シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
数学特別講義4
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Topics in Mathematics 4
授業コード Class code
9911G09
科目番号 Course number
11MAPTS401

教員名
金子 宏
Instructor

開講年度学期
2024年度後期
Year/Semester
夏学期
曜日時限
月曜3限
Class hours
月曜日3限

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 数学科

Department of Mathematics, Faculty of Science Division Ⅰ
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
⑥ [遠隔]ブレンド型授業/ [Remote] Blended format (may include less than 50% classes held on-site)

概要 Description
この講義は,数理ファイナンスの解説を念頭に置いた教科書J. M. Steel著"Stochastic Calculus and Financial Applications"に倣って進める計画である。マルチンゲールとそれに附随する有用な不等式の紹介から始め,正規分布が確率分布のなかで,重要な役割を果たしているように,ブラウン運動が確率過程論のなかで中心的な役割を果たしえる事を裏付ける幾つかの事実にも注目しつつ解説がなされる。その後で,ある有限多期間モデルではマルチンゲールの理論が適切に生かされる事をみる。さらに,均衡やパレート最適性がそれらと関係することや,派生証券の価格付け理論,最適戦略などの背景的な広がりを概観していく。金融教育に直結する内容であり,キャリア教育としての意味が明らかに伴っている科目である。
目的 Objectives
将来金融に関係する職業に就く学生に必要な確率過程論の基礎知識を習得することを通して,諸分野との関連が発生しうる数学の一つの形態を学習することがこの授業の目的である。
到達目標 Outcomes
確率過程の有用性および多面性を理論的な枠組みを通して把握できるようになることが目標として設定されている。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
確率論1で講義される程度の知識は仮定する。非同期遠隔授業実施時に,生成系AI使用可とする調査を履修者に課すことと,調査結果の総括の併用とによる教育上の効果が前年度に確認できている。これを念頭に,金融工学・経済学に関係する用語等の調査を実績に基づき非同期遠隔授業において設定する。同期遠隔実施時は,チャットもしくはLETUSなどで教員と受講者のコミュニケーションの機会を確保する。

アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
ディベート・ディスカッション Debate/Discussion/-
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準備学習・復習 Preparation and review
確率論1で提示された定理などを適用する場合がある。適用された定理などの証明に触れたことがない場合は,適宜各自の復習の中でおぎなっておくことが望ましい。一般的注意としては,事象を特定するための集合論における式表現が,直観的理解と同期する場合があることに注意しつつ,それを俯瞰的な理解あるいは把握に生かすことが推奨される。もしもそれらについて疑問点があったとしても復習の中で解決される必要がある。よって,講義時間と同等程度の時間が予習および復習のそれぞれのために費やされることが標準的には想定されている。
成績評価方法 Performance grading policy
最終レポートがどれほどオリジナルな発想に基づいているかによって判断する。基本的には,最終レポートが評価の100%であるが,課題の解答を最大15%程度の確定点への加点要素として,総合的な評価を行う。最終レポートは,講義内容がどのように各自の専門見識の向上に資するものであったかを尋ねる趣旨のものであるので,提出者により内容が異なると考えられるが,類似したレポートがいくつか堤出された場合は再度レポートの提出を要請する場合がある。最終レポートの詳細は年内に明示する。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
必要なら,以下の文献のうちの数ページのスキャンデータをLETUSにマウントする.

J.M. Steel著 "Stochostic Calculus and Financial Applications", Springer
D. Duffie著 "Dynamic asset pricing theory", Princeton University Press

授業計画 Class plan
非同期遠隔もしくは対面を中心として行うが,適宜,事前通知により,ハイフレックス ,ブレンド型授業に置き換える場合がある。理解度に応じて,多少進め方を変更する場合があるが,以下の各見出しはおよそ一回の授業に相当する。

最初の2,3回は,条件付期待値について以下の1〜4の事項を扱う:

1   条件付期待値

2   離散モデルにおける条件付期待値

3   確率密度関数に基づく条件付期待値

4   射影としての条件付期待値からシグマ加法族に基づく条件付期待値へ

その次の4,5回でマルティンゲールについての以下の5〜8の事項を扱う

5   ランダムウォークモデル
     
6   複数の確率変数に基づく条件付期待値とマルティンゲール

7   マルティンゲール変換と任意抽出定理

8   マルティンゲールによる問題解法,マルティンゲール不等式

さらにその次の3,4回で,確率過程と証券および市場について以下の9〜12の事項を扱う;

9  確率過程と証券市場   
   投資戦略過程とノーアービトラージュ
   (利率、配当、満期についての説明は簡潔にとどめる。)

10  リスク中立測度とデフレーター   
   同値なマルチンゲール測度と無リスク債券
   (内積空間の扱いには習熟しているものとする。)

11  派生証券の価格付けとエージェントの最適行動   
   リスク中立測度の存在条件
   (多次元での微積分学とコンパクト集合などについての理解が必要である。)

12 マルコフ過程モデルにおける最適戦略とベルマン原理

またさらにその次の3,4回で,確率過程と証券および市場について,以下の13〜15の事項を扱う;

13   ブラウン運動   
   (多次元の確率変数についての習熟がある程度必要である。)

14  一様可積分性と連続時間変数の場合のマルティンゲール不等式

15  サーベイから確率積分へ   
   これまでに消化できなかった内容や,講義内容の延長として興味が新たに
   もたれそうな事項を,受講者による提案なども交えつつ概観する。あるいは
   示唆的なコンテンツ教材を使用した,これまでに扱った理論の適用例の紹介
   を行う。適宜確率積分について概要を解説する。


授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
Letus が使えない場合に限り、 講義担当者への連絡用メールアドレス、  1skanekoken(アットマーク)gmail.com をお使いいただいて大丈夫です。

年度によっては受講者の希望などにより,伊藤の公式などについて解説をすることがある。


授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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