シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
確率論1
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Theory of Probability 1
授業コード Class code
9911578
科目番号 Course number
11MAPTS301

教員名
金子 宏
Instructor
Hiroshi Kaneko

開講年度学期
2024年度前期
Year/Semester
2023/Summer semester
曜日時限
金曜4限
Class hours
Friday, 4th. period (14:40-16:10)

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 数学科

Department of Mathematics, Faculty of Science Division Ⅰ
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
⑤ [対面]ブレンド型授業/ [On-site] Blended format (must include 50%-or-more classes held on-site)

概要 Description
確率論は数理物理学はもとより、数学の他の諸分野さらには社会科学も含む広い範囲に応用が試みられている。金融商品開発などでは、下記の到達目標でもふれているような、発展性のある汎用的なアプローチが着実になされる必要がある。この意味でこの科目で扱う内容に慣れ親しむ意味は大きい。数理ファイナンスやデータサイエンスをはじめとするいろいろな社会的に意味も伴い得る内容でもあり、数学科におけるキャリア教育としても重要な学習課題である。これらへの展望も適宜念頭におきつつ、確率論の基礎事項を習得する。
目的 Objectives
あいまさを排除した確率に対する理解の基盤を整備することにより、信頼のおける系統だった道筋や理論的方向性が明確になるプロセスを学ぶことは、今日の社会と数学の関わりにおいて欠かせないファクターである。本講義では今日の社会におけるランダムネスを説明する基幹理論の一つとなっている確率過程論で不可欠な役割を担う事項にフォーカスを当て、色々な確率論的数理モデルに対応できるようにするための基礎を概観することが目的である。
到達目標 Outcomes
適宜測度論の援用により、日常的な関心事になりえることがらから、さらには理論的な発展を視野にいれた発展的な事項に至るまで、多様な現象等に対する理論的理解の根幹となりえる確率論の姿が認識されるよう咀嚼できるようになる。例えば基本と発展と汎用性の三位一体的な理論体系の習得がなされていれば,申し分なく到達目標が達成されている。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
リンク先の [評価項目と科目の対応一覧]から確認できます(学部対象)。
履修登録の際に参照ください。
​You can check this from “Correspondence table between grading items and subjects” by following the link(for departments).
https://www.tus.ac.jp/fd/ict_tusrubric/​​​
履修上の注意 Course notes prerequisites
形式的には「積分論」で講義される内容との関連が深いが、ランダムに繰り広げられる現象に対して数学的根拠を伴った捉え方ができるようになることも有益である、ランダムな様相に対する理論的把握との接点をなるべく持ちそれに習熟することが好ましい。データサイエンティストのような、思慮深い社会人にふさわしい確率論の使いこなし方ができるようになるためには、固定的な観点にとらわれた興味のもち方をするよりも、知見を広げるために複数の情報源に接することに留意する方が好ましい。紹介する演習問題において、多様な適用例に対する対応力が増すよう配慮がなされている。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test/-
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準備学習・復習 Preparation and review
必修科目の中で習得してきた解析学の基礎に関する知識を必要とする。

一般的注意としては、事象を特定するための集合論における式表現が、直観的理解と同期する場合があることに注意しつつ、それを俯瞰的な理解あるいは把握に生かすことが推奨される。もしもそれらについて疑問点があったとしても復習の中で解決される必要がある。また同様に無限級数、積分の計算に、もしも疑問点があったとしてもやはり復習の中で解決される必要がある。

よって、講義時間と同等な時間程度が予習および復習のそれぞれのために費やされることが標準的には想定されている。 理論としての体系だった把握のために、積分論で扱われる内容に関する学習が推奨される。
成績評価方法 Performance grading policy
平常時の課題の解答状況と,最終週の授業時間帯前後から,24時間前後のちの間の指定された時間帯内に解答して提出する最終評価機会を設定する。この解答状況により最終成績を確定する予定である。最終評価機会の割合は60%前後を予定している。

基本的にはこの得点が合格点に達していれば単位は与えられる。Zoom ないし レタス による授業運営に建設的な貢献が見られた場合は,平常点として最大10点程度を与える場合がある。履修者からの希望が明確に聞かれた場合は,加点要素として,自発的に提出されたレポート(配布している問題の解答は評価対象となしない)も評価の対象にする場合がある。このレポートを実施する場合は,評価割合の20%を上限として最終成績に加点する予定である。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​​https://mirai.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料 Reference and other materials
”Probability" A.F.Karr,Springer
"Probability with Martingales" D.Williams,Cambridge University Press
”確率論” 西尾真喜子、実教出版
(適宜コピーを配布する場合,特に断らなければこれらが出典の範囲である).データサイエンス,数理ファイナンス,純粋数学としての確率論についての興味などに応じて,特に文献についての相談を受けた場合は,より適切なものを個別に推奨する場合がある.

