![]() 教員名 : 櫻井 雅之
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科目名称/Course title(Japanese)
生化学
科目番号/Course number
72CHBCH301
科目名称(英語)/Course title(English)
Biochemistry
授業名称/Class name
生化学
教員名
櫻井 雅之
Instructor
Masayuki Sakurai
開講年度学期
2022年度後期
Year/Semester
2022 Second Semester
曜日時限
木曜4限
Class hours
Thursday 4th Period
開講学科/Department
理工学部 先端化学科
Department of Pure and Applied Chemistry 外国語のみの科目(使用言語)/Course in only foreign languages (languages)
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単位/Course credit
2.0単位
授業の主な実施形態/Main class format
対面授業/On-site clas
概要/Description
—化学系学生にとって「生化学」という分野は少し離れた分野であり、「生命科学」は全く関係の無い分野という印象を抱いているかも知れない。しかし実際は、研究開発された化学物質は、生体分子を模倣して、または生体内の生命現象に作用するように設計される。また、生命科学の研究においては、その機構や機能、研究技術の原理には、化学的な側面の理解が必要不可欠である。それだけでなく、化学的な側面は身の回りの物質だけでなく、食品や我々の体の機能や健康の最も骨幹的な原理を説明する上で重要である。このように、生命現象を科学的に原理から説明し理解するうえで化学は欠かせないものであり、この説明と理解の過程こそが生化学である。
−本講義は以下の3点を主軸に構成されている:①生体を構成するものが全て化学的な性質を持ち、化学反応の法則に従う分子であることを理解する。②生命現象の基礎である遺伝子発現の過程とその作用機序を分子レベルから学び、生命現象は精巧な化学反応と相互作用の組み合わせによって織りなされていることを理解する。③生命科学の最先端研究の現場においても化学の知識と発想が活用されていることを知る。学習対象は、生命科学を理解するうえで欠かせない分子種であるタンパク質と核酸(DNA,RNA)の構造と機能を中心に、有機化学や分析化学との関連内容にも触れ、最先端の研究と医科学技術などの話題を含めて解説する。 目的/Objectives
−生命科学は、近年の各科学分野の発達に伴って急激な進歩を遂げている分野の一つである。しかし生物学などを学ぶ機会が十分でなかった学生にとって、生命科学は複雑で、結果論の積み重ねであり、一見法則や原理の理解が難しく捉えどころがないと感じ、将来携わる分野としてはなかなかハードルが高いものと映ってしまうかもしれない。しかし、生命科学はその実、電子の移動による化学反応や、生体分子の官能基間の化学的な相互作用によって成り立つ精巧な反応システム網である。「生化学」講義では、この反応システム網、すなわち生命科学や分子生物学が単なる知識を覚えるだけの学問ではなく、これまで学習してきた化学の原理に基づいて理解と考察、さらに発想と仮説構築が可能であることを学ぶ。
—本講義内容は、学生の好奇心拡大と、生命科学研究への扉を開く契機となるように構成した。また、化学を学んだものだからこそ可能な、「生化学」を架け橋として、身の回りの生命現象を化学的に「視る」力を養い、日常における好奇心を刺激することもまた目的としている。また、化学という学問が生命現象をも説明しうる原理の集大成であることの再認識することで、生命科学分野に限らず、学生自身の今後の研究活動において重要となる、化学的側面から考察する観点と化学的原理を根拠に着想を生み出すための思考モデルを学び、複雑な現象を複数の学問分野から紐解き理解することの契機の提供を目的とする。 到達目標/Outcomes
「生化学」の基礎的事項について、自身で簡単な解説と化学的な原理を理解できる学習レベルを到達目標とする。
履修上の注意/Course notes prerequisites
生化学や生命科学は全くの初心者であり、高校などで生物を未履修の学生でも、化学の基礎があれば最先端の生命科学を理解できるような授業構成とする。同時に生物学の基礎を持つ学生にとっては、生命科学の実際と最先端研究への把握を深めることができる構成となる。理解に不可欠な基本的用語は僅かであり、講義で取り上げられる機構は1つの例である。よって、その細部の暗記などにこだわる必要は無く、本質的な原理の理解から、化学と生命科学を繋げることを目指した内容である。生命科学分野を実際に目指す学生以外にも、科学への基盤的学力の充実に資するものと捉えた受講を期待する。
