統計力学入門 （2021年度入学生対象）

Introduction to Statistical Physics （2021年度入学生対象）

9962210

62PHTSM201

金井　要

Kaname Kanai

2023年度前期

2023/First semester

木曜3限

Thursday/Third period

創域理工学部　先端物理学科

Department of Physics and Astronomy, Faculty of Science and Technology

2.0単位

講義

Lecture

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対面授業/On-site class

平衡状態にある物質のミクロな物理法則を基に、確率論の助けを借りてマクロな描像（熱力学）を導き出す(平衡)統計力学の初歩を理解する。
An introductory lecture on (equilibrium) statistical mechanics will be given. Statistical mechanics is a mathematical framework that applies statistical methods and probability theory to large assemblies of microscopic entities.

有限状態の系に対する初歩的な確率論を学んだ上で、現代物理学の理解に欠かせない統計力学の初歩を学ぶ。また、本講義は、本学科のディプロマ・ポリシーのひとつ「物理学科の学問分野における幅広い基礎的知識をもとに、物理学に関わる分野における原理と応用を体系的に身に付けている。」に対応している。
After learning elementary probability theory, students will learn the basics of statistical mechanics, which is essential for understanding modern physics. This lecture corresponds to one of the department's diploma policies: "Based on a broad fundamental knowledge in the discipline of physics, students will have systematically acquired principles and applications in fields related to physics".

統計力学の初歩（授業計画に示した内容：特に、小正準集団、正準集団、大正準集団、量子統計の初歩を中心とした内容）を学び、さらにいくつかの具体的な応用例を取り扱うことにより理解を深める。　
Students will learn the basics of statistical mechanics in the order of the concepts of small canonical ensemble, canonical ensemble, and grand canonical ensemble, followed by quantum statistics with some specific examples of applications.

熱・統計物理学・物性物理学に関する問題解決能力

熱力学、量子力学入門、量子力学I の復習をしておくことが望ましい。
授業で扱った内容をもとに到達度評価試験を行うため必ず出席すること。
It is desirable to have knowledge of thermodynamics, introductory quantum mechanics and quantum mechanics I. Basically, the evaluation will be based on what the students learn in the class.

課題に対する作文　Essay

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各回講義の後の復習に重点を置くこと。特に、計算過程などは、各自、実際にフォローすること。授業で配布するまとめのプリントや演習問題は必ず自分で解くこと。また、講義では、必要に応じて適宜「熱力学」に関する説明も行うが、受講後、各自、必要に応じて該当箇所の復習を行うこと。復習の目安は3時間とする。
After each lecture, students are expected to follow the calculation process by themselves. Be sure to work on the handouts and exercises distributed in class. In the lecture, "thermodynamic concepts" will be explained as necessary, but each student is expected to review the relevant sections as necessary after the lecture.

(1)到達度評価試験の評点(60%)。
(2)LETUSから提出する課題 (ただし、授業に出席したことを前提とする) (40%)。課題の解答例などの詳細については、初回授業にて説明する。
(1) Grade on the achievement assessment exam (60%).
(2) Grades for assignments submitted online. (40%).

・S：到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A：到達目標を十分に達成している
・B：到達目標を達成している
・C：到達目標を最低限達成している
・D：到達目標を達成していない
・-：学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S：Achieved outcomes, excellent result
・A：Achieved outcomes, good result
・B：Achieved outcomes
・C：Minimally achieved outcomes
・D：Did not achieve outcomes
・-：Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

N

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教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
​https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

「大学演習　熱学・統計力学」久保亮五編（裳華房）等; 講義内容に沿って紹介する場合がある。
If necessary, textbooks and some other literatures will be introduced along with the lecture content.