授業計画 Class plan
出席は,実施時間帯内に設定される対面もしくは同期遠隔の時間帯にとる予定です。非同期遠隔など同期する時間帯を含まない回は,出席の履歴を残す方法を,その都度お知らせします。

以下の各見出しはおよそ一回の授業に相当します。

最初の3回程度で確率測度についての理解を完結させます:

1   偶然性を伴う試行   
   標本空間、事象空間、確率測度による不確実性の把握をできる
   ようにするための確率空間への習熟をはかる。

2   条件付確率   
   条件付確率と事象の独立を理解し、全確率の法則の身近な問題
   への応用ができるようなる。

3   確率測度の連続性   
   確率測度の連続性とその多様な適用のされ方のための準備を整える。

4  事象列の上極限、下極限
   事象列の上極限、下極限とはなにかを理解し、Borel-Cantelli Lemma
   が適用できるようになる。

確率速度の概念把握に基づいた確率変数の捉え方を次の数回の授業で学びます:

5   離散型確率変数   
   離散型確率変数がどのように記述されるかを理解し、その
   記述方法にそくしていろいろな離散型確率変数の具体例
   について個々の特徴が捉えられるようにする。
   
6   期待値   
   離散型確率変数の期待値と分散。条件付期待値の初等的な
   公式を扱えるようになる。

7  条件付期待値   
   離散型確率変数の条件付期待値の適用によるより幅広く
   公式が扱えるようになる。


8  多次元離散分布と独立   
   多次元離散分布とその同時分布、周辺分布によって把握が
   およぶ範囲を理解する。

9   分布関数と確率密度関数   
   分布関数、確率密度関数の対応について, Borel 集合族を通した
   明確化の筋道を理解する。(Heine-Borelの定理を用いる。)

前期の最後の数回の授業で、σ-field の概念に基づいた独立性の
把握が,どのような効力を発揮するのかをみてみましょう:
   
10   確率変数の独立とσ-field の独立  
   確率度数から生成されるσ-fieldを用いた独立性の特徴付けが
   理解できるようになる。

11  Dynkinの定理とその証明   
   d-system,π-systemなどの導入により示される Dynkinの定理
   の証明を一般測度論との関連性の中で捉えられるようにする。

12  Dynkinの定理の有効適用 
   Dynkinの定理の理論的な場面での適用を通してその有効性が
   捉えられるようにする。

13 確率変数の独立、Kolmogrovの0−1法則。
   σ-fieldを用いた独立性の特徴付けに習熟すると、
   把握することが困難に見受けられる事象の確率の
   容易な導出が可能になることを学ぶ。

上記項目についての学習終了後、期待値の定義についてふれてみます
(ただし、学習の進捗状況によっては一回程度、さらに他の拡充的な
内容の学習をすることがあります):

14  期待値   
   期待値の定義をある方法で与えると、その定義に
   即した形での単調収束定理が導出が容易であること
   の理論的背景がわかるようになります。

15回目の授業では適宜の学力の計測と、まとめおよび総括を行います。
  
  


授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
数理統計学での既習事項を扱う事がよくあるので、数理統計学で解説した基本的な事柄は,随時復習できるようにしてください.

LETUS が使えない場合(含教育実習)に限り,講義担当者への連絡用メールアドレス, 1skanekoken(アットマーク)gmail.com をお使いいただいて大丈夫です. 

COVID-19の公的抑制策等に応じる形で,このシラバスを改訂する場合があります。

授業でのBYOD PCの利用有無 Whether or not students may use BYOD PCs in class
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授業での仮想PCの利用有無 Whether or not students may use a virtual PC in class
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