シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
生命科学緒論 (後・金1)
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
General Life Science (後・金1)
授業コード Class code
99K1111
科目番号 Course number
L1NATURb21

教員名
武村 政春
Instructor
Masaharu Takemura

開講年度学期
2023年度後期
Year/Semester
2nd Semester 2023
曜日時限
金曜1限
Class hours
Friday 1st Period

開講学科・専攻 Department
理学部第一部(一般教養科目)、経営学部(一般教養科目)

A course of liberal arts, the Faculty of Science Division Ⅰ
A course of liberal arts, the School of Management
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義

Lecture
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
-
授業の主な実施形態 Main class format
対面授業/On-site

概要 Description
高校の生物があまり人間に関する話題を取り上げないので、生物学に対して、あまり身近な学問ではないような誤解を持っている人が、どうも多いらしい。しかしよく考えてみていただきたい。現代の生物学は、再生医療を始めとして、急速に発展している分野である。学生諸君も、新たな発見や解明が新聞やニュースでも取り上げられているのを見聞きすることがあるだろう。特にこの2年は、新型コロナウイルスに振り回された2年だった。我々人間が生物の一種である以上、生物学を学ぶことは自分自身のことについて学ぶことを意味することは自明の理である。したがって、これからの人生において、人間存在の基礎となる生物学について、よく理解し、考える機会を得ておくことは重要なのである。
 こうした、私たち人間の生活に非常に身近な生物学を、遺伝子工学などの最先端の科学技術を通じ、「生命とは何か」という深いところにまで思いめぐらせる学問を、特に「生命科学」と呼ぶ。この学問は、生物学に限らず、ほかの自然科学、人文科学や社会科学もとりまぜながら、より広く「生命とは何か」を考究していくものであり、広い知識と教養に裏打ちされる、これからの「理系人間」には欠かすことのできないものである。
 というわけで、本講義「生命科学緒論」では、生物学全体の基礎知識を網羅しながら、私たち人間の生活や生き様に直結するような様々な話題を提供し、諸君の教養の幅を一段も二段も上げるような講義にするつもりである。

なお本科目は、教養教育の一環として、「自然・人間・社会を幅広く俯瞰できる能力」ならびに「論理的・批判的思考力」を涵養するための科目である。
目的 Objectives
それぞれの専門分野への応用のための、もしくは一般教養としての生命科学の基礎知識を身につける。
到達目標 Outcomes
生物学とは何か、生命科学とは何か、生命を科学するとはどういうことか、生命科学はどのような手法により成り立っているのか、どのような話題があるのか等、一般教養としての生命科学的事象の様々な事柄を、広く説明できるようになる。たとえば万能細胞、新型コロナウイルス問題等、昨今話題になった、あるいはなりつつある生命科学的な話題も取り上げていくので、こうしたことについても、生命科学的な観点から説明できるようになる。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
S:一般能力 B:教養 K:豊かな教養 OS:一般能力 OK:豊かな教養 2S:幅広い視野と高い倫理観に基づく教養力 2B:教養に関する理解 2K:基礎学力 MS:教養学力 BE:幅広い教養 ID:教養学力
履修上の注意 Course notes prerequisites
この講義は、すべての回を対面により行うが、それぞれの回の終了後、LETUSで小テストを受けること。
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
小テストの実施 Quiz type test
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準備学習・復習 Preparation and review
参考書や、その他関連図書などにおいて、本講義の内容であると思われる箇所を、授業前に1〜2時間程度、よく読んでおくこと。授業後にも1〜2時間程度、復習の時間を設けた上で、小テストを受けること。
成績評価方法 Performance grading policy
LETUS上で各回(2回〜15回の14回分)で行った小テストの合計点(1回5点、合計70点)、ならびに15回目の後に行う到達度試験の点数(合計30点)により、成績評価とする。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

参考書・その他資料 Reference and other materials
武村政春著『ベーシック生物学』(裳華房)
武村政春著『生物はウイルスが進化させた』(講談社ブルーバックス)
池北雅彦ほか著『理工系の基礎・生命科学入門』(丸善出版)

授業計画 Class plan
(1)生命科学緒論ガイダンス
 生命科学緒論の内容と到達点、ならびに成績評価についてのガイダンスを行う。

(2)生命科学とはどのような学問か
 私たちヒトが生物の一種である以上、生物学が私たちの生活に大きく関わり、影響をもたらす学問であることは自明の理である。はたして生物学はどのような学問なのだろうか? 生命科学とはどのような学問で、生物学とはどのような関係にあるのだろうか? この授業では、生物の世界の性質と特徴について扱い、生物学とは、生命科学とはどのような学問であるのかを修得できるようにする。

(3)生命科学の手法
 生命科学は、どのような手法を用いて、どのように研究する学問なのだろうか? この授業では、生命科学の主な手法である遺伝子組換え技術、細胞培養技術、タンパク質分析技術などについて扱い、生命科学の手法の概要を修得できるようにする。
    
