教員名 : 八尋 明彦
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科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
港湾工学
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Port Engineering
授業コード Class code
9976659
科目番号 Course number
76CEPRI311
教員名
八尋 明彦
Instructor
Akihiko Yahiro
開講年度学期
2023年度前期
Year/Semester
2023/Semester
曜日時限
金曜4限
Class hours
Friday Class4
開講学科・専攻 Department
創域理工学部 社会基盤工学科
Department of Civil Engineering, Faculty of Science and Technology 単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
講義
Lecture 外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
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授業の主な実施形態 Main class format
対面授業を第1回目、第4回目(横浜港見学会)、第8回目(パネルディスカッション)、第15回目(パネルディスカッション)、Zoomによるオンライン授業(非同期)/Online (asynchronized remote)を第2回目〜第3回目、第5回目〜第7回目、及び第9回目〜第14回目の講義において実施する。
概要 Description
(概要)今日の港湾は,船舶が離発着する単なる交通ターミナルではなく,コンテナ、バルクやクルーズなどの国際的な物流や人流,交易の窓口であり,重厚長大型工場の生産拠点、火力発電や石油備蓄基地等のエネルギー拠点でもある。さらに都市住民の貴重な水辺空間,都市廃棄物の処分空間として都市活動になくてはならない存在となっている。港湾の整備に当たっては,このような幅広い要請に対処するとともに,世界的な海上輸送の動向,近隣諸国との港間競争、さらには海域環境等にも配慮しなければならない。
その他、近年は、以下のような課題に直面しており、様々な対応を求められている。 ①2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、東北地方における太平洋側の港湾が甚 大な被害を受けた。今後、発生が想定される南海トラフ地震に備えて、西日本沿岸部の港 湾に対して如何に津波や地震から防護するか大きな課題である。 ②近年の気候変動によると考えられる台風の巨大化や海水位の上昇によって引き起こされる 高潮や高波による沿岸部の被災が国内外で生じている。 ③2012年12月に中央高速道路笹子トンネルで起きた天井版落下事故に代表されるように、こ れまで建設してきた港湾施設の老朽化対策が急務である。 ④IT技術の進展によって、それを用いた港湾の利用状況や経済効果の整理・分析による新 たな港湾計画や性能設計体系のあり方、併せて、質の高いインフラシステム輸出時代にお ける港湾分野の国際協力のあり方も考えていく必要がある。 ⑤2020 年10 月、我が国は「2050 年カーボンニュートラル」を宣言した。このため、輸出入 貨物の99.6%が経由する国際サプライチェーンの拠点となっており、また、CO2 排出量の 約6割を占める発電所、鉄鋼、化学工業等の多くが立地する臨海部産業の拠点、エネルギ ーの一大消費拠点でもある港湾においては、脱炭素エネルギーである水素や燃料アンモニ ア等の輸入拠点となるとともに、これらの活用等によるCO2 削減の余地も大きい地域であ り、2019年から開始した一般海域における洋上風力発電の整備とともに、当面は2030年度 を目標に脱炭素化に向けた先導的な取組を集中的に行う必要がある。 目的 Objectives
港湾工学の学ぶためには、港湾に関連する基礎及び応用知識を備える必要がある。そこで、国内外の経済社会情勢と港湾活動との関係について理解を深め、また港湾の整備に必要な計画,設計、施工の基礎知識や、さらに政策課題である国内外のコンテナやバルク物流、クルーズ人流、産業立地、カーボンニュートラル対策、環境対策、津波、高潮等の沿岸防災、既存ストックの維持管理について習得することを目的とする。さらに講義では、レポート作成、パネルディスカッション、さらには講師が国土交通省等で実体験した業務紹介などを通じて理解を促進・深化させる。
到達目標 Outcomes
本講義は土木工学科における学習・教育目標のうち,評価の対象とする目標として,「目標(C)土木工学の実務的な課題を理解し,それを解決するのに必要な知識を獲得できるようになる.」に関連する.具体的な目標としては、
①多面的な知識を説明できる。 ・港湾の持つ交通機能、生産機能、都市生活機能、新たな展開機能 ・防波堤、岸壁の他に道路、橋梁、鉄道、緑地など多種多様な施設 ②自然と対峙するための計画・設計思想を持ち備えることができる。 ・港湾施設に及ぼす高波、高潮、津波、大水深、軟弱地盤、液状化、海面上昇 ・脱炭素化、環境保全、水産業との共生 ③時代や社会の流れを感受できる。 ・港湾を巡る内外の動き ・各種政策 [土木工学科が定める学習・教育目標との関連] 上記 [到達目標] は,下記の主として関連する学習・教育目標に基づいている. 主として関連する学習・教育目標: 目標(C)土木工学の実務的な課題を理解し,それを解決するのに必要な知識を獲得できるようになる. 卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
実務課題の理解
履修上の注意 Course notes prerequisites
・非同期による講義内容は、何度でも視聴して理解度を深める努力が必要である。
・また、それを論理的に体系的にまとめる文書作成能力の鍛錬が必要である。 アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion/グループワーク Group work/プレゼンテーション Presentation/PBL (課題解決型学習) Problem-based learning/フィールドワーク Practice/Fieldwork
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準備学習・復習 Preparation and review
