シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
現代生物学概論 (前・木3)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
General Biology (前・木3)
授業コード Class code
99K8103
科目番号 Course number
L1NATURb22

教員名
鞆 達也、小野口 真広、小野口 玲菜、七野 悠一、北吉 萌
Instructor
Moe Yokoshi-Kitayoshi, Yuichi Shichino, Masahiro Onoguchi, Rena Onoguchi, Tatsuya Tomo

開講年度学期
2023年度前期
Year/Semester
1st Semester 2023
曜日時限
木曜3限
Class hours
Thursday 3rd Period

開講学科・専攻 Department
経営学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the School of Management
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
ブレンド型授業(半数回以上を対面実施)/Blended format(with 50%-or-more on-site
classes

概要 Description
生物学の基本的な知識を概説し、生命のしくみについての概要を学習する。とりわけ本講義では、RNAを中心とした分子生物学に焦点を当て、さらに現代のトピックスとなっている問題についてもわかりやすく解説し、これら基本知識が修得できるようにする。
目的 Objectives
本科目は、本学教養教育の目標に定める「専門分野の枠を超えて広い視野で多元的・複眼的に自然・人間・社会を俯瞰できる能力」を涵養するための科目である。何より先ず、「生命」のありようをRNAを中心とした分子の振舞を通じて知ることへの意欲をもつように方向づけ、その上で生命現象を支えるそれぞれのプロセスの理解を深めることを目的とする。
到達目標 Outcomes
RNAを中心とした最先端の分子生物学の知識を習得すること。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
S:一般能力 B:教養 K:豊かな教養 OS:一般能力 OK:豊かな教養    MS:教養学力 BE:幅広い教養 ID:教養学力
履修上の注意 Course notes prerequisites
本講義は、ブレンド型授業(半数回以上を対面実施)/Blended format(with 50%-or-more on-site classesである。成績評価については、4名の各教員から、それぞれアナウンスがあるので、注意して聞くこと。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test
-

準備学習・復習 Preparation and review
下に挙げた参考書や、図書館などの本、自分が所有する本などで、当該する授業内容に関する知識をあらかじめ1〜2時間、予習しておくこと。また、授業後に1〜2時間の復習を行うこと。ただし、実際の講義内容はかなり先端研究に近い内容が含まれるため、すでに出版されている一般書や学術書などで内容を知ることは難しい。したがって、それぞれの教員やその教員が所属する研究室のHPなどを参照して、その研究内容をあらかじめ知っておくことも重要である。
成績評価方法 Performance grading policy
各教員により、レポートを課すか小テストを行うかが異なるので、それぞれのアナウンスをきちんと聞くこと。配点は、北吉(余越)、小野口(真)、小野口(玲)は各20点満点、七野は40点満点の計100点満点とする。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
-
MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

参考書・その他資料 Reference and other materials
池北雅彦ほか著『理工系の基礎・生命科学入門』(丸善出版)
花岡文雄監修・武村政春著『基本がわかる 分子生物学集中講義』(講談社)

授業計画 Class plan
北吉
第1回:オリエンテーション
本講義は、若手研究者4人によるオムニバス授業である。遺伝情報がDNA→mRNA→タンパク質の順に伝達されるという基本原理(セントラルドグマ)について全15回を通して深掘りして学ぶ。また、「タンパク質の設計図にならないRNA」が数多く発見されており、この原理に多くの例外があることを修得できるようにする。

北吉
第2回:ゲノム・遺伝子とは
ゲノムのうちタンパク質の設計図となるDNA配列が遺伝子であり、遺伝子の情報を元にタンパク質を作る過程は遺伝子発現と呼ばれている。近年、DNA配列だけで全てが決まるわけではなく、ゲノムの構造や性質が遺伝子発現を制御することが明らかとなっており、生命現象に潜む複雑な遺伝子発現メカニズムについて学ぶ。

北吉
第3回:遺伝子発現スイッチについて
私たちが生きるためには適切な時に適切な場所で遺伝子のスイッチが入らなければならない。近年の解析から、遺伝子本体の変異よりもむしろスイッチ機能の破綻がガンなどの疾患と密接に関連していることが明らかになってきた。遺伝子制御スイッチの重要性について最新研究成果を踏まえて学ぶ。

七野
第4回:タンパク質ができるまで(1) mRNAのタンパク質の構造
多彩な生命現象の背景には生化学反応を触媒する多様なタンパク質の存在がある。これをDNA上の遺伝情報を元に正確に合成する機構を修得できるようにする。今回はmRNAとタンパク質の生化学的構造を理解する。

