シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
日本国憲法 (後・月3)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Constitution of Japan (後・月3)
授業コード Class code
99K1223
科目番号 Course number
L1HSSSCn01

教員名
神野 潔
Instructor
Kiyoshi JINNO

開講年度学期
2023年度後期
Year/Semester
2023 2nd Semester
曜日時限
月曜3限
Class hours
Monday 3rd Period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部(一般教養科目)、経営学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Faculty of Science Division Ⅰ
A course of liberal arts, the School of Management
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
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授業の主な実施形態 Main class format
対面授業/On-site class

概要 Description
本講義は、日本国憲法の二つの柱である人権と統治機構について扱う。
まず哲学的・歴史的な視点から、“そもそも憲法とは何か”・“そもそも国家とは何か”について考えてみる。これは、立憲主義・法の支配・人権など、憲法を学ぶ上で不可欠な概念について、基礎的な理解を深める作業である。続けて、日本国憲法の個別条文について、いくつかの判例を挙げて検討し、日本国憲法の基本原理と、その具体化である各規定の意義を理解する。
全体を通して、判例や学説を示しながら憲法解釈を紹介し、具体的な事件の中でどのような解釈がなされてきたのかを見ていきたいが、それだけにとどまらず、法哲学的・法史学的・比較法的な視点も重視して、多面的に日本国憲法を捉えていきたい。
目的 Objectives
そもそも、この社会の主体的・自律的な構成員である一般市民にとって、憲法の基本原理・基本構造は、理解しておかなければならないものである。それに加えて、現在の日本では、憲法改正を巡る議論や表現の自由とその規制に関する問題など、一般市民の憲法に対する理解力が、以前よりもさらに厳しく問われる社会的状況になってきている。そのような中で、①市民として必要な日本国憲法に関する知識・思考を深めていくこと、②憲法問題について感情的な「裸の価値判断」をぶつけるのではなく、対象を批判的・客観的・俯瞰的に捉え、自身の考えを論理的に説明して、他者と生産的な議論をする力を身につけて行くこと、の2つが本講義の大きな目的である。また、理系の学生として、あるいは公務員や教員を目指す学生として、それぞれの立場から、それぞれに必要な憲法の知識・思考を修得することも、この講義の目的として挙げておきたい。
到達目標 Outcomes
本講義の到達目標は、①憲法という概念について本質的に理解し、説明できること、②日本国憲法の基本原理と各条文の関係・内容を理解し、説明できること、③日本国憲法に関わる諸問題について、知識を深め自分なりの見解を持ち、それを表明できること、の3点である。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
S:一般能力 B:教養 K:豊かな教養 OS:一般能力 OK:豊かな教養 2S:幅広い視野と高い倫理観に基づく教養力 2B:教養に関する理解 2K:基礎学力 MS:教養学力 BE:幅広い教養 ID:教養学力
履修上の注意 Course notes prerequisites
ニュース・新聞に目を通し、憲法問題への関心を高めておくこと。担当教員とコミュニケーションを取ることを心がけ、積極的に講義に参加してほしい。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/小テストの実施 Quiz type test/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion
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準備学習・復習 Preparation and review
各回の内容について、必ず教科書の該当章をよく読んで臨むこと。教科書を読んできていることを前提に講義を進める。また、講義後は、ノートを整理して復習すること。予習には2時間程度、復習には2時間程度かけることが望ましい。
成績評価方法 Performance grading policy
平常点課題(26点)、レポート(24点)、学期末試験(50点)の合計で評価する。
平常点課題(26点)は、第2回から第14回まで1回2点×13回分とする。
レポート(24点)は、第1回のガイダンスにおいて内容を告知し、第10回の講義日を締切とする1200字程度の「要約型レポート」である。
学期末試験は(50点)は、問題を事前に予告した上で行う60分間の論述試験で、持ち込みは不可とする。
詳細は第1回のガイダンスにおいて説明する。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
Y
書誌情報 Bibliographic information
『教養としての憲法入門』、神野潔編著、弘文堂、2016年、ISBN:978-4-335-35663-6
MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

参考書・その他資料 Reference and other materials
教科書『教養としての憲法入門』に、学習段階別に掲載してあります。その他、講義の中でも紹介します。

授業計画 Class plan
【第1回 ガイダンスと日本国憲法の全体像】
講義の進め方や成績評価についてなど、講義を履修する上での基本事項を確認する。また、日本国憲法の全体像を簡単に把握しておく。

【第2回 そもそも憲法とは何だろうか】
立憲主義の基本原理を確認し、近代憲法・現代憲法の歴史と意味について整理する。

【第3回 幸福追求権と新しい人権】
幸福追求権が具体的に何を保障するものなのかについて整理し、幸福追求権に含まれる「新しい人権」の位置づけについても考えていく。

【第4回 法の下の平等とは何だろうか】
法の下の平等に関わる現代的課題を確認し、特に女性の再婚禁止期間やLGBTに関する議論など、性に関係する問題を取り上げて考えていく。

【第5回 精神的自由権−表現の自由①】
表現の自由の意味と価値を整理し、特に表現内容規制と表現内容中立規制について理解する。

【第6回 精神的自由権−表現の自由②】
表現の自由について、特にメディアと「知る権利」の関係について議論する。

【第7回 精神的自由権−思想・良心の自由、信教の自由】
思想・良心の自由について、君が代斉唱問題など、学校を舞台とした事例を特に取り上げて検討する。また、信教の自由について、その歴史的意味を確認した上で、剣道実技拒否事件など、学校を舞台とした事例を取り上げて議論する。また、靖国参拝問題など、政教分離のあり方についても考える。

【第8回 経済的自由権−職業選択の自由と財産権の保障】
薬局距離制限事件など、経済活動に関わる自由がどのように保障され、また制限されているかについて、考えていく。

【第9回 社会権−生存権と教育を受ける権利】
福祉国家の意味や、社会権が日本国憲法においてどのように保障されているかを理解する。特に、生存権の法的性格に関する学説を検討し、また、旭川学テ事件などを素材に、教育を受ける権利と教育権の所在について考えていく。

【第10回 国会】
国権の最高機関であり唯一の立法機関でもある国会について、その地位や権限について考察する。

【第11回 内閣】
内閣の組織、内閣総理大臣の地位について整理し、議院内閣制の実態(現代的課題)を捉え考えていく。

【第12回 裁判所】
現代の日本における裁判所の仕組み(裁判所の組織と役割)について考えていく。

【第13回 象徴としての天皇、“祈る”存在としての天皇】
日本国憲法における天皇の地位・権限について確認し、現代社会において天皇が果たしている役割を議論する。

【第14回 平和主義−歴史、理想、現実】
憲法9条について、歴史的・比較法的視点から把握した上で、戦後続いてきた9条改正を巡る議論の論点を客観的に整理する。

【第15回 総括】
到達度を確認し、またこれまでの内容について総括し、これからの「憲法のデザイン」について考えていく。

授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks