シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
確率論2
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Theory of Probability 2
授業コード Class code
9911586
科目番号 Course number
11MAPTS302

教員名
金子 宏
Instructor
Hiroshi Kaneko

開講年度学期
2024年度後期
Year/Semester
2023/Autumn semester
曜日時限
金曜4限
Class hours
Friday, 4th. period (14:40-16:00)

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 数学科

Department of Mathematics, Faculty of Science Division Ⅰ
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
⑥ [遠隔]ブレンド型授業/ [Remote] Blended format (may include less than 50% classes held on-site)

概要 Description
確率論は数理物理学はもとより、数学の他の諸分野さらには社会科学も含む広い範囲に応用が試みられている。本講義ではそれらの理論の基幹の一つとなっている確率過程論の理解に必要な事柄を学習することを目的とする。数理ファイナンスやデータ解析を始めとするいろいろな社会的に意味も伴い得る内容でもあり、数学科におけるキャリア教育としても重要な学習課題である。 これらの展望も念頭におきつつ,確率論の基礎事項を習得する。
目的 Objectives
数列などで扱える範疇のものからある種の積分量によって捉えられる概念に軸足をシフトすることで、現実の確率や期待値の捕らえ方が理論的な広がりを伴う形で展開可能となること、確率に関する一般的理解を数学的な概念で確認できるようになることが目的である。
到達目標 Outcomes
極限操作などの他の解析学との親和性に関する基礎的理解を、確率過程等の理論に向かう道筋として、形成することが到達目標である。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
「積分論」で講義される内容との関連が深い。非同期遠隔授業実施時に、生成系AI使用可とする調査を履修者に課すことと、調査結果の総括の併用とによる教育上の効果が前年度に確認できている。これを念頭に、確率論に関連する数学的概念やデーターサイエンスに関係する用語等の調査を、実績に基づき非同期遠隔授業において設定する。同期遠隔実施時は、チャットもしくはLETUSなどで教員と受講者のコミュニケーションの機会を確保する。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test/-
-

準備学習・復習 Preparation and review
必修科目の中で獲得してきた解析学に関する知識を必要とする。

一般的注意としては、事象を特定するための集合論における式表現が、直観的理解と同期する場合があることに注意しつつ、それを俯瞰的な理解あるいは把握に生かすことが推奨される。もしもそれらについて疑問点があったとしても復習の中で解決される必要がある。また同様に無限級数、積分の計算に、もしも疑問点があったとしてもやはり復習の中で解決される必要がある。

よって、講義時間と同等程度の時間が予習および復習のそれぞれのために費やされることが標準的には想定されている。理論としての体系だった把握のためには、積分論で扱われる内容に関する学習が推奨される。
成績評価方法 Performance grading policy
平常時の課題の解答状況と、15週目の授業時間帯前後から、24時間前後のちの指定された時間帯内に解答して提出する最終評価機会の解答状況により最終成績を確定する予定である。最終評価機会の割合は50%より少し多めを予定している。 

基本的にはこの得点が合格点に達していれば単位は与えられる。Zoom ないし LETUS による授業運営に建設的な貢献が見られた場合は、平常点として最大10点程度を与える場合がある。履修者からの希望が明確に聞かれた場合は、加点要素として、自発的に提出されたレポート(配布している問題の解答は評価対象となしない)も評価の対象にする場合がある。このレポートを実施する場合は、評価割合の20%を上限として最終成績に加点する予定である。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
"Probability" A.F.Karr, Springer
"Probability with Martingales" D.Williams, Cambridge University Press
”確率論” 西尾真喜子、実教出版
(適宜コピーを配布する場合,特に断らなければ,これらが出典の範囲である).講義内容に興味がでてきた場合,特にデータサイエンス,数理ファイナンス,純粋数学としての確率論についての興味などに応じて,相談を受けた場合は,より適切なものを手許においておくよう個別に推奨する場合がある.

