シラバス情報

科目授業名称(和文) Name of the subject/class (in Japanese)
物理化学実験 B組
科目授業名称(英文) Name of the subject/class (in English)
Laboratory Course in Physical Chemistry B組
授業コード Class code
991315E
科目番号 Course number
13CHEXP301

教員名
高橋 芳行、菱田 真史
Instructor
Mafumi Hishida, Yoshiyuki Takahashi

開講年度学期
2023年度前期
Year/Semester
2023 First Semester
曜日時限
月曜3限、月曜4限、月曜5限
Class hours
Monday 3rd, 4th, 5th Periods

開講学科・専攻 Department
理学部第一部 化学科

Department of Chemistry, Faculty of Science Division Ⅰ
単位数 Course credit
2.0単位
授業の方法 Teaching method
実験

Experiment
外国語のみの科目(使用言語) Course in only foreign languages (languages)
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授業の主な実施形態 Main class format
対面授業 / On-site class

概要 Description
これまでに学んできた物理化学の基礎的な理論や現象の多くは物理化学者によって研究され確立されたものであるが、これらを実際に行って確かめることで、実験器具や幾つかの装置の取り扱い方を習得する。また、実験データの処理法も併せて学ぶ。さらに、これらの実験を通して、自己が経験した物理的・化学的現象を正確に表現し、他人に知らせること、即ち、レポートの書き方も重点的に学習する。
目的 Objectives
物理化学の基礎的な理論を理解したうえで、種々の装置の取り扱い方やデータの処理方法を学ぶ。また、物理化学は化学現象の原理的解明を重視する分野であるため、解明した内容を他者に伝えることが重要である。そのため、得られた実験結果を口答および文章で的確に報告できるよう練習する。これら一連のカリキュラムを通して、自然界の現象・法則を自らの手で抽出することの出来る能力を養う。
到達目標 Outcomes
自分自身で実験計画を立て、それに従って安全・確実に実験を実施し、得られた結果を解釈し、その結果や考察を他者に口答または文書で適切に報告できる能力を獲得する。また、種々の測定法を習得し、関連する物理化学の理論の理解を深め、PC等を用いたデータ解析技術に習熟する。
卒業認定・学位授与の方針との関係(学部科目のみ)
知識実践力/現象解明力/問題解決力
履修上の注意 Course notes prerequisites
・初回のガイダンスに必ず参加すること
・ガイダンスに参加しなかった場合、履修が認められない
・LETUSコースに自己登録を早めに済ませること
アクティブ・ラーニング科目 Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文 Essay/ディベート・ディスカッション Debate/Discussion/グループワーク Group work/プレゼンテーション Presentation/実験 Experiments
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準備学習・復習 Preparation and review
実験を安全・正確に実行するためには、充分な予習と準備が必要である。当日に当日に滞りなく実験操作ができるように内容・操作・データ処理などをまとめた実験計画書を作成し、各回の授業開始前に提出すること。また、物理化学では様々な物理量を測定するが、得られた値がいつも正しいとは限らない。実験装置が出すデータをうのみにすることなく、実験データの正当性や解釈を行う実験後のディスカッションが最も重要である。このディスカッションを踏まえたうえで、実験結果報告書とレポートを作成すること。
成績評価方法 Performance grading policy
レポート60%、ノート・計画書・到達度評価20%、実験態度・授業中のディスカッション20%を目安に成績評価を行う。
実験への遅刻や提出物の遅れは減点とする。
特別な事情がない限り、全ての課題を期日までに提出し、ガイダンスを含めて全ての授業に出席した者を成績評価の対象とする。
学修成果の評価 Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書 Textbooks/Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N) Textbook used(Y for yes, N for no)
N
書誌情報 Bibliographic information
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MyKiTSのURL(教科書販売サイト) URL for MyKiTS(textbook sales site)
教科書および一部の参考書は、MyKiTS (教科書販売サイト) から検索・購入可能です。
It is possible to search for and purchase textbooks and certain reference materials at MyKiTS (online textbook store).
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/​​​