※授業形式は、新型コロナウィルスに関する大学方針によってZOOMを活用か、対面か決定し、CLASSシステムにて随時告知するので、注意をお願いします。 アクティブ・ラーニング科目/Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文/Essay
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小テストの実施/Quiz type test
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ディベート・ディスカッション/Debate,Discussion
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グループワーク/Group work
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プレゼンテーション/Presentation
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反転授業/Flipped classroom
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その他(自由記述)/Other(Describe)
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準備学習・復習/Preparation and review
講義に用いる資料は、基本的に講義前にPDFとしてアップロードされる。また、講義中に注釈や書き込みを加えた版を講義後にCLASSにアップロードするので、紹介する書籍及び適宜CLASSにアップロードされる参考資料PDFと合わせて、復習に活用のこと。復習時間は、講義内容を踏まえて要点のみであれば毎回につき20分程度と想定した授業計画である。
成績評価方法/Performance grading policy
出席状況・5講義ごとの小テスト・最終講義後の課題レポートにより評価する。総合点のうち、出席が50%、小テスト(3回)が各10%(計30%) 課題レポートが20%の寄与率である。
小テスト形式は授業形式によって適宜定めるが、基本的には選択問題とする。 学修成果の評価/Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している ・B:到達目標を達成している ・C:到達目標を最低限達成している ・D:到達目標を達成していない ・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している ・S:Achieved outcomes, excellent result ・A:Achieved outcomes, good result ・B:Achieved outcomes ・C:Minimally achieved outcomes ・D:Did not achieve outcomes ・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation 教科書/Textbooks,Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N)/Textbook used(Y for yes, N for no)
N
MyKiTSのURL(教科書販売サイト)/URL for MyKiTS(textbook sales site)
・教科書を使用する場合は、MyKiTS(教科書販売サイト)から検索・購入可能ですので以下のURLにアクセスしてください。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ ・Search and purchase the necessary textbooks from MyKiTS (textbook sales site) with the link below. https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/ 参考書・その他資料/Reference and other materials
参考書・その他資料の使用有無 (有=Y,無=N)
Y
以下、本講義内容に関して推奨順
●「Essential 細胞生物学 原書第4版」(中村・松原 監訳) 南江堂 ISBN978-4-524-26199-4 (定価税抜\8000) ●「ヴォート 基礎生化学 第5版」D.VOET他著、田宮他訳 東京化学同人 ISBN978-8079-0925-4 (定価税抜\7600) ●「分子生物学の基礎 第4版」G.M. Malancinski著、川喜田訳 東京化学同人 ISBN4-8079-0604-6 (定価税抜\5600) ●「基本がわかる分子生物学集中講義」武村著、花岡監修 講談社 ISBN978-4-06-219592-8 (定価税抜\2700) ●「イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書30版」清水孝雄 