第1回: 導入: 統計力学の考え方: 統計力学への準備1: 確率論(1)
(i) 統計力学と力学、熱力学、量子力学との関係について学ぶ。
(ii) 統計力学に必要な確率論の基礎について学ぶ。

第2回: 統計力学への準備2: 確率論(2) / 量子力学の復習
(i) 統計力学における確率の意味について学ぶ。
(ii) 自由粒子のエネルギー固有状態とエネルギー固有値について復習する。

第3回: マクロな系の状態数の導出
マクロな系の状態数を導出し、その特徴について学ぶ。

第4回: 古典統計力学の基礎: 小正準集団: 小正準集団（ミクロカノニカル集団）の概念
(i) 平衡状態の概念を理解し、等重率の原理とそれに基づく確率モデルについて学ぶ。
(ii) 小正準集団（ミクロカノニカル集団）の概念を学ぶ。

第5回: 正準集団(1): 正準集団（カノニカル集団）の概念
正準集団（カノニカル集団）の導出を行い、その概念を学ぶ。

第6回: 正準集団(2): カノニカル分布の基本的な性質
カノニカル分布の基本的な性質を理解するために二準位系を扱い、高温と低温での振る舞いを学ぶ。

第7回: 正準集団(3): 熱力学関数の統計力学的な考察
カノニカル分布による熱力学関数の導出を学ぶ。分配関数を用いてヘルムホルツの自由エネルギー
F(T; V, N)を表現し、諸種の熱力学関数を導くことができることを理解する。

第8回: 正準集団(4): 正準集団（カノニカル集団）の方法の簡単な応用例
カノニカル分布の簡単な応用例として、
(i) 理想気体への適用を行い、分配関数を計算して物理量を計算する方法を学ぶ。
(ii) 常磁性体の磁化と磁化率の振る舞いを導出する。

第9回: 正準集団(5): 正準集団（カノニカル集団）の方法の簡単な応用例
カノニカル分布の簡単な応用例として、二準位系と調和振動子の比熱を導出する。

第10回: 正準集団(6): カノニカル分布の古典近似
(i) カノニカル分布の古典近似について学び、マクスウェル（・ボルツマン）分布を導く。
(ii) 調和振動子を古典近似で扱い、エネルギー等分配則について学ぶ。

第11回: 正準集団(7): 調和振動子の統計力学
(i) 結晶の比熱について、アインシュタインモデルとデバイの比熱について学ぶ。
(ii) 黒体輻射におけるプランク分布の導出を概観する。

第12回: 大正準集団: 大正準集団（グランドカノニカル集団）の概念を導入し、
グランドカノニカル分布の導出を学ぶ。大分配関数を導入しその計算方法を学び、大分配関数
から物理量を計算する方法を理解する。

第13回: 量子統計力学の基礎(1)
量子統計における状態の指定の方法について学び、フェルミ・ディラック統計と
ボース・アインシュタイン統計の概念を理解する。

第14回: 量子統計力学の基礎(2)(3)
フェルミ分布関数とボース分布関数の導出を学ぶ。理想フェルミ気体の性質について学ぶ。
ボース・アインシュタイン凝縮を通して理想ボース気体の性質について学ぶ。

第15回: 到達度評価試験と総括

Lect. 1: Introduction: Concept of Statistical Mechanics: Preparation for Statistical Mechanics 1: Probability Theory (1)

Lect. 2: Preparation for Statistical Mechanics 2: Probability Theory (2) / Review of Quantum Mechanics

Lect. 3: Derivation of the number of states of macroscopic systems

Part 4: Fundamentals of classical statistical mechanics: Concept of microcanonical ensemble

Lect. 5: Canonical ensemble (1): Concept of Canonical ensemble

Lect. 6: Canonical ensemble (2): Basic properties of canonical ensemble

Lect. 7: Canonical ensemble (3): Statistical Mechanics of Thermodynamic Functions

Lect. 8: Canonical ensemble (4): Simple applications of the canonical ensemble-1

Lect. 9: Canonical ensemble (5): Simple applications of the canonical ensemble-2

Lect. 10: Canonical ensemble (6): Semiclassical approximation of the canonical ensemble

Lect. 11: Canonical ensemble (7): Statistical mechanics of harmonic oscillators

Lect. 12: Grand Canonical ensemble: The concept of grand canonical ensemble

Lect. 13: Fundamental concepts of quantum statistical mechanics (1)

Lect. 14: Fundamental concepts of quantum statistical mechanics (2)(3)

Lect. 15: Achievement test and summary

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