七野
第5回:タンパク質ができるまで(2) 翻訳制御と疾患
mRNAからタンパク質を合成する翻訳過程の基本的な仕組みを理解する。また、翻訳過程はエネルギー消費の大きな生化学反応であり、その破綻は様々な疾患につながっている。それらの紹介を通じて翻訳の重要性について修得できるようにする。

七野
第6回:タンパク質ができるまで(3) タンパク質立体構造と創薬
合成されたタンパク質は1本の鎖のような形をしているが、そのままでは機能せず正しい立体構造に折りたたまれる必要がある。タンパク質立体構造を決定する機構を理解するとともに、立体構造を知ることが生物学的ないし創薬的観点からなぜ重要なのか、修得できるようにする。

七野
第7回:ストレス応答と神経変性疾患
細胞は高温や低酸素などストレスに適切に対処するためのシステムを持っている。まさに細胞の「緊急事態宣言」とも言うべきストレス応答の基本的な機構を理解し、実はストレス応答と関連の高いアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に向けた最新の知見について修得できるようにする。

七野
第8回:細胞分裂とがん
細胞は分裂を繰り返すことで増殖していくが、正確に同じ遺伝情報を持った細胞を作るためには非常に厳密な制御が存在する。分裂のチェックポイントの緻密さを理解し、その破綻とがんなどの疾患との関係性を通じて分裂制御の重要性を修得できるようにする。

七野
第9回:小分子RNAによる遺伝子発現制御
近年、タンパク質をコードしないRNA(ノンコーディングRNA)が多くの生命現象を制御することがわかってきた。ここでは、ノンコーディングRNAの一種である小分子RNAによる遺伝子発現の制御機構を学び、疾患などとの関係性について修得できるようにする。

小野口(真)
第10回:長鎖ノンコーディングRNAと遺伝子のエピジェネティックな制御
哺乳類のゲノムのうち、タンパク質をコードした領域はわずか数パーセントであり、ゲノムのほとんどは機能を持たない「ジャンクDNA」であると考えられてきた。近年、これらの領域に多数のタンパク質に翻訳されない長鎖ノンコーディングRNA(long noncoding RNA; lncRNA)が存在することが明らかとなった。lncRNAはD N A配列変化を伴わないエピジェネティックな遺伝子制御に関与する。本講義では、lncRNAと遺伝子のエピジェネティックな制御について学ぶ。


小野口(真)
第11回:トランスポゾンと生命進化の歴史
哺乳類のゲノムは約半分がリピート配列でできており、その大半はトランスポゾンと呼ばれるウイルス由来の配列である。トランスポゾンはゲノムを不安定化させる側面を持つが、一方で最近、生命進化のきっかけを与えるという重要な側面を持つことが明らかとなってきた。本講義では、トランスポゾンと生命進化の関係について学ぶ。


小野口(真)
第12回:トランスポゾンと生殖細胞の小分子RNA(piRNA)
生殖細胞においてトランスポゾンはゲノムの中を移動するが、トランスポゾンの移動は遺伝子を破壊してしまうことがある。本講義では生殖細胞においてトランスポゾンからゲノムを保護する小分子RNA, piRNAについて学ぶ。

小野口(玲)
第13回:細胞内に存在する構造体とその形成機構
細胞内には「遺伝子発現制御の場」として働く様々な種類の小器官や構造体が存在する。それらがどのように形成されるか、遺伝子発現制御においてどのような役割を果たしているのかを最新の研究成果を踏まえて学ぶ。

小野口(玲)
第14回:細胞核内の構造と遺伝子発現制御

細胞核内で非コードRNAがタンパク質と共に形成する「細胞内顆粒」が遺伝子発現制御に重要であることがわかってきた。非コードRNAと細胞内顆粒による転写制御などの遺伝子発現の仕組みについて学ぶ。


小野口(玲)

第15回:ストレス応答や疾患と関連する細胞内構造体

細胞内顆粒は環境ストレス応答などに重要な役割を果たすことが明らかとなった。また、細胞内顆粒形成の異常は疾患と関連する例も知られている。細胞内顆粒によって細胞が環境ストレスに応答する仕組みや疾患との関連について最新の研究成果を踏まえて学ぶ。


授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
-
教育用ソフトウェア Educational software
-
-

備考 Remarks