、知識を⾃分のものとすることができる。

8.X線回折強度の取り扱い   回折強度の定量的な扱いを学ぶ。特に回折強度のラウエ対称と、消滅則による空間群の決定法について理解する。回折強度の計算により空間群の決定ができる。

9.結晶構造解析(I)   初期構造モデル構築に必要な位相決定法について学ぶ。電子密度のフーリエ合成に必要な位相の決定法である、パターソン関数法、重原⼦法を理解する。演習を通じて⾃分で初期位相決定の計算をすることができる。

10.結晶構造解析(II)   前回を受けて、最も使われている位相決定法である双対空間法、直接法の理論を学ぶ。電子密度のフーリエ合成の基礎である結晶構造因子の位相と強度の関係を理解できる。この知識から、モデルデータによりフーリエ合成の計算を⾏うことができる。

11.結晶構造解析(III)   結晶構造解析の後段として、最⼩⼆乗法による構造モデルの精密化を学ぶ。さらに差フーリエ合成、絶対構造の決定法を理解する。構造解析の最終段階について知識を得ることができる。

12.結晶構造の理解   結晶構造解析後に解析結果をどのように評価するかを学ぶ。構造データの定量的理解、乱れ構造、結晶構造データベースについて学ぶ。実際に、結晶構造解析結果の正しい評価とデータベース利⽤ができるようになる。

13.結晶構造解析の実際(I)   具体的に結晶構造解析を⾏うことを想定し、分⼦性結晶の結晶作成法や結晶の取扱法を学ぶ。関連トピックスとして双晶、同形・多形結晶について理解する。実際に、X線回折測定に必要な試料結晶の作成と選択ができるようになる。

14.結晶構造解析の実際(II)   実際に装置を使ったX線回折測定の流れを学ぶ。実際の測定装置の仕組みと回転結晶法を理解する。さらに、回折強度測定を構成する各ステップ(指数づけと結晶⽅位、強度積分、強度補正)の具体的な内容を学ぶ。実際に、回折測定を通じて解析に必要なデータを測定するための理解ができる。

15.到達度評価と解説   授業を通じて結晶学の理論と実際をあわせて理解できたかどうかを、到達度評価(試験)により評価される。終了後、模範解答と説明をうけることで、知識を自分のものとすることができる。

授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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