(4)iPS細胞と再生医療
 昨今、生命科学の中で最も注目を集めているのが「iPS細胞」である。この授業では、iPS細胞の作り方、その生物学的意義、再生医療の中でのiPS細胞の位置づけについて扱い、iPS細胞と再生医療についての基礎的、発展的知識を修得できるようにする。

(5)生命科学研究をめぐる問題
 7年前、生命科学において社会的に大きな話題を集めたのが、「STAP細胞」であった。結局この細胞は、「その存在が認められなかった」ことが理化学研究所から正式に発表されたが、いったいこの騒動はどのようなものだったのか。この授業では、STAP細胞問題を通じて、生命科学の本質とその、その研究を行うことの難しさについて修得できるようにする。

(6)ウイルスと生命科学
 生物ではないが故に、生物学ではほとんど扱われることのない「ウイルス」。生命科学の観点から見ると、ウイルスはじつは非常に重要なカギを握る生命体である。この授業では、ウイルスとは何かについて、生命科学の視点から、その概要を修得できるようにする。

(7)巨大ウイルスをめぐる問題
 昨今、ミミウイルスやパンドラウイルスに代表される、「巨大ウイルス」と呼ばれるこれまでのウイルスよりもサイズが大きく、構造や遺伝子もより複雑な生命体が発見されており、生物とウイルスとの境界が徐々にぼやけてきている。この授業では、そうした巨大ウイルスに焦点を当て、生命科学の世界で巻き起こりつつある議論について紹介し、その概要を修得できるようにする。

(8)エマージングウイルス(新興ウイルス)とはなにか
 数年前、エボラ出血熱、デング熱、ジカ熱といった、これまでわが国ではほとんど話題にならなかった感染症が話題になったいる。これらの感染症は、いったい私たち人間社会に何を投げかけているのだろうか。この授業では、こうした感染症を通じて、「エマージングウイルス」の概要について修得できるようにする。

(9)新型コロナウイルスとはなにか
 今、世界中の人々が苦しめられている新型コロナウイルスとは、いったいどのようなウイルスなのか。ほんとうに恐れるべきウイルスなのだろうか。この授業では、新型コロナウイルスのウイルス学的実態に迫ることによって、その真実について修得できるようにする。
    
(10)遺伝子診断をめぐる問題
 私たちの生活に密着した生命科学的話題と言えば、何といっても医療の分野に見られるものであり、とりわけ「遺伝子診断」がより身近な時代になっていくことは想像に難くない。この授業では、遺伝子診断とはどのようなもので、どのような問題が存在するのかにつき、その概要を修得できるようにする。

(11)DNAをめぐる誤解と真実
 DNAという言葉はすでに人口に膾炙しており、この言葉を知らない人間はいないとさえいえるほど、ポピュラーに使われる言葉となったが、ではDNAのことを本当に理解している人間はといえば、そう多くないのが現状である。この授業では、DNAという言葉がもたらす生命科学上、社会科学上の誤解と真実について、それぞれ他人に説明することができるような知識を修得できるようにする。

(12)進化をめぐる誤解と真実
 DNAという言葉と同様、進化という言葉もまた、同じような状況に置かれていると言ってよい。この授業では、進化という言葉がもたらす様々な誤解と真実につき、やはりそれぞれ他人に説明することができるような知識を修得できるようにする。

(13)宇宙生命体考
 宇宙に生命はいるのだろうか? 地球のような星はあるのだろうか? そして、宇宙にも人類と同じような、あるいはそれ以上の知的生命体はいるのだろうか? 生命科学は、こうした問題にどのような回答を用意することができるのだろうか? この授業では、宇宙に生命体がいる可能性について、科学的見地から他人に説明できるような知識を修得できるようにする。

(14)複製と生命・意識と脳
 生命科学は、「意識」とは何か、「自分」とは何か、そして「自己」は複製できるのかという、古来の哲学者が挑戦して来た難問に、自然科学的な答えを用意することが果たしてできるだろうか? この授業では、複製・意識・脳という、「生命科学最後の牙城」とさえいえる分野について、自ら科学的に考えることができる知識・スキルを修得できるようにする。

(15)巨大ウイルスと生物進化
 巨大ウイルスは、ウイルスの世界の奥深さをあぶり出したのと同時に、私たち生物の進化とウイルスとの間に、極めて重要なパートナーシップが存在していることを明らかにしてきた。いったい巨大ウイルスとは、私たち生物にとってどのような存在なのだろうか? この授業では、その概要とウイルスに関する新しい視点を修得できるようにする。

(到達度試験)第15回の後に、到達度試験を行う。詳細は、第1回ガイダンスの時にアナウンスする。

<授業外学習の課題>
(1)講義動画視聴前に予習をしておくこと。
(2)細胞とは何かについて、400字程度で明確に説明できるようにしておくこと。
(3)ウイルスについて、400字程度で明確に説明できるようにしておくこと。
(4)生活に身近なところから、生命科学に関する事項をピックアップして、それについて考察してみること。
(5)生命科学に関する新聞記事などを特に注意して読んでおくこと。
(6)教科書以外の生命科学関係の本も読み、復習をしておくこと。

授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks