無機化学３

Inorganic Chemistry 3

991333Q

13CHIAC301

榎本　真哉

Masaya ENOMOTO

2023年度前期

2023 First semester

火曜5限

Thursday 5th Period

理学部第一部　化学科

Department of Chemistry, Faculty of Science Division Ⅰ

2.0単位

講義

Lecture

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対面授業 / On-site class

材料化学・物質化学を理解する上で重要な、固体化学の分野における物質の構造と電子の振る舞いについて順序立てて講義を行う。分子が周期的に配列した結晶構造を取ることで現れる性質、電子の集団的な挙動、電子と結晶構造の相互作用が、主要なトピックとなる。

現代の産業を支える材料化学・物質化学は、物質開発を行い、その化学的・物理的性質を調べ、そのような現象が起こる理由を理解することで、さらなる物質開発へのフィードバックを行うプロセスを経て発展してきた。この講義では、物質の性質を決める「電子」の働きを中心としながら、産業で利用される物質の様々な性質を学び、その背景にある原理を理解することを目的とする。

電子の性質が顕著に表れる伝導性、磁性、光学特性の観点より、実際に生活の中で使用されている物質から、我々の生活範囲から離れた時に生じる性質に至るまで、物質の機能性について説明できるようになることを目標としている。

専門知識

材料化学、物質科学を含む固体化学分野は、無機化合物を中心に発展してきたが、その範囲は現在では錯体はもちろん、生体内の金属化合物や有機金属化合物、あるいは金属を含まない有機化合物にまで広がりを見せており、非常に幅広い分野である。しかし、物質の性質の多くは電子の働きによって決まるという観点からは、一見異なるように見える化合物群も共通する部分が見えてくる。「無機化学」という言葉に囚われず、広い視野を持って物質を眺めるために、現在どのようなことが話題となっているのか自発的に学習に取り組んで欲しい。
固体化学の理解には、固体の結晶構造に由来する性質の理解が必要であり、講義の最初に数回、結晶学の復習を行う。3年生前期に「結晶学」の講義が別途開講されるが、無機化学3の履修を希望する学生は、「結晶学」の履修を事前に併せて行うことを強く推奨する。なお、無機化学3の2-4回目の講義では、結晶学の内容の重要な部分のみ概観する。

課題に対する作文　Essay

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講義の終わりに「まとめ」として紹介されている概念について、自分の言葉で説明できるようになっていることが望ましい。

講義に関連する課題30%、期末到達度評価70%で評価する予定である。講義に関連する課題は、A4用紙1枚程度のレポート形式で行う。

ただし、新型コロナの影響で対面試験ができない場合は適宜指示する。

・S：到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A：到達目標を十分に達成している
・B：到達目標を達成している
・C：到達目標を最低限達成している
・D：到達目標を達成していない
・-：学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S：Achieved outcomes, excellent result
・A：Achieved outcomes, good result
・B：Achieved outcomes
・C：Minimally achieved outcomes
・D：Did not achieve outcomes
・-：Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

N

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「新しい物性物理」伊達 宗行（ブルーバックス）:
　　　専門書ではないが、本講義がどのような分野かを知るのに良い本
「入門固体化学」スマート，ムーア著（化学同人）：
　　　定性的な説明がほとんどなので、深い理解には物足りないが、入門として流し読みしておくと良い

1　物性化学とは：物性化学で扱う物質、性質の概要について説明できる

2　対称性：対称操作と対称要素について判別できる

3　結晶構造：固体を構成したときの周期構造について説明できる

4　構造解析：X線構造解析や中性子線回折など固体の構造を
　　調べる手段について説明できる

5　伝導性：半導体や金属の種類や伝導性について説明できる

6　半導体素子：半導体の実用例としてのダイオードやトランジスタの
　　動作機構について説明できる

7　磁性：常磁性や反磁性など相互作用のない磁性体の種類や
　　特徴について説明できる

8　磁性：強磁性や反強磁性など相互作用のある磁性体の種類や
　　特徴について説明できる

9　分子磁性：分子から成り立つ磁性体について概観できる

10　誘電体／光学特性：
　　誘電体の種類とその特徴について説明できる
　　　固体と光との相互作用や応用について説明できる

11　超伝導：第一種超伝導の理論的背景と超伝導物質の展開について
　　概観できる

12　複合物性：以上の物性が相互に作用しあう複合物性を示す系について
　　概観できる

13　極端条件の物性：極低温、超高圧、超高磁場下での特異な物性について
　　概観できる

14　極端条件の測定法：物性測定に必要な温度、圧力、磁場の発生方法と
　　測定手段について説明できる

15　到達度評価

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