参考書・その他資料 Reference and other materials
初回ガイダンス時に実験テキストを配布する。

授業計画 Class plan
1. ガイダンス
実験を進める上での安全教育とレポート作成法について解説する。
(1)目的 (2)実験上の注意 (3)レポートの書き方
2. 液体の蒸気圧(1)
液体(トルエン)の蒸気圧を、いろいろな温度で、Ramsay-Youngの装置を用いて測定し、Clausius-Clapeyronの式を用いて蒸発のエンタルピー変化とエントロピー変化を求める。
3. 液体の蒸気圧(2)
(1)と同様に水の蒸気圧の温度依存性について測定する。また、水とトルエンとの比較から、分子間力が蒸発のエンタルピー変
化とエントロピー変化に与える影響について検討する。
4. 単極電位とDaniell電池の起電力
デジタルマルチメーターの使い方を習得する。また、Ag/AgCl電極を用い、KCl溶液を塩橋として、銅と亜鉛の単極電位を測定し、これらの金属の電極から構成されるDaniell電池の起電力を測定する。単極電位の値から得られるDaniell電池の起電力の計算値と実測値とを比較する。さらに、各金属の単極電位をNernstの式を用いて計算し、この計算値と実測値についても比較検討する。
5. 強電解質水溶液の部分モル体積
溶質と溶媒の相互作用について、強電解質水溶液であるNaCl水溶液とKCl水溶液の部分モル体積の測定結果から理解する。
6. 前半の実験の講評と後半の実験の解説
前半の実験の結果を考察し、よりよき実験を行うためにはどのようにすべきか指導する。以降に実施するの実験の理論的背景および実験を行う上での操作法の注意とデータ処理についての解説をする。
7. 分光計測による分子構造の決定
HClのような二原子分子の赤外振動回転スペクトルを測定し、その回転構造を解析することにより、核間距離などの分子に対する種々の知見を得る。また、可視分光光度計を用いてβ-カロチンの吸収極大波長を求め、一次元井戸型ポテンシャルモデルを用いて
有効分子長を計算し、電子遷移について理解する。
8. Materials Studioを用いた計算化学演習
分子構造を計算しシミュレートする分子モデリング・ソフト「Materials Studio」を使った計算機化学実験。簡単な芳香族分子や共役ポリエン等について、分子構造の生成、構造最適化、およびスペクトル計算を行い、実験的に観測されるスペクトルとの比較を行う。
9. 電気伝導度滴定
希塩酸及び希酢酸を水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定し、電気伝導度滴定曲線の形の違いから、滴定の各段階における溶液中のイオンの濃度の変化および各イオン種の電気伝導度に対する寄与の違いを考察する。また、中和滴定と電気伝導度滴定との違いについても考察する。
10. アルカリによる酢酸エチルの加水分解
酢酸エチルと水酸化ナトリウム水溶液を混合し、加水分解反応の進行にともなう溶液の電気伝導度の変化から、二次反応速度定数を求める。異なる温度で求めた反応速度定数のArrheniusプロットから反応の活性化エネルギーを求める。
11. 後半の実験の講評およびレポート指導
後半の実験の結果を考察する。また、実験レポートの作成は、実験結果の報告やデータに基づいた考察を行う上で重要な作業である。実験レポートやデータのまとめ方には数々の基本的な約束事があり、それらについて指導する。また、実験誤差や統計処理などのデータの取扱いかたについて説明する。
12. 屈折率
Abbe屈折計の使い方を習得する。また、いろいろの液体有機化合物について原子屈折と分子屈折に加成性が成り立つことを確かめる。そして、飽和炭化水素系及び芳香族炭化水素系それぞれについて、分子量と屈折率との関係をプロットし、その違いについて考察する。さらに、水-エタノール二成分系およびトルエン-ベンゼン二成分系について、屈折率と組成の関係を調べ、二つの系の間での分子間力の違いについて考察する。
13. 相平衡
蒸留装置を組み立て、イソプロピルアルコールとベンゼンの種々の組成の混合溶液についてその気相と液相のモル分率を、予め求めておいた組成と屈折率との検量線より求める。次に相図を作成し、共沸温度と共沸組成を求める。分子間力と共沸現象との関係について考察する。
14. 実験の総括およびレポートの講評と指導
これまでに実施した実験で学習した内容について総括し、理解を深める。また、これまでに提出されたレポートを踏まえた講評をし、より良いレポートが書けるように指導する。
15. 到達度評価
実験の原理、操作、データの処理方法など、実験の内容についての到達度を評価する。


授業担当者の実務経験 Work experience of the instructor of the class
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教育用ソフトウェア Educational software
Discovery Studio, Materials Studio

備考 Remarks