授業計画 Class plan
出席は、実施時間帯内に設定される対面もしくは同期遠隔の時間帯にとる予定です。非同期遠隔など同期する時間帯を含まない回は、出席の履歴を残しかたもふくめて、その都度お知らせします。

最初の3回程度を期待値についての理解の完結のために費やす。その後の
数回で、期待値を用いた確率変数の族に対する体系だった扱いの方法を理解する:

1  期待値   
   期待値の定義をある方法で与えると、その定義に
   即した単調収束定理が導出が容易であること
   を理解する。(確率論1で素手のこの内容を扱った
   年度においては、その内容を復習的に確認する
   にとどめる場合もある。)

2   期待値   
   Fatou Lemma,Lebesgueの収束定理が前回の
   期待値の定義に即して困難なく導けることを
   学ぶ。

3   確率変数と分布   
   Borel 集合族を導入する事により分布を与え、
   確率変数のSkorokhod表現との結びつきをみる。

4   期待値と分布にもとづく積分
   Rの上の分布にもとづく可測関数の積分により、
   確率密度関数による期待値の表現を再確認する。

5  Jensenの不等式   
   Jensenの不等式の証明
   (凸関数と右微分係数、左微分係数についての知識を仮定する。)

6   p次モーメントが有界な確 率変数の族   
   p次モーメントが有界な確率変数の族の導入と,
   Jensenの不等式を用いたSchwarzの不等式の証明。
   (確率と期待値についての関係が定義関数により記述されることを用いる。
    単調収束定理等も適宜用いる。)

7   p次モーメントが有界な確率変数の距離
   Schwarzの不等式を用いたMinkowskiの不等式の証明。
   (ベクトル空間と距離空間の定義を各自事前に把握しておくことが望ましい。)

8  確率変数とノルム空間   
   p次モーメントから定まる距離の完備性、
   2次モーメントが有界な確率変数の直交写影。
   (Cauchy列、内積空間における射影についての基本事項を事前に把握しておく
   ことが望ましい。)

さらに次の数回で条件付期待値の定義、意味、性質を理解する:

9   条件付期待値   
   条件付期待値の存在定理と条件期待値の基本性質。
   (期待値と極限が交換できるための十分条件を事前に把握しておくことが
    望ましい。)

10   条件付期待値   
   条件付期待値と既習事項との関連
  (期待値と極限が交換できるための十分条件を事前に把握しておくことが
   望ましい。)

11   条件付期待値   
   条件付確率密度関数


次の2回程度については、学習の進捗状況により上記の内容の拡充的な学習に
時間を費やす場合があるが、時間が許せば、確率変数の収束についての体系
だった理解の機会をもつ:

12  極限定理   
   大数の二次平均法則と大数の弱法則。
   (数理統計学レベルの分散に関する基本公式は証明せずに用いる。)

13  確率度数のいろいろな収束(I) 
   二次平均収束、確率収束およびこれらの関係について。
   (確率論1レベルの全確率の法則や、確率分布を特定するための分布関数など
    の概念は用いる。)

14   確率度数のいろいろな収束(II) 
   確率収束、法則収束、概収束。およびこれらの関係について。
   (確率論1レベルの確率分布を特定するための分布の概念などは用いる。)

15 学力の計測、およびまとめと総括を行う。

理解度に応じて、多少進め方を変更する場合がある。

授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
確率論1の進み方が遅かった場合は、はじめの1回ないし2回については、必要な知識の確認および拡充のため、確率論1の内容をシラバスに沿って完了させるために充て、確率論2として予定されていた講義内容を3回目前後から始めることとする。

確率論1を履修せずに確率論2を履修する場合は、確率論1で学習済みの部分については、講義中に詳しく触れないので、各自の責任で必要な確率論1の未学習部分の知識を補うこと。

LETUS が使えない場合(含教育実習)に限り、 講義担当者への連絡用メールアドレス、  1skanekoken(アットマーク)gmail.com をお使いいただいて大丈夫です。

COVID-19の公的抑制策等に応じる形で,このシラバスを改訂する場合があります。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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