シラバス情報

科目名称/Course title(Japanese)
情報数学2‐A及び演習 (1組)
科目番号/Course number
63MAMAI201
科目名称(英語)/Course title(English)
Mathematics for Information Sciences 2-A and its Exercises
授業名称/Class name
情報数学2‐A及び演習 (1組)

教員名
木原 眞紀、入山 聖史
Instructor
Satoshi Iriyama

開講年度学期
2022年度後期
Year/Semester

曜日時限
月曜3限、金曜1限
Class hours
Monday 3rd and Friday 1st

開講学科/Department
理工学部 情報科学科
外国語のみの科目(使用言語)/Course in only foreign languages (languages)
-

単位/Course credit
3.0単位
授業の主な実施形態/Main class format
対面授業/On-site class

概要/Description
リーマン積分において,ディリクレ関数などの不連続な関数の積分を求めることができないことが知られている.この原因の一つは,リーマン積分では,定義域の微少変動に対して大きく変動しない,なめらかな関数を対象とし,定義域を分割する(縦に切る)ことで求積分をしていた.ルベーグ積分では,値域を分割する(横に切る)ことで,その原像を集めて求積分するという発想の転換を行い,ディリクレ関数を含むほとんど至るところで定義された一般の可測関数について積分の議論が可能になった.
本授業では,講義と演習を通して,ルベーグ測度とルベーグ積分を学習する。この授業は,連続系の確率論を基礎として定められる連続系のエントロピーや,複雑さの理論,情報数学Ⅳ,光通信理論の講義と関連している.
キャリアとの関連では,情報科学Ⅱ−Aおよび演習の授業を学ぶことによって,問題解決のための発想の転換の仕方やより一般の関数の積分などの数量的スキルを習得でき,かつ,論理的に思考する能力や的確に判断する能力が身に付く.
目的/Objectives
ルベーグ測度やルベーク積分に関する基本的事項を学び,現代数学の論理について理解を深めることを目的とする.
本学科のディプロマ・ポリシーにある「情報科学分野に応じた基礎学力」を身に付け,「自然科学・科学技術の分野のみならず社会における多様な情報を論理的に分析し、問題の発見、さらにはその解決に貢献しうる能力」を獲得するための科目である.
到達目標/Outcomes
1. σ集合体,ルベーグ測度やその構成方法およびその性質について理解することができる。
2. 可測関数やルベーク積分やその性質及び関数空間についての基礎的概念を理解することができる。
3. 収束定理などを理解し,ルベーク積分論の公理的な理論展開ができるようになる。
履修上の注意/Course notes prerequisites
解析学1及び演習,解析学2及び演習,情報数学1A及び演習を習得していることが望ましい.

アクティブ・ラーニング科目/Teaching type(Active Learning)
課題に対する作文/Essay
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小テストの実施/Quiz type test
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ディベート・ディスカッション/Debate,Discussion
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グループワーク/Group work
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プレゼンテーション/Presentation
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反転授業/Flipped classroom
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その他(自由記述)/Other(Describe)
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準備学習・復習/Preparation and review
授業準備と復習を合わせて週5時間を目安とします.
準備学習:講義の参考書を事前に調べて学習の準備をして下さい.演習では講義の内容と対応した演習問題を行うので,Webで講義の復習を行い,演習の準備をして下さい.
1. 関数の収束性,距離の三角不等式について確認する
2. 数直線上の開集合,閉集合について確認する
3. 点列の収束先がもとの空間に含まれる場合とそうでない場合について確認する
4. 位相空間上の写像とその近傍系について調べる
5. 位相空間上の分離公理について調べる
6. Riemann和について確認する
7. 集合体の例をいくつか示し,加法性を確かめる
8. σ-集合体の例をいくつか示し,完全加法性を確かめる
9. Caratheodoryの外測度について確認する
10. Riemann積分における積分の定義と,不連続点のある場合の積分の導出法を確認する
11. Vitali集合について調べる
12. 写像の原像について確認する
13. 一般の可測関数を非負単純可測関数で近似する方法を確認する
14. Riemann積分における平行移動不変性,回転不変性を調べる
15. Cauchy列について確認する