監訳 丸善出版 ISBN 978-4621300978 (定価税抜\7900) ●「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学」D. Sadava著 石崎他監訳 ブルーバックスB-1672 講談社 ISBN978-4-06-257672-7 (定価税抜\1300) ●「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第2巻 分子遺伝学」D. Sadava著 石崎他監訳 ブルーバックスB-1673 講談社 ISBN978-4-06-257673-4 (定価税抜\1500) ●「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学」D. Sadava著 石崎他監訳 ブルーバックスB-1674 講談社 ISBN978-4-06-257674-1 (定価税抜\1500) ●「カラーイラストで学ぶ集中講義 生化学 改訂2版」鈴木他著 メジカルビュー社 SIBN978-4-7583-0098-8 (定価税抜\5800) ●「細胞の中の分子生物学」森和俊著 ブルーバックス 講談社 ISBN978-4-06-257944-5 (定価税抜\1000) 授業計画/Class plan
【1~5: 生化学=生体分子の化学】
1. 生命の基本単位と細胞の化学成分 生命の基本単位である/DNA/RNA/タンパク質/細胞内小器官/細胞/組織/器官/個体とこれらを構成する分子の種類と特性を理解する。 2. タンパク質:構造と機能(生体構成・結合・酵素) タンパク質の構成成分と構造、その機能の性質としくみを分子化学の観点から理解する。 3. 核酸:DNAとRNA 核酸の構成成分と構造、その機能の性質としくみを分子化学の観点から理解する。 4. 生化学基礎1: エネルギーと触媒作用 細胞生存のためのエネルギー産生のしくみと、生体ない化学反応のしくみをエネルギーと触媒作用の観点から理解する。 5. 生化学基礎2: 代謝機構【小テスト第一回】 細胞内の代謝の種類とその機構を理解する。 【6~10: 生化学から分子生物学】 6. DNAからタンパク質へ:生命のセントラルドグマ 遺伝子・DNA・ゲノムの定義と、DNAからタンパク質へと遺伝子が発現する流れを、身近な遺伝子の表現型とともに理解する。 7. 遺伝子機能発現の調節1:RNAへの転写と転写後調節 遺伝子発現過程でのメッセンジャーRNAの役割を学び、その配列や化学構造の変化による制御機構を、RNA異常に起因する疾患例とともに理解する。 8. 遺伝子機能発現の調節2:機能性RNA 遺伝子の機能発現自体の制御に機能性分子として関わるRNAの種類と作用機構を理解する。 9. 遺伝子機能発現の調節3:タンパク質の翻訳後修飾と機能性複合体 遺伝子の機能発現体の中心であるタンパク質が翻訳後に受ける制御機構と、他の生体分子との複合体として機能するしくみを理解する。 10. 生化学からみる疾患【小テスト第二回】 遺伝子変異に起因する疾患や細胞がん化、ウイルス感染など、疾患発症の病態を生化学の観点から理解する。 【11~15: 最新の研究にみる化学と生命科学の接点】 11. 化学と生命科学の接点1: 細胞内の生命現象と分子化学 これまでの学習内容をふまえ、細胞内の生命現象を生体分子の化学反応としてとらえ、最先端の研究例とともに、生命科学研究の考え方を学ぶ。 12. 化学と生命科学の接点2: 生命科学実験技術の原理 PCRや電気泳動から、遺伝子工学、ゲノム編集、RNA編集、RNAi法など、実際の生命科学研究で用いられる実験技術の基礎原理を化学的側面から学び、新たな発想への観点を学ぶ。 13. 化学と生命科学の接点3: 生命科学研究の進め方 化学と生命科学に関連した研究実例とともに、論文や特許などを目標とした研究の進め方を、化学に基づいた生命現象の証明方法を学ぶ。 14. 化学と生命科学の接点4: 最先端の研究動向 遺伝子診断や遺伝子治療を始めとした研究の実例ともに、最先端の生命科学研究に関する動向と、それを知る術を学ぶ。 15. 生化学講義 要点復習と総括【小テスト第三回・レポート出題】 これまでの講義の要点をまとめた総括を行い、全体像の理解を深める。 教職課程/Teacher-training course
実務経験/Practical experience
講師は有機化学及び生化学に通じ、分子生物学を経て生命科学の分野で博士号を取得した。その後国内(4年)及び米国(8年)で分子細胞生物学の研究に従事。現在本学の生命医科学研究所にてゲノムRNA編集病態学の研究を実施している。総合研究院にて核酸創薬研究部門及び生物環境イノベーション部門に所属。
教育用ソフトウェア/Educational software
ZOOMへの対応準備のこと
備考/Remarks
※授業形式は、状況に応じて開講前にCLASSシステムにて随時告知するので、注意をお願いします。
授業コード
9972129
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