最新の情報に基づいて講義するため、視聴・配布された資料を基に新聞やテレビ等の情報との関連について自分なりの確認を行うこと。その中で感じたことや疑問点について、レポートやメール等で質問することが望ましい。
成績評価方法 Performance grading policy
レポート(3題) レポート(1)20点 レポート(2)40点 レポート(3)40点 100満点
(フィードバックの方法) レポート(3題)については、提出以降の講義において優秀な内容、共通する事項、質問事項等について、講師が指名した数名の学生によるプレゼンテーション、及び講師とのパネルディスカッションを通じて、より理解を深める。質問事項等については、メールでのやり取りも行う。 学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している ・B:到達目標を達成している ・C:到達目標を最低限達成している ・D:到達目標を達成していない ・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している ・S:Achieved outcomes, excellent result ・A:Achieved outcomes, good result ・B:Achieved outcomes ・C:Minimally achieved outcomes ・D:Did not achieve outcomes ・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation 教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store). https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ 参考書・その他資料 Reference and other materials
1.改訂新版「港湾工学」(一社)港湾技術コンサルタンツ協会編:朝倉書店
2.世界に通じる、未来へ通じる「港湾」の話:日本経済新聞出版社 3.みなとが紡ぐ未来 / 日本を元気にする7つのメッセージ:(株)ウェイツ 授業計画 Class plan
第1回目(対面講義):港湾工学の概要:土木学、港湾工学のアウトライン、わが国の港湾の位置づけ、港湾の分類などについて理解する。
第2回目,第3回目(非同期):交通機能:国内外のコンテナ貨物、バルク貨物、クルーズ等について理解する。 第4回目(対面講義):港湾の現状や歴史を工学的視点から自ら確認するため横浜港を見学する。 第5回目(非同期):産業機能:地方の産業立地、カーボンニュートラルポート、リサイクルポート、水産業等について理解する。 第6回目(非同期):都市生活機能及び環境対策:港湾における廃棄物対策、環境の特質や最近の環境政策等について理解する。 第7回目(非同期):港湾計画:港湾計画の流れ、計画内容、施設計画等について理解する。 第8回目(対面講義):討論会(1):第1回目から第6回目に関わる提出レポートに基づいてパネルディスカッションを実施し理解を深める。 第9回目,第10回目(非同期):港湾施設の設計:性能設計体系、海象及び地盤条件、並びに外郭及び係留施設の設計について理解する。 第11回目,第12回目(非同期):沿岸防災と海岸保全:津波、高潮・高波、地震及び海岸保全に対する防災について理解する。 第13回目(非同期):港湾施設の施工・維持管理:防波堤や岸壁の工事、泊地浚渫、埋め立て工事、地盤改良などについて理解する。 第14回目(非同期):防波堤や岸壁などの維持管理や利用実態・分析について理解する。 第15回目(対面講義):討論会(2):第9回目から第12回目に関わる提出レポートに基づいてパネルディスカッションを実施し理解を深め、さらに今後の港湾技術者像を共有する。 上記以外に、非同期講義においては、トピックとして講師が国土交通省等の勤務時に実体験した、講義に関連する具体的な内容をPPT動画で参考説明。 授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
1979.3 九州大学 工学部 水工土木学科卒 1981.3 同 大学院工学研究科修士課程修了 修士論文:「成層せん断流における乱流構造に関する研究」 1981.4 運輸省港湾局計画課入省 第一港湾建設局 企画課(港湾計画担当) 1984.4 農林水産省水産庁漁港部建設課(設計担当) 計画課(漁港調査担当) 1987.4〜 運輸省第三港湾建設局企画課(港湾計画担当)神戸調査設計事務所(設計担当) 土木学会技術賞(和歌山マリーナシティ)受賞 運輸省港湾局計画課(五か年計画担当) 第二港湾建設局 横浜調査設計事務所(設計担当) 土木学会田中賞(羽田スカイアーチ)受賞 1994.2 外務省在エジプト日本大使館一等書記官 土木学会田中賞(スエズ運河架橋)受賞 1997.4 関西国際空港(株)設計課長 土木学会技術賞(関空二期事業)受賞 2003.10(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道助成部 次長(鉄道設計) 2004.7 国土交通省四国地方整備局 道路部長(道路計画・設計) 2006.7 同 港湾局 環境整備計画室長(現・海洋・環境課長) 2007.4 (独)港湾空港技術研究所 施工・制御技術部長 2008.8 九州大学・博士(工学)取得 学位論文:「親水機能を有する海域構造物の設計の体系化に関する研究」 2009.3 国土交通省 退官 2009.4 東京理科大学 理工学部 土木工学科 「港湾工学」講座 非常勤講師 2009.5 (財)沿岸技術研究センター 審議役(調査・設計業務) 技術士(建設部門:港湾・空港分野)取得 技術士(総合技術監理部門)取得 近畿地方整備局神戸港湾空港技術事務所長表彰 北陸地方整備局港湾空港部長表彰 近畿地方整備局長表彰 土木学会技術開発賞(津波・高潮用フラップゲート式陸閘)受賞 2016.4 日本工営(株) 理事・技師長(調査・設計業務) 海洋・港湾構造物設計士(国土交通大臣登録資格)取得 2022.4 シニア・エンジニア < その他外部活動> (一社)港湾技術コンサルタンツ協会 理事・要望活動委員長 海洋・港湾構造物設計士会 副会長 PIERS研究会 理事 土木学会会員 教育用ソフトウェア Educational software
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備考 Remarks
特になし
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