復習:講義の内容が理解できているか,毎回復習して下さい.演習授業後に演習の問題とその略解をWebに公開するので,Webを活用して,演習の問題の復習をして下さい.
1. 距離空間,収束概念の定義と諸定理を復習する
2. Heine-Borelの定理を復習する
3. 稠密の同値な条件と収束の定義を確認する
4. 連続写像であることと同値な条件について整理する
5. コンパクトHousdorff空間の定義,局所コンパクトについて復習する
6. Riemann積分では積分値が定まらない関数について復習する
7. σ-集合体の定義を確認し,σ-集合体でない集合体を例示する
8. 確率測度,計数測度,Dirac測度について復習し,例を用いて計算する
9. Kolmogorovの拡張定理を復習し,具体例を考える
10. 具体的なBorel集合を与え,Lebesgue測度を求める
11. 選択公理,非可算集合,非可測集合の関係を復習する
12. 可測関数の定義と同値な条件を整理する
13. 積分可能性と,積分値が求まる条件を整理する
14. 積分の和,スカラー倍,極限値について整理する
15. Banach空間の定義,Holderの定理,Minkowskiの定理を復習する
成績評価方法/Performance grading policy
中間試験および達成度評価試験を中心に演習の小テスト等を加味し総合的に評価する。
試験85%,小テスト15%
学修成果の評価/Evaluation of academic achievement
・S:到達目標を十分に達成し、極めて優秀な成果を収めている
・A:到達目標を十分に達成している
・B:到達目標を達成している
・C:到達目標を最低限達成している
・D:到達目標を達成していない
・-:学修成果の評価を判断する要件を欠格している

・S:Achieved outcomes, excellent result
・A:Achieved outcomes, good result
・B:Achieved outcomes
・C:Minimally achieved outcomes
・D:Did not achieve outcomes
・-:Failed to meet even the minimal requirements for evaluation

教科書/Textbooks,Readings
教科書の使用有無(有=Y , 無=N)/Textbook used(Y for yes, N for no)
Y
MyKiTSのURL(教科書販売サイト)/URL for MyKiTS(textbook sales site)
・教科書を使用する場合は、MyKiTS(教科書販売サイト)から検索・購入可能ですので以下のURLにアクセスしてください。
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/
 
・Search and purchase the necessary textbooks from MyKiTS (textbook sales site) with the link below.
https://gomykits.kinokuniya.co.jp/tokyorika/

参考書・その他資料/Reference and other materials
参考書・その他資料の使用有無 (有=Y,無=N)
Y
「ルベーグ積分入門」,伊藤清三,裳華房
ISBN-10: 4785313048
ISBN-13: 978-4785313043

「Measure Theory」,P.R. Halmos, GTM, Springer-Verlag
ISBN-10: 0387900888
ISBN-13: 978-0387900889

授業計画/Class plan
1. 関数の収束と距離空間   
関数列の収束の各種の定義を紹介し,距離空間の定義を与える。
2. 開集合   
距離空間において内点・外点・境界線の定義を与え,開集合の概念に導く。開集合の基本性質を示し,より一般的な位相空間の公理的導入を行う.
3. 収束点列   
位相空間における点列の収束について調べる.
4. 連続写像   
位相空間の間の連続写像について調べる.
5. コンパクト空間   
コンパクト空間の性質を調べ,最大値の定理等を導く.
6. 区分求積と測度   
測度の定義の歴史的概観を述べる.
7. 可測空間   
σ−集合体と可測空間の定義を与える.
8. 測度の定義とその性質   
測度の定義について述べ,具体的にいくつかの測度の例を与える.また,測度の性質についても説明する.
9. 測度の構成   
外測度の定義について述べ,Kolmogorovの拡張定理について説明する.
10. ルベーク測度空間   
ボレル集合とルベーク測度の定義について述べ,具体的なルベーク測度の計算方法を学ぶ.
11. 非可測集合   
ルベーク可測でない集合の存在を示す.
12. 可測関数
可測関数の定義について述べ,その性質について説明する.
13. 積分の定義   
可測関数の積分について述べる.また,積分可能とは何かについて説明する.
14. 積分の性質   
積分の持つ性質について調べる.
15. 完備性とバナッハ空間
ノルムの完備性と写像の同値類からのバナッハ空間の構成法を説明する.

教職課程/Teacher-training course
本科目は、教育職員免許状取得(教科:数学)に必要な教科に関する科目の「解析学」区分に該当します。
ただし、教科に関する科目区分については、入学年度により異なるため、各自、入学年度または適用となる年度の学修簿により確認をしてください。
実務経験/Practical experience
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教育用ソフトウェア/Educational software
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備考/Remarks
なし.

授